NO-NAMEの隠れ家

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UNICORN

作品レビュー

1stアルバム
『BOOM』
(1987.10.21)

1.Hystery-Mystery ★★☆
2.Game ★★
3.Maybe Blue ★★★☆
4.Concrete Jungle ★★☆
5.Limbo ★★☆
6.Sweet Surrender ★★
7.Alone Together ★★
8.Sadness ★★
9.Fallin' Night ★☆
10.Pink Prisoner ★★★

総合 ★☆

デビューアルバム。結成してからまだ日が浅いということもあり、3rdアルバム『服部』以降に顕著となる彼らの独特のサウンド構築や個性的な歌詞といった要素はここではほとんどみられず、プロデューサー・笹路正徳の指導のもと、レコーディングやアレンジの基本を身につけるだけで精一杯となっています。楽曲の大部分は奥田民生による作詞・作曲で、16ビート色の強い作風。後年、民生自身が「僕がリスナーだったら、次回作を聴きたいとは思わない」といった言葉を口にしているように、まだ彼らの個性を打ち出すには至っていないアルバムです。タテ乗りビートロックに色っぽいヴォーカルという、今の奥田民生を見ていると考えられないような楽曲が多く収録されていますが、そんなこの時期だからこその名曲が『Maybe Blue』。印象的なシンセと川西のドラムが盛り上げるサウンドと民生の繊細なヴォーカルが、「涙かくす長い髪を 震える指でかき上げて 無理に見せる笑顔少し 前よりやつれてる」といった細かな歌詞の描写と相俟って、切なさと艶っぽさが同居する世界観を作り上げています。また、僅かながら、次回作『PANIC ATACK』を経て『服部』へと繋がる要素をもった楽曲として、スカ風の『Game』・ベースのEBIこと堀内一史によるラテン風味のサウンドに「いきなり頬にビンタ」なんていう川西による独特の歌詞が乗る『Limbo』といったナンバーがあります。
(記:2008.3.27)










2ndアルバム
『PANIC ATTACK』
(1988.7.21)

1.I’M A LOSER ★★☆
2.HEY MAN! ★★☆
3.SUGAR BOY ★★☆
4.抱けないあの娘 -Great Hip in Japan- ★★★
5.FINALLY ★★★
6.シンデレラ・アカデミー ★★☆
7.サービス ★★★
8.ペケペケ ★★★
9.SHE SAID ★★★
10.眠る ★★☆
11.ツイストで目を覚ませ -Twistin’in Suits’85- ★★

総合 ★★☆

1stアルバムの後、キーボード担当の向井美音里が健康上の理由により脱退。正式メンバーが4人となってリリースされた2ndアルバム。
前作を土台にしながらも、傑作の3rdアルバム『服部』に繋がるコミカルな詞曲の要素が徐々に顔を出し始めてきた、まさに過渡期的なアルバムです。
ゲイに好かれる男を描いた『SUGAR BOY』、彼女が太っていくというテーマの『抱けないあの娘』、冴えない女の子を可愛くさせるというEBI作詞・作曲の『シンデレラ・アカデミー』、中年男性がライバルの恋の苦悩を描いた『HEY MAN!』(次回作『服部』のタイトル曲では、逆に中年男性の立場からの勝ち誇りを描いています!)など、オリジナリティ溢れる歌詞が目を引き始め、なんとなく上辺の言葉だけをなぞっていた感のある前作『BOOM』からの変化が覗えます。サウンド面でも、『シンデレラ・アカデミー』での演奏の暴れ具合や、ビートルズを意識した『ツイストで目を覚ませ』など幅が出てきました。
そして、『服部』への最大の布石となるのが『ペケペケ』。川西による「~のだ」といった言葉遣いに代表される独特な歌詞、間奏をインド風に仕上げるなどコミカルなサウンド、EBIと民生がそれぞれのパートでヴォーカルを担当する構成など、その後のUNICORNの方向性を示唆する重要な1曲です。
(記:2008.3.31)










3rdアルバム
『服部』
(1989.6.1)

1.ハッタリ ★★★☆
2.ジゴロ ★★★
3.服部 ★★★
4.おかしな2人 ★★★☆
5.ペーター ★★☆
6.パパは金持ち ★★★
7.君達は天使 ★★★
8.逆光 ★★☆
9.珍しく寝覚めの良い木曜日 ★★
10.デーゲーム ★★★
11.人生は上々だ ★★★☆
12.抱けるあの娘 ★★
13.大迷惑 ★★★★
14.ミルク ★★★

総合 ★★★★

前作『PANIC ATTACK』で芽を出し始めていたコミカルな魅力が一気に開花、UNICORNの圧倒的なオリジナリティを確立した3rdアルバム。
サウンド面では、1stアルバム収録曲ではほぼ全て、2ndでも複数を占めていた没個性ロックから軽やかに脱却。歌詞もありきたりなラブソングに決して手を伸ばすことなく、多種多様なテーマを描いています。
前作でサポートメンバーとしてレコーディングに参加したキーボーディスト・阿部義晴が正式メンバーとして加入。手島や堀内も自身のペンによる楽曲を提供し、自らヴォーカルも務めるなど、それまでの民生比重の強さから、他のメンバーにイニシアチブが分散しだしたという点も、アルバムに幅を与えている大きな要因でしょう。
まず、彼らの楽曲をオーケストラによるメドレーで聴かせる『ハッタリ』に驚かされます。そして、続く『ジゴロ』では少年がキワモノ歌詞をボーイソプラノで高らかに歌い上げ、ア然。なんなんだこのオープニングは。3曲目でやっと民生の声が聴けるわけだけど、その第一声が「サーーンキューー!!」(笑)。ハードロック調の『服部』は、初期のロックとは比べ物にならないほどの完成度だし、歌詞も民生の親父願望が表れていて面白いところ。『おかしな2人』は、仮タイトルが『ニーズ・オブ・ファン』で、「どんな曲を作ったらファンが喜ぶか」ということを念頭に置いて作ったとのこと。その甲斐あり、実際にファン人気は高いです。EBIのワルツ『ペーター』、ギクシャクしたメロディー構成をスムーズに聴かせてしまうマジックが炸裂する『パパは金持ち』、EBIの王子様キャラが光る『君達は天使』(プリプリの奥居香もコーラスで参加)、新加入の阿部によるシンフォニックな『逆光』、テッシーのペンによるレゲエ『珍しく寝覚めの良い木曜日』など、中盤のとっちらかり具合もすごいです。2ndシングルとなった『デーゲーム』は、シングルでは坂上次郎がヴォーカルを務めるという驚きのナンバーでしたが、ここでは作詞・作曲したテッシーがヴォーカルをとっています。それだってよく考えれば、「シングル曲をメインヴォーカルが歌わない」っていう点ですごくヘンなんだけど。後半戦、『人生は上々だ』は、サビが一回りするごとに転調を繰り返し、「どこまでいくんだ」ってくらいにキーが高くなっていきます(笑)。爆笑必至の珍曲。ミュージカル風の『抱けるあの娘』(タイトルは前作の『抱けないあの娘』のセルフパロディー)に続くは、彼らにとって初のシングルナンバー『大迷惑』。これまではアルバムのみのリリースで、デビューから1年半後の初シングルとなりましたが、民生曰く「シングルを出すのを忘れていた」。最後は穏やかな『ミルク』で幕を閉じます。
アイデアが満載で、UNICORNの魅力が爆発したアルバム。バンドブームの中で、UNICORNは独自の位置につけました。
(記:2008.4.1)










ライブビデオ
『UNICORN WORLD TOUR 1989 服部』
(1989.11.1)

1.サービス
2.おかしな二人
3.シンデレラアカデミー
4.大迷惑
5.ピンクプリズナー
6.抱けるあの娘
7.君達は天使
8.逆光
9.服部
10.人生は上々だ

シングル『大迷惑』がヒット、アルバム『服部』で個性を確立した1989年のライブツアーの模様を収録した1本。アルバムタイトルにちなみ、「服部様御一行」として、本当の「服部さん」達を無料で招待したのもこのツアーです(笑)。
サウンド面の「UNICORNらしさ」の確立と同時に、ライブパフォーマンスでも、どんどん新しいことを取り入れるようになってきたのがよく分かる映像作品。また、収録方法についても『サービス』はモノクロ映像で、『シンデレラアカデミー』はパノラマ映像で収録するなど、随所にUNICORNらしいアイデアが発揮されています。『人生は上々だ』では、UNICORNと親しかったJ(S)Wの寺岡呼人がゲストとして登場。
(記:2008.7.16)










4thアルバム
『ケダモノの嵐』
(1990.10.1)

「最高傑作」の呼び声高い4thアルバム。アイデアの塊のようなアルバムです。そのアイデアというのも、『服部』で見せたような「プラス」のアイデアばかりではなく、「引き算の要素」も取り入れています。「えっ」と思うようなあっけなさをみせてみたり。アコギでハードロックに挑戦した『ケダモノの嵐』や、『働く男』の性急なフェードアウトなど、聴き手を拍子抜けさせる「してやったり」というような彼らのアイデアが詰め込まれています。
そうした点も作用してか、今作は、ゴテゴテした印象を聴き手に与えません。1曲1曲が個性的で、全14曲という多彩さなのに、聴いていてゲップが出ない。密度が濃いのに、疲れない。気軽にセット出来て、期待以上の満足感を返してくれるという、そんなアルバムなのです。
メンバーの個性が見事に発揮されているのが特筆すべき点で、民生が作曲を手掛けたのは7曲と、全楽曲のちょうど半分。民生自身が「決してフロントマンにはなりたくない」と語っていたように、メンバー全員がそれぞれ楽曲を作り、リードヴォーカルも曲によってバラバラというスタイル。メンバーがそれぞれ個性を発揮した結果、5人のキャラクターがものの見事に明確となり、キラキラと輝いています。こんなグループは(森脱退後の)SMAPとUNICORNだけでしょう。ロックバンドとして、こうした「1+1+1+1+1」を確立したのは、後にも先にも彼ら以外いないのでは? ちょっとこんなアルバムは、もう出て来ることがないのではないかと思います。

1.命果てるまで ★★★★

ウクレレを伴奏に、ラブホテル室内での情事を歌った1曲。前作同様、肩透かしを喰らうオープニングです。途中、口笛による『第3の男』のフレーズが挟み込まれています。

2.フーガ ★★★★

めくるめく変化するアレンジが痛快な、EBIによるアップテンポの楽曲。「あなたを大きく包む永遠の愛」・「教会の鐘が鳴る 祝福の花束」など、結婚をテーマにした歌詞です。しかし、明るい曲調のウラで、結婚の暗い部分を歌にしているのがなんとも。EBIの澄んだ歌声と、阿部の大仰な歌い方の対比も面白いところです。

3.ロック幸せ ★★★

川西の作詞・作曲。ヴォーカルは彼とテッシーがハモっています。ミニマルな構成のポップロック。労働者の悲哀を歌った歌詞は『働く男』とも共通しており、『働く男』のc/wにこの曲が収録されたのもある納得。でも、最後には悩みも忘れてのほほんとしてしまうような明るさというか、楽天的なところが、この曲の歌詞のほうにはありますね。

4.ケダモノの嵐 ★★★☆

アコースティック・ギターでヨコ乗りハードロックを演じた1曲。このアルバムから彼らは録音にも拘りはじめ、この楽曲では、左右のスピーカーから流れてくる音が極端なのも特長的。バンドブームの中、乱立する幾多の没個性ロックバンドから、UNICORNが軽やかに脱却を図ったことを象徴するサウンドです。

5.エレジー ★★★☆

宮崎勤事件直後の当時、UNICORNがドロップしたオタク・ソング。オタク文化が市民権を得た現在ではコミカルに聴こえますが、当時こうした曲を描くというのは挑戦だったかもしれませんね。わからないけど。
意図的にオタクっぽく歌う民生のヴォーカル、渡辺満里奈の声、ナレーション風の阿部の歌など、構成も歌詞のリアリティを感じさせますねぇ。まぁ、聴き心地は軽いです。

6.自転車泥棒 ★★★★☆

テッシーが作詞・作曲したミディアム・ナンバー。アレンジはXTCの影響が出ています。ノスタルジックな詞曲からは、テッシーのロマンチストな一面が覗えます。サビのハモリも良いですね。サイズもコンパクトで、流れからまったく浮くことなくアルバムに溶け込んでいます。

7.富士 ★★★☆

阿部が作詞・作曲し、リードヴォーカルを務める6/8拍子ナンバー。けだるい雰囲気で肩の力が抜けます。聴き込むほどに味の出る楽曲ではないでしょうか。

8.リンジューマーチ ★★★

軽快なリズムに乗せて、突然の交通事故で死んでしまった男が天国からの気持ちを歌います。「まいったな」とは言いつつも、「トヨトミ、エジソン、ジミヘン…(中略)…みんな元気だよ 幸せ イェーイ」と、本当に死者の歌なのかというほどの明るさ(笑)。「悩みは一つだけ」と、最後はトンチのように締めます。

9.スライム プリーズ ★★★

EBIによる闇鍋ファンク。いったい何年ブームを先取りしたの?というようなコラージュ/サンプリングの手法に驚き。SMAPでいうところの稲垣吾郎ポジションだった彼の異分子的危険さ・実験趣味の表れ。

10.CSA ★★★

所属事務所の住所と電話番号をシャウトするメタルナンバー。ア然。
残念ながら(?)今では事務所は移転してしまっています。

11.いかんともしがたい男 ★★★☆

後の民生ソロに通じるモロにビートルズな1曲。歌詞は、体がダルイという理由で仕事を休む男の言い訳という、これまたUNICORNらしい目の付け所。

12.夜明け前 ★★☆

阿部のアカペラで始まるバラードナンバー。はっきり言って、歌は上手くないです。ただ、その生の質感を味わうべき1曲なんでしょうね。途中から加わるエレピの音色も含め、静寂の夜明け前を感じさせます。

13.働く男 ★★★☆

3rdシングルとしてヒットした、彼らの代表曲のうちの一つ。『大迷惑』と同様に、サラリーマンの悲哀というテーマを今回は日常の視点から描いています。ひねくれたコード進行、ヘンなアレンジ、やたら早いフェードアウトなど、1曲の中で彼ららしいアイデアが満載。
プロモーションビデオは、裸の女性が出てくるために自主規制となりました(笑)。

14.スターな男 ★★★★

タイトル通り、「スターな男」を描いたロックンロール。終盤の開放的なプレイがなんと言っても印象的な1曲です。

総合 ★★★★☆

(記:2008.4.2)










ミニアルバム
『おどる亀ヤプシ』
(1990.11.1)

1.初恋 ★★★
2.ママと寝る人 ★★★
3.12才 ★★★
4.ボサノバ父さん ★★☆
5.PTA ~光のネットワーク~ ★★★☆
6.俺の走り ★★☆

総合 ★★★

とある調査で子供人気が低いことが判明したUNICORNが、「子供向け」をコンセプトに制作したミニアルバム。オリジナル盤は装丁が「飛び出す絵本」仕様になっていたり、歌詞が「ボサノバ父さん」を除いて全て子供目線のものになっていたりするんだけど、サウンドはどれも一筋縄ではいかないものばかりで、とても子供向けではありません。マニア向けです(笑)。
楽曲によって異なるアレンジャーを起用している今作、正調バンドサウンドは全く聴くことが出来ません。1曲目からして、EBIによるアフリカン・ミュージックが7分に渡って展開されます。『ママと寝る人』はジャズ、『12才』では3拍子を大正風のアレンジで聴かせます。『ボサノバ父さん』はタイトル通りのボサノバ。『俺の走り』ではエスノ。阿部の鬼気迫る歌もインパクト大です。今作中で最もとっつきやすいと思われる『PTA ~光のネットワーク~』は、TM NETWORKのパロディー作品。小西康陽による打ち込みアレンジ、民生による宇都宮隆を模した歌唱法も、本物ソックリで思わず笑ってしまいます。
(記:2008.4.3)










ミニアルバム
『ハヴァナイスデー』
(1990.12.1)

1.ハヴァナイスデー Have A Nice Day ★★★
2.魚の脳を持つ男 I Fell In Love With A Man With A Fish Brain ★★★
3.鼻から牛乳 Milkphobia ★★☆
4.レベル Rebel Without A Cause ★★★
5.$2000ならOKよ Mayflower Madam ★★
6.東京ブギウギ Tokyo Boogie Woogie ★★★☆

総合 ★★☆

前作『おどる亀ヤプシ』とは対照的に、シンプルなロックナンバーでまとめ上げたアルバム。ニューヨークで録音されました。
エルヴィス風のタイトルトラック『ハヴァナイスデー』、顔は知っているんだけど誰だったか忘れてしまった相手を社交辞令でやり過ごす『魚の脳を持つ男』、川西の作詞・作曲で長いギターソロが重量感たっぷりの『レベル』など、ロックバンドとしての演奏欲を発散させるような楽曲が並んでいます。『鼻から牛乳』は、嘉門達夫のアレから名前を拝借しただけで、楽曲の内容はいたってマジメなEBI作詞・作曲のラブソング。そして、白眉は笠置シヅ子のカバー『東京ブギウギ』。ゴキゲンなバンドサウンドで、見事にUNICORN色に染まっています。唯一、阿部によるゴスペル『$2000ならOKよ』がねぇ~(笑)。ちょっとこのアルバムには余計だったかも。この曲があるために、今作の一貫性が失われている気がします。
(記:2008.4.4)










6thシングル
『ブルース』
(1991.6.21)

1.ブルース ★★★★
2.サマーな男 ★★★


オリジナルアルバムに収録されていないため、今ひとつ認知度の低いシングル。
表題曲『ブルース』は、川西の作詞・作曲。肉体労働者の気持ちを歌っており、労働の辛さの中から生まれてくる希望をさらっと描写した歌詞は、『ヨイトマケの唄』を思い出さないわけにはいきません。しかし、決してクサい人情的な臭いを漂わせることなく、クールにキメてみせるのが彼ららしいのかなと。サウンドは、ジャズっけをまじえてブルージーに仕立てており、民生もこの曲はとてもお気に入りらしいです。
c/w『サマーな男』は、『ブルース』の歌詞に呼応して、工事現場の騒音で目が覚めてしまった男の歌。湿度の高いサウンドに、民生の脱力感満点の歌詞が乗ります。
(記:2008.4.6)










5thアルバム
『ヒゲとボイン』
(1991.9.30)

1.ターボ意味無し ★★★
2.黒い男 ★★☆
3.ニッポンへ行くの巻 ★★★★
4.開店休業 ★★★☆
5.幸福 ★★★
6.看護婦ロック ★★★
7.立秋 ★★★☆
8.ザ・マン・アイ・ラヴ ★★★
9.フリージャズ ★★
10.風 ★★★
11.家 ★★★☆
12.Oh, What a Beautiful Morning ★★★☆
13.風II ★★★
14.車も電話もないけれど ★★★★
15.ヒゲとボイン ★★★☆

総合 ★★★★

UNICORNの全作品の中でも、ひときわ独特の空気感を持つアルバムです。テーマが重い楽曲が多く、サウンド面でも一聴して印象に残るようなハデなものが少ないため、とっつきづらいという印象を持たれやすい一枚。
歌詞のテーマに関しては、夫婦間の不仲・DVを子供目線で描いた『幸福』、同棲していた彼女と別れ、自分も部屋から出て行くことになったという『フリージャズ』、役所から立ち退きを命じられ、家が解体されていくという『家』なんかは、とことんシリアス。こうしたユーモア抜きの救いようのない歌詞は、今までの彼らにはまったくと言っていいほど見られなかったこともあり、これまでの彼らの作品と違う印象を抱かせる大きな要因となっています。
サウンドも、1曲目の『ターボ意味無し』からして、およそ1曲目とは思えないダラ~ッとした脱力感溢れるナンバー。『ニッポンへ行くの巻』の浮遊感や『開店休業』の虚無感なんかも、序盤からあまりに淡々としています。シュールな『風』・『風II』、ブラジル風アレンジの『立秋』なども、地味な印象を与えがち。
しかし、こうした独特の空気感がこの作品の良さでもあります。他の作品にはない味わい深さというものがあるんですね。1曲1曲に、なんていうかなぁ~、まぁ「味」があるんです。野球で言うと、4番バッターはいないけど、小技で繋いで繋いで…っていう粒揃いのチームという感じ。そうしたチームって、長距離バッターばかり揃えたチームよりも強いってことが往々にしてあるでしょ? 今作はまさしく、そんなアルバムなんです。
彼ららしい遊び心は今作においても豊富で、『ターボ意味無し』での「歌よりも先に聞こえるエコー」や『車も電話もないけれど』の段階的フェードアウトなんかは、他では聞いたことのないようなアイデアです。『開店休業』の、ドラムが途中からコソコソと入ってくるというアレンジも、実は当初のドラムの録音を誤って消してしまうというミスの産物でありながら、あらかじめ意図したものであったかのようなハマり方をしています(笑)。
1曲挙げるなら、やっぱり『車も電話もないけれど』かな。幕末のロマンスを描いた歌詞は民生の才能の表れでしょう。
『服部』や『ケダモノの嵐』とは少し異なったスタンスで、またしても他の数多のロックバンドには作ることのできないような佇まいの作品。これも名盤です。
(記:2008.4.4)










8thシングル
『雪が降る町』
(1992.12.2)

1.雪が降る町 ★★★★
2.お年玉 ★★★

名曲。井上陽水がこの曲を聴いて絶賛し、そこから現在まで続く民生との関係が始まりました。中期ビートルズの影響を色濃く受けたナンバーで、大きくゆったりとしたメロディーラインに、弾むようなアレンジが、年の瀬の町並みを優しく包み込んでいくかのよう。冬景色の美しさと「あぁ、今年も終わってしまうんだなぁ」という一抹の寂しさとを溶け合わせた歌詞も素晴らしい。クリスマス・ソングではなく、「年末ソング」という設定です。
c/w『お年玉』は、テンポの良い年明けソング。阿部とEBIのツインヴォーカルです。ほのぼのとした小品ですが、「タコあげすんだら カルタ書きぞめ姫初め」っていう歌詞がブラックです(笑)。
(記:2008.4.6)










6thアルバム
『SPRINGMAN』
(1993.5.21)

1.与える男 ★★★☆
2.金銀パールベイビー ★★★☆
3.時には服のない子のように ★★★☆
4.すばらしい日々 ★★★★
5.アナマリア ★★★
6.オールウェイズ ★★★
7.素浪人ファーストアウト ★★★
8.あやかりたい’65 ★★★
9.音楽家と政治家と地球と犬 ★★★
10.裸の王様 ★★☆
11.薔薇と憂鬱 ★★
12.甘い乳房 ★★★
13.スプリングマンのテーマ ★★★
14.月のワーグナー ★★★
15.8月の ★★★☆

総合 ★★★

制作途中に川西が脱退。頼れるリーダーを失ったUNICORNが、最後の力を振り絞って完成させたアルバムが今作です。
基本的には、作詞・作曲者がヴォーカルを務めるというスタイルになっており、ソロ曲の寄せ集め感が強いです。これまでのように、5者5様の個性の交わり合いがUNICORNの面白さになっているといった印象よりは、メンバー各自のソロ作品を揃えてなんとかUNICORNとしての形を作り上げたというイメージ。「その後」を知った上で聴くから、そう感じるのかもしれないけど…。
ただ、アレンジはシンプルなバンドサウンドに徹した楽曲が多く、そういった意味での統一感はあります。
バラバラに拡散していくエネルギーと、それをなんとか一つに集約させようという力。その両者のせめぎあいから感じられる緊張感こそが、今作の特徴といえるでしょう。
「必然的に」だったのでしょうか、この年9月に彼らは解散を発表。今作がラストアルバムになりました。『8月の』の最後のフレーズが「天気予報では雨になるらしい」で終わっているのも意味深です。
(記:2008.4.6)










10thシングル
『雪が降る町 ~more bell mix~』
(1996.11.1)

1.雪が降る町 ~more bell mix~ ★★★★

解散後にリリースされた、『雪が降る町』の別バージョン。収録内容は、表題曲+カラオケだけ。
1992年にシングルとして発表された『雪が降る町』はUNICORNの中でも五本の指に入ることは確実な名曲ですが、リリース当時はそれほど大きなヒットには結びつかず、当時を顧みた民生がこの曲に何が足りなかったのかを考えた末「そうだ、鈴だ!」との思いに至り、今作のリリースが決まったとのこと。このテキトーぶりが実に「らしい」です(笑)。しかし、結果はオリコン最高38位と大惨敗(ちなみに、元祖『雪が降る町』は最高4位)でした(笑)。
(記:2009.2.9)










11thシングル
『WAO!』
(2009.2.4)

1.WAO! ★★☆

2009年元日。何事もなかったかのように彼らは復活しました。そして、シングル、アルバム、ライブツアーを発表。ツアータイトル「蘇る勤労」には激しく笑わせてもらいました(笑)。
復活第1弾シングルは、アベBの詞曲&ヴォーカル、民生はカウベルで参加。このズラし方がまた(笑)。「輝く波は~♪」の印象的なメロディーが一度しか出てこないなど、一筋縄ではいかない曲作りも健在。
いやはや、帰ってきてしまいましたね、UNICORN。一体これからどんな展開を見せるのか。アグレッシブな活動を続けるのか、民生ソロのようなダラーッとした活動になるのか、そのあたりも含めて楽しみです(笑)。
(記:2009.5.5)


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