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【一冊単位で読むドラえもん】
一冊単位で読むドラえもん
ドラえもんを読むために、現在最も用意に手に入るのが「てんとう虫コミックス」の全45巻。
大抵の人が手に取ったことのあるドラえもんの漫画といえば、このシリーズになるのでしょう。この全45巻は、おおよそ発表年代順に作品を収録しています。
ドラえもんは長期に渡って連載された作品だけに、連載初期と後期では作風が相当異なります。
そこで、てんとう虫コミックスの全45巻を一冊ずつ分析。収録話の傾向や注目したい一話、一冊全体の感想・作風の変化等を見てみようと思います。
※各話のタイトル後に付したカッコ内は、オリジナル掲載誌と掲載年月です。
1巻
未来の国からはるばると
(小四70.1)
ドラえもんの大予言
(小四70.2)
変身ビスケット
(小六74.4)
(秘)スパイ大作戦
(小四70.5)
コベアベ
(小四72.4)
古道具きょう争
(小三70.7)
ペコペコバッタ
(小四70.10)
ご先祖さまがんばれ
(小三70.6)
かげがり
(小四71.7)
おせじ口べに
(小二72.10)
一生に一度は百点を…
(小六73.12)
プロポーズ作戦
(小四71.11)
○○が××と△△する
(小六74.5)
雪でアッチッチ
(小二72.7)
ランプのけむりオバケ
(小二72.1)
走れ!ウマタケ
(小三74.1)
記念すべき第1巻は、初版が1974年8月1日発行。1970年1月号で連載が始まってから、約4年半を経て単行本化されたことになります。
冒頭の2話は、最初期特有のドタバタ感があるとともに、ドラえもんの絵柄も定まっていない印象を抱くのですが、その次に掲載されている『変身ビスケット』は、1974年の作品ということで、道具の効能を軸にしたストーリーといい、絵柄といい、非常に安定感があります。余談ですが、僕はドラえもんはこの1974年頃の作画が一番好きですね。
その他の各話も、ドラえもんのキモである道具中心のストーリー運びを見せながら、のびドラともにアグレッシブに動きまわっていてとても楽しめます。トータルで見ても、コミックス全45巻の中でかなり充実した巻だと思いますね。
「一生に一度は百点を…」は、さすが「小学六年生」の掲載話だなぁと思わせる、メッセージ性の高いストーリー。ギャグ漫画の中にそれとなく教訓を盛り込んでいます。
また、「(秘)スパイ大作戦」などから分かりますが、連載初期ではジャイアンよりもスネ夫の方が、悪役・ライバル的存在という位置付けだったようですね。
2巻
収録話の年代的には1巻とそれほど大きく変わらないのですが、連載最初期の1970年の話が少ない分、1巻と比べると全体的により安定・充実した印象を受けます。道具メインのストーリー展開も1972年頃には完全に確立。それでいて中期以降のような展開のパターン化(ドラが道具を出す→のび太が調子に乗る→しっぺ返し)もしていないので、今読んでも新鮮味があるます。メインキャラ5人はもちろん、玉夫おじさんやスネ夫のママといった脇役キャラも、その後とほぼ変わらない性格づけが行われています。
数少ない1970年掲載話の「恐竜ハンター」は、最初期ならではの設定という感じで、恐竜をペットにしてしまうところなどは後年の話との矛盾が出てくるのですが、それはご愛嬌か。それよりも、連載初年で早くも大昔の世界へ足を踏み入れているというところに注目したいですね。
個人的には「地下鉄をつくっちゃえ」・「タタミのたんぼ」の2話が大好き。庭や部屋の中など、身近な範囲で何でもやってしまう「箱庭感」って、ドラえもんの出す道具の大きな魅力のひとつだと思うんですよね。
のび太の名前の由来が明らかになる「ぼくの生まれた日」は、後に映画化もされる感動的な1話です。
3巻
表紙ののび太がなんだか幼いのが気になります(笑)。そんな3巻。
まずは、冒頭の「あやうし!ライオン仮面」。タイムパラドックスを小学四年生に理解させることに成功させた、F先生らしい見事な1話。以前にもこうした要素を取り入れた作品はありましたが、ドラ世界でも違和感なく成立していますね。
この他、日付変更ネタ、ウソが本当になるネタ、タイムマシンでお金儲けネタなど、その後しばしば飛び出す十八番ストーリーも、この巻で初登場(掲載時期ではなく、コミックスでの登場順を基準としています)。
「白ゆりのような女の子」での、のび太のパパが戦時中に学童疎開していたという設定は、現在では通用しませんが、これはこれで残していってほしいですね。「ゆめの町ノビタランド」は、現在も続くアニメ版ドラえもんの記念すべき第1話。また、この巻のラストを飾る「ペロ!生きかえって」の最終コマには、感動と共に爆笑させてもらいました。
1970年掲載話の「ああ、好き、好き、好き!」は、エキストラキャラ(のび太の先生を含む)の暴れ方と、ドラえもんのしっぽを引っ張って姿を消すという最初期の設定が、ちょっと違和感を覚えるかな。これは1巻に入れたほうが良かったかも。
4巻
ドラえもんは各巻の1話目が傑作揃いですが、これがまたすごい。「のろいのカメラ」は、扉絵から過剰な演出コマからストーリー展開までハチャメチャ。パーマンの登場人物であるガン子を今話限定で登場させ、しかもジャイ子と友達という設定にしているのがすごいアイデアですね。
冒頭の話がこんな感じなので、2巻や3巻以上に、「初期」を感じさせる巻です。実際、1970年~1972年の話が多いですからね。
「おもちゃの兵隊」は、マイナーなのにお馴染みのドラえもんの歌(「こんなこといいな~♪」)の2番に登場するという不思議な道具(笑)。
「海底ハイキング」は初のドラミメインの話ですが、ドラミの登場理由には触れていても、ズル木に関する説明がないので、読む方は「???」かもしれません。ストーリー自体は「海底鬼岩城」の原型とも言えるもので、通常のドラえもんの話ではなかなか描かれることのない科学的な細かい説明が付してあったりして、高学年向けの一話ですね。冒頭の「のろいのカメラ」と凄い落差です(笑)。おかげで、一冊全体を眺めてみるとちょっと、シマり方と纏まりの足りない印象の巻かな。「世界沈没」の夜の描写は好きだったりするのですが。
「おばあちゃんのおもいで」は、これまた映画化されているので、知名度も高そう。
5巻
1972~1973年の話が中心で、最初期とも成熟期とも違う不思議な空気感を醸し出している巻。さらっと読める話が多く、バラエティ豊か。低学年の子供が読むのにかなり適している巻かなとも思います。
地球を作ってみたり、四次元の世界へ行ってみたり、地底へ行ってみたり。しかし、日常の範囲を逸脱せずに描いているのが、ドラえもんの良さ、F漫画の良さですね。
最終話には感動のストーリーを置くのが定番化してきたようで、今回は「ぞうとおじさん」。のび郎おじさんが初登場しています。
この巻の白眉は、「ドラえもんだらけ」でしょう。タイムパラドックスを取り入れた話の中でも、最高峰と言えると思います。
6巻
「さようなら、ドラえもん」を収録した6巻。ひとまずドラえもんは最終回を迎えます。でも、ご安心を。ちゃんと次の巻で帰ってきますからね。
この巻はレベルが高いです。最初の「夜の世界の王さまだ!」から、子供の頃の夢を叶える楽しい1話。「温泉旅行」や「はこ庭スキー場」もいいし、「ほんもの図鑑」・「どこでも大ほう」なんかも、あったらいいなって思いますね。ワクワクする話ばかりです。
時期的には1973~1974年の話が中心。絵柄も落ち着き、ストーリーも成熟化。道具をメインにしつつも、マンネリ化していない各話固有の展開。素晴らしいものです。やはりこのあたりが、ドラえもんのひとつのターニングポイントだったと思います。
ここらで一度、ドラえもんの連載について、どの時期をどのように位置付けるべきか、整理してみると、
1970~1971年…最初期
1971~1973年…初期
1973~…中期
といったようになるのではないでしょうか。
ここまで見てきたように、同じ巻の中でも話によって掲載された年が違うので、これをコミックスの巻数で整理するとなると難しいところですが、強引に線引きをするとおおよそ以下の通りですかね。
1巻…最初期
2~5巻…初期
6巻~…中期
最終回/再開を基準にして6巻までを初期、7巻以降を中期とすることも出来るのですが、僕はこちらの分類のほうが落ち着きます。
以上は全て、僕個人の分類ですので、ご承知のほどを。
なお、この巻の最後には「ドラえもん百科(すばらしい道具のいろいろ)」が。これがかなり笑えます(笑)。絵はF先生ではありません。
7巻
6巻の最終話で未来へ帰ったドラえもんも、無事にのび太のもとへ帰ってきます。
…なのですが、ラインナップを見てみると、1970年・1971年の話も収録されていて、時期的には6巻よりも古い印象もあります。内容的にも、充実の6巻の後だけに相対的にややイマイチ。決して悪いというわけではないのですが、6巻が魅力満載だっただけにね。
見所は「好きでたまらニャい」と「ネズミとばくだん」での狂ったドラ。ナンセンスギャグ系では「くせなおしガス」・「ウルトラミキサー」が笑えます。
8巻
1975年の掲載話が多くを占め、すっかり中期ドラの成熟を感じさせる一巻。感動狙いに走った話もなく、飛び抜けてこれだという話こそないですが、とにかく全22話通してドラえもんという漫画の楽しさが伝わってくる一巻だと思います。短期間・同時期にこれだけの話を連載していたF先生のパワーはすごいです。
9巻
今回も1975年の話が多く占める中、ここにきて1970年・1971年の話もいくつか混ざっていたり、「小学一年生」に連載された低学年向けの話もあるのですが、この巻の中ではそれらの話がそれほど浮いている印象もありませんね。今回がそれだけバラエティ豊かで動きのある話が多い一巻だということでしょうか。
「ジーンと感動する話」・「王かんコレクション」・「世の中うそだらけ」など、マニアの間で語り草となっている話も多いです。また、有名な「通りぬけフープ」はこの巻で初登場しています。
そして、最後にはバケルくんと共演した「ぼく、桃太郎のなんなのさ」を収録。この作品も映画化されていますね。
10巻
安定感があり、中期ドラワールドが展開されている読みやすい一冊。
そして、この10巻といえば、「のび太の恐竜」。少年サンデー増刊号に掲載されたこの話は、その後大幅に加筆修正されて、大長編の第1作となりました。のび太の成長・優しさを描いた一話で、大人になってから読み直すと、また違った味わいがあるのではないかと思います。
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