ラジェンダ エリコムリ            L'agenda d'erikomri

青空


あの頃のことは、あんまり思い出したくないんだけど。
なんだか全てが低調で、なにもかもが恨めしく。
毎日、すべきことをしないで、膝を抱えて椎名林檎をきいていた。

どうにもならないことが、たくさんある。
そんなことを思いながらね、過ごしてたんだよ。
ここのところね。

ロンドン・アイの中、他に日本人はいなかった。
ひさしぶりに会った私たちは、
とりとめもない現状報告をする。
観覧車というには、おおきすぎる乗り物。

ゆっくりと、あまりにゆっくり、
その大きな部屋は、ロンドンの空をのぼって行く。
気付くともうてっぺん。
ちょっとつまらない。

1年間の留学をしにきた彼女。
ずっとつきあってる彼氏がいるのに。
今までもあんまり会えなかったから、
長距離だって同じなんだよ。
そんな思い切りのある彼女が羨ましかった。

寂しさの弊害は、あまりにも大きい。
彼のために留学しなかったなんて、嘘。
わたしは、意気地のなさを、
恋愛のせいにしていたんだ。


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