日々、考察中。

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カプチーノ!

カプチーノ!

2004/6/11
 すばらしい車である。
 ドライビング・プレジャーという視点から総合的に見て、この車に勝る日本車に僕は出会った事がない。しかも、軽自動車であるから維持費がべらぼうに安い。本当に素晴らしい車なのだ。
 軽いというのは凄い事である。走る、止まるのレベルが高くなるのだ。カプチーノは軽い。重いのは僕だけである。軽量化チューンをするにあたっての最も効果的な事は、僕のダイエットであるか。
いくら運転技術が未熟な僕でも、そこいらをちんたら走っているスポーツカーモドキならかもれる実力を車自体が持っているのだ。なにしろ、小さい。片側1車線の道路で右折車がいたら、まず間違いなく後続を置き去りである。狭い隙間を簡単に抜けられるからだ。小さいのもすばらしい。

 僕がこのすばらしき軽自動車を失ってから、2年の月日が流れようとしている。
 会社への通勤時、制限速度50kmの道路を走っていた僕の前に、側道から無停止で高校生の乗った自転車が飛び出してきたのだ。自転車はバンパーに衝突し弾き飛ばされ、乗っていた高校生はカプチーノのフロントガラスをこなごなに砕いて、Aピラーを曲げながら斜めに落ちていった。僕の頭に浮かんだのは、"死んだ"という文字だったが、死んだのは高校生ではなくカプチーノだった。高校生は1週間の挫傷と打撲ですんだ。僕のカプチーノは廃車になった。
 2年近くが経とうとしている今も、カプチーノは僕の家にいる。かなりの部品が僕の手で剥ぎ取られ、いくつかの部品は知り合い達が持っていった。錆びつつあるエンジンを載せたボディーだけが、僕の手元にあるのだ。僕はそれを見る度に、あの事故は現実であったことを思い出す。
 2年たって、やっと僕のカプチーノを処分してもいいかな、という気持ちがわいてくるほど、僕の中にめいっぱい浸透していた車だったのだ。


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