月浮かぶそら、輝くひかり。 -静かな夜空の小さなトモシビ。

第六章-遅刻寸前ぎりぎりセーフ。


「・・・あれ?」
僕は不審に思った。僕が、今まで目覚ましに頼っていた僕が、なぜ?僕は目覚まし時計に近づき、針を見た。
「・・・っ!!」
それは、あってはならない光景だった。
「7時・・・40・・・分?」
そう。7時40分。いつも起きている時間とはまったく違う、大幅に遅れている時間。
「し・・・しまった!!セットするの忘れてた!!」
僕は昨日、セットせずに寝ていた。別にあせっていたわけでもないが、すぐに寝てしまったので、セットするのを忘れていた。
「は、早く準備しなきゃ!!遅刻する!!」
学校までは普通に歩くと30分ぐらいはかかる。今は7時40分で、普通にご飯食べて用意していたら絶対に8時にはなってしまう。そして登校するのに30分。やばい・・・。
僕はあわてて準備を始めた。階段を駆け下り、キッチンに入り6個入りのパンの袋を取る。いつもはゆっくりと食パンを焼いているがそんなことしている暇はない。袋がどうなろうと関係なく荒々しくパンを取り出し、生のままパンを口に運ぶ。そしてまた階段を駆け上がり自分の部屋へ直行。今日授業で使うものを一通り学校指定の鞄に詰め込む。そしてまた階段を駆け下りて今度は玄関へ。いつもはいている靴を下駄箱から取り出し足を靴に入れる。そして荒々しくドアを開ける。壁に当たり 
バンッ!
という音にも気にせずに外に飛び出した。
「おはよう」
「・・・っ!」
そこには里緒が立っていた。
「な、なにしてるのさ?里緒」
「なにって、待ってたの」
「は!?い、いつから?」
「んーと、7時30分ぐらい?」
彼女はずっと陽介が出てくるのを待っていた。20分間も。
「先行ってたらよかったのに・・・」
「うーん、でも一緒に行きたかったし」
「じゃあインターホンでも鳴らせばよかったのに・・・」
「迷惑かなーって思って」
彼女はあはは、と笑った。あまり笑い事でもない気もするが。僕たちは自然に歩き出していた。
「一緒に行きたかったって、何か話すことでもあったのか?」
「別にー。特に何も」
「じゃあなんで待ってたのさ」
「なんとなくー」
能天気なのか、楽天家なのか。よくわからないがそれが彼女の性格らしい。
「まぁ、いいか」
「うん。いいね」
彼女は笑った。僕も笑おうとしたがやっぱり少し引きつっていた。
「あー、歩いていたら間に合わなくない?」
彼女は思い出したように言った。
「うぁ!!そういやそうだった!」
僕はいきなり焦り始めた。彼女と話していたらすっかり忘れてしまっていた。
「は、走ろう!」
「うん!」
僕たちは走り出した。
ずっと、学校に着くまで走り続けた。
キーンコーン─
「ぎ・・・ぎりぎり・・・」
「はぁ・・・はぁ・・・疲れた・・・」
「あそこで里緒が思い出さなかったら遅刻してたな・・・」
「だね・・・気づいてよかった・・・」
僕たちはかなり疲れている状態で教室に入った。


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