月浮かぶそら、輝くひかり。 -静かな夜空の小さなトモシビ。

act2-Five-属性検査~リン編~



驚きを隠せていない表情で属性球を見つめるルイス。
教卓の中央に置かれた球体の中で、二つの色が渦を巻いていた。
二つの色は決して交わることなく、球体の中で綺麗に円を描いていた。
二つの色は……赤と黒。すなわち『炎』と『闇』の属性を表す。

「……リン」

「はい、なんでしょう?」

「自分の属性は知っているか?」

「ええ、もちろん。コレでもランクAですから」

「そうか……。なら、言ってみろ」

「炎と闇、二属性を操れます。さすがに無属性ではありませんが。」

「……ありえん」

つい先ほど言った言葉を、もう一度繰り返し言う。目の前で起きている事態が認め難いものなのだろう。

「とても理解しがたいが……属性球が反応しているのだから実際そうなのだろう。うちのクラスの生徒はどうなっているんだ……まったく。まぁ、戻っていいぞ。ケイオスに来るように伝えてくれ」

「わかりました。失礼します」

リンは一礼してその場から去り、シンクたちの元へ──自分の席の方へと戻る。




「シンク」

「……なんだ?」

面倒くさそうな表情で、シンクは視線を窓からリンへと移す。

「ルイス先生が呼んでる。次、あんたの番でしょ」

「……あぁ」

ため息の様な返事をして、シンクはルイスもとへ歩いて行く。リンとアライアンは無言で見送り、属性の話をし始めた。

「ところで、リンの属性って?」

「炎と闇よ。攻撃特化ってところかな」

「二つの属性……ねぇ。常識はずれもいいところだ」

「酷い言われ様ね。私より、あいつのほうが常識はずれな気がするけど……」

「シンク君か。性格のせいもあるかもしれないけど、なにか異様な雰囲気を感じるよ」

二人は顔を教卓側へ向け、魔力を注いでいるシンクへと目をむけた。


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