Fancy&Happiness

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第6章


単純に、話が出来て笑いあえるのが楽しかったんだ。華乃の満面の笑みは、僕にとってすごくまぶしいものだった。
けれど、最近僕は気付いてしまった。
・・・・・・華乃がだんだん弱っていることを
会った当初は、少し歩いたりするくらい全然平気で、僕達は綺麗な庭をゆっくりと散歩したりしていた。
しかし、今は起き上がるのさえ辛そうな時がある。
彼女が病気なのだと、改めて認識させられた。
「辛くない・・・・?」
僕が訊くと、華乃はいつも笑って答えてくれた。
「ホスピスはね、病気の苦痛を最小限にするための施設でもあるんだよ?だから、大丈夫!!」
痛みは感じないよ、と。
でも、僕にはなんだか辛そうに見えて
でも、何も言わなかった。
彼女の苦しみは、彼女にしか分からない。下手に何かを言って、彼女を傷つけることはしたくなかった。
・・・・・しかし、それは突然。
信じたく無い事実を突きつけられた時、僕のその考えはあまりにもろく、崩れ去ってしまった。

彼女の部屋へ行ったら、彼女はベッドに横になっていた。
どうやら寝ているらしい
起こさないように静かに椅子に腰掛けると、眠る彼女を見つめた。
最初に会ったときよりも、さらに痩せている・・・・。
黒い髪に縁取られた肌は透けるように白い。
とても美しい、美しいのだが・・・・、病気のせいであることは明白だった。
「空輝ちゃん・・・・、」
小さな声が僕を呼んだ。
「ごめん、起こした?」
僕が慌てて言うと、彼女は小さく首を横に振った。
そして、いつに無く弱々しく僕に微笑んで見せた。
・・・・あまりにも悲しい笑みだった。
「空輝ちゃん、このままでごめんね?今日はあまり気分がよくないの・・・・」
華乃は言った。その声はやはりいつものハリを失っていた。
「いや、無理しなくていいよ。具合悪いなら、今日は帰る。」
「やだ、行かないで!!・・・・お願いだから今日はここに居てっ!」
・・・今日の華乃はいつもの彼女らしくなかった。
いつもはなんだかちょっと強気で明るくて、病気であることを感じさせないような彼女なのに。
痛いとか、嫌だとかそう言う弱音をあまり吐かない子なのに。
「華乃がそう言うならいるけど・・・・。どうかした?」
僕が訊くと、華乃は俯いた。
「・・・・体、力入らなくなってきちゃった・・・・。」
彼女は自らの骨と皮ばかりの手を見つめていた。
「・・・・・・もう、自力で歩くことも困難なの・・・、」
そうか
僕は立ち上がる。
「華乃、すぐ戻ってくるから、ちょっと待ってて?」
僕は彼女ににっこりと微笑んで、そして帰らないという印に自分の鞄はおいたまま、華乃の病室を出た。 7へ続く



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