Fancy&Happiness

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第9章


それは、確認に近い言葉だった。
女性は僕の目を見つめたあと、
・・・・・ゆっくりと頷いた。
「・・・・昨日、あなたが帰られた後に。」
その言葉が、心に重くのしかかってきた。
「彼女は、あの後眠るように静かに、そして微笑みながら逝きました、」
多分、自分でも悟っていたんだと思います。と目の前の女性は言った。
僕の心は悲しみでおかしくなりそうなのに、頭の中は驚くほど静かで冷静だった。
「彼女は、あなたが帰った後、・・・・私にこれを渡したんです。」
空輝ちゃんへ
そう書かれた小さな可愛らしい封筒。
僕はそれを受け取って、そっと中を見る
折りたたまれた紙が入っていた。
僕は震える指で、ゆっくりとそれを開いた。

『空輝ちゃんといた時間は、私にとってとても素敵な時間だったよ
だから泣かないでね?
私も泣かないから
たくさんの笑顔をありがとう。  華乃』

すごく、彼女らしい手紙だった。
その手紙を見た途端、何かが切れてしまった様に涙が溢れてしまった。
ごめん、華乃
どうやら僕は泣き虫だったみたいだ。

家に帰ってから、彼女に貰った封筒にまだ何か入っていることに気がついた。
ゆっくりとそれを引き出してみる。
それはしおりだった。
桜の花びらが4枚
そのレイアウトは、僕たちが出会うきっかけになった、あのしおりにそっくりだった。
・・・・僕たちが一緒にいられた時間は本当に少しだったけれど、
だけど、その思い出は僕にとって何よりも大事な想い出になったよ。
きっと、いつまでも忘れられない
君と過ごした幸せな時。  10へ続く


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