Fancy&Happiness

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最終章


彼らはぽつり、ぽつりと話し始めた。
空輝ちゃんは今の私にとって、一番大事な人
そう華乃は言ったそうだ。
しかし、華乃の両親はなにかを勘違いしていたらしい
彼らの中では『アキちゃん』は女性の親友として捉えられていたのだ。
華乃が死んだ時、アキという名の女性を探したそうなのだが、見つからなかった。
そして月日だけが過ぎた。
華乃のご両親は1人娘だった彼女の死を受け入れられず、遺品もそのまま手付かずにしていたのだという。
「でも、最近やっと心の整理が出来て、それらに手をつけたんです。」
華乃の母親が言った。
「そうしたら、華乃の日記が出てきました。」
鞄からゆっくりと出されたのは、赤くて可愛らしい日記帳
それを読んで、『アキちゃん』が男だという事にやっと気付いたらしい。
「毎週のように来てくれる、って日記に書いてあったので、ホスピスへ行ってお見舞いにきてくれた人の名簿を探してもらいました。」
「そしてここの住所を知り、やっとアキさんにたどり着いたんです」
母親の言葉をつなぎ、父親がかみ締めるようにゆっくりとつぶやいた。
僕はどうしていいか分からずに、2人を交互に見つめ、少し躊躇った後、最初からあった疑問を2人に投げかけた。
「・・・・・・・・どうして、遠いところわざわざ僕の所へ?」
「・・・・・ただ一言、お礼が言いたかったんです。・・・・・華乃に幸せな時間をくれたあなたに」
ありがとうございます、
と2人に頭を下げられる。
「いえ、僕は頭を下げられるほどの事なんてしてませんし・・・・。それに、華乃にもらったものもたくさんあります。」
・・・・不思議と、僕たち3人を囲む空気は暖かで穏やかなものだった。
なんども僕に『ありがとう』を言う2人の目には自然と涙が浮かんでいた
けれど、
それは悲しみの涙ではなかった気がする。
最後に、華乃の日記を手渡された。
読んで欲しい、と2人は言った。

・・・・・・これを読んだら、僕の世界は色づくだろうか?
止まった時計は進みだすだろうか?

赤い日記を見つめながら、僕は予感に捉われていた。  END




さて、ここまで読んでくださって本当にありがとうございます!!

実はこの後にエピローグがあるのです。(長くてゴメンなさい;;)
日記UPした結末は睦月が最初に考えた結末ではありません。話に無理がある過ぎるかと思い、泣く泣くファンタジー風味溢れる最後を設定しました。
しかし!自分が納得しなかったのと、後日それが可能なことを知ったので、そちらも書く事にしました。
ですので、お好きな結末を選んでくださいな♪

彼に起きた奇跡(日記UP)→エピローグ 1へ

彼女に起こった奇跡(追記)→エピローグ 2へ

もう少しお付き合いください!!



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