06/08/20 あの日夢見た天嶺山

※石垣島 での夢のようなフライトから一ヶ月。。。

あの南国の空気と、カラーインクのようなコバルトブルーの海と、空。
そんでもって、冷えたオリオンビールに、石垣牛でしょ。ゴーヤーチャンプルでしょ。ラフテーに沖縄そば。
ああ、楽しかったなぁーじゅるぅ。(←美味しかったの間違いじゃ)

ただ、せっかく武者修行さながら飛びに行ったのに、結局風が強すぎてモータータンデムをしてもらって終わってしまったのが唯一の心残り。

帰ってきてからも、撮った写真を片手に、
楽しかった、でも、自分で飛びたかった。でも楽しかった。と郷愁にふけっていた。
まるで部屋の整理をしてたら、思いがけず昔との彼との写真を見つけて
「あんなに楽しかったのに、何であたし達別れたのかしら。」みたいな。
そんな窓辺にもたれて落ちる木の葉を眺めつつ、アンニュイなため息をつく
日々を送っていたわけですよ。

そこに訪れた一本のお誘い。「高塚へ飛びに行こう!」と。
たかつか?ふーん、それはどこなんじゃ?と。
イカロス出版 日本全国フライトエリアガイド をぱらぱらとめくってみたワケ。
日本全国フライトエリアガイド

↑ちなみに、この本においらが載ってるぞ。ちょっと場違いなコメント書いて浮きまくってるぞ。今なら書店でもれなく僕と握手!


すると、なんてこと。高塚は海のそばーーーーーーーーーーーーー!
てことたぁ、今度こそあたしの手でヤツを、そう、ヤツを!!

ソコ絶対行くーーーーーーーーーーーーーー!!(by稲中卓球部)

と思っていたら大人の事情で高塚行きが延期になり。
そして、翌々週に今度こそ、と思っていたらハングの大会があるのでパラが飛べない、と高塚行きはお流れ。

ああ、やっぱりあたしは海とは縁の無い宿命なのかしら・・・
よよよ・・・と泣き崩れていたところへ、H多さんからのメール。

「代わりに河津浜へ行く事を検討中だそうです」

ふーん。。。

どっちでもいいよぉ~早くつれてってくれよぉ~ ハナクソ(σ- ̄)ホジホジ←すでにテンション落ちてるし。

と、まったくもって河津浜について 日本全国フライトエリアガイド ←ちなみに、この本においらが(以下略)
をめくることもなく、朝4時半に起きて、5時半に家を出発。

ちなみにこの日のメンバーは
DUNKさん・S井さん・きくきく・てっちゃん・ナンちゃん・Qちゃんファミリー・牛さん・H多さん・ヤッシー
あたし・チアキ・ちゃまの、総勢13人と、大所帯。

取りあえず、朝7時に沼津インター近くのS井さんちの近くで集合。すでに太陽が昇りはじめ、すでに暑い!これからもっと暑くなりそうな雰囲気。
荷物を積み替え、車の数を減らして中伊豆を抜けて河津浜へ。
ここまでほとんど渋滞なし。

ランディングとおぼしき河津浜海岸(だって吹流しあるし。。。)に着くと、すぐ横の、海岸にせり出した天嶺山から、1機、2機とフライヤーが飛び出していく。
ほとんど前に出ない。が、高度も落ちないし、ゆれても居ない。
へぇー結構高いなぁーと、この時はまだヨユウだった。

で、とりあえずテントを張り、バーベキューの準備をし、現地で集合だった何人かも揃ったところでいざテイクオフへ。
細くて急な山道を登りつつ、木々の隙間から時折見える海がもう燦然とキラキラしていること!

キャ━━━━(゚∀゚)━━━━!!

すんげぇ~キレーイ♪たかーい♪
うわーい。うわーい。早く飛びたぁい♪なんてはしゃいじゃったりしてさ。(歳も考えずな)
いやいや、「あの時」までは未だ罪を知らない子供のように純粋だったのよ、あたくし。
そう、「あの時」までは。
夢だけ見ていられれば良かったのに。

で、まぁ途中で車が脱輪するなどのハプニングがありつつも、えっちらおっちら機材を抱えて
テイクオフに向かうと・・・向かうと・・・・




な・・・


なんじゃこりゃぁぁああああ!!!

のおおお

英語で言えば

What the hell is this!

と、ジーパン刑事(by太陽にほえろ)もはだしで逃げ出す、とんでもねー景色なのよ!!!!

(つか、あたし生まれてないだろ!ジーパン刑事とか知らないだろ!!)

標高350mで、高低差は300程だというが、高さを比較するものがないせいか、実際はもっと高く感じるくらいだ。

つか、なに?この金属で出来たハンパ無い斜面の向こう側がいきなり空と海なんですけど。
この向こうに何があるというの?夢?希望?死んだおじいちゃん?
つか、テイクオフは板張りランチャーから金属張りになってテイクオフしやすいとかって言ってた関係者!!
出てきて、ちょっとそこに正座しなさい。かぁさん、お茶を入れなさい。

あたしゃね。今まで色んなテイクオフを見てきたけどね。(嘘、たいした数じゃない)
ランチャーっつったら、あたしの中では八郷のアレなわけ。(だってそれしか飛んだことないからね)
あのね。こんなに小さいなら、小さいと。なんで最初に一言言っておいてくれないのかと!
あたしにだって、それならそれで事前に準備(イメトレとかイメトレとかイメトレとか。)が色々あるのだよ!!(何ギレ?)

これはもうね。出やすいとか出難いとかそういう次元の話じゃない。
食うか食われるか。やるかやられるかなわけ。
なんつうか「人類で最初にナマコを食べたヤツって勇気あるよな~」っていう世界なの。
誰?このランチャー作った人。全員目を閉じて手を上げなさい。先生怒らないから。

あたしが呆然としている間に、次々とテイクオフしていくベテランパイロット。

このグライダーの広げ方・・・

つか、キャノピーを広げる場所も 壁 なんですけど。。。
みんなが持ってないと、ずるずる落ちて来ちゃうし・・・

テイクオフして、リッジ帯に向かう朝霧(白糸)と違い、テイクオフがリッジ帯・・・
立ち上げた途端、音もなく一気に10mくらい垂直上昇!それをみて、気分上昇!!・・・どころか、恐怖にも似た興奮で、おいらの心臓はドキがむねむね。
鼓動が耳の中でどっこんどっこん言ってて、今にも鼓膜から血が噴出すんじゃないかと思うほどなんだよ!。
手にも足にも神経が通ってないみたいに、力が入らない。
息はバス停までの坂を登りきったみたいにはあはあ言ってしまう。
しかしフト見渡せば皆あははうふふって笑ってたのしそう。
ねえねえ。今ここでビビってるフライヤーって、もしやあたしだけなの!?ねえ!!

「じゃあ、次あこちゃん出よう」

( ;゚д゚)

((;゚Д゚)ガクガクブルブル

((((;゚Д゚)))ガクガクガクブルブルブル

とりあえず、言われるがまま機材を抱えてその問題のランチャーに立つと、皆がさささっとキャノピーを広げてしまう。
実際にランチャーに立つと、斜度が結構あって、狭い!後ろは怖いから振り向くのをやめた。

マジであたし、飛ぶの?

呆然としている間にラインチェックまで済まされ、準備はOK。

ああ、ほらもう手が震えて何かの依存物が切れちゃった人みたい。
ひざだって負けじと笑っちゃうくらい笑ってる。
遠くから馬が駆けてくるみたいにどっどっどっどっどって言ってて、ヘルメットがやけに息苦しい。

無理無理無理無理無理無理無理無理ィィィィ!!

「大丈夫だよ~ダメだと思ったら3人がかりで引っ張ってやるから。飛びやしないって。」

「あこちゃんが飛べば今日の目的は果たしたようなもんだな」

との言葉になんだかちょっと気が楽になる。
情けないな~まあ、練習もしてないし。当然といえば当然か。朝霧行ってないしなぁ~ああ。あたしは何年パイロ(以下略)

・・・これ、立ち上げ、ソロソロ(ゆっくり)かな。パン(最初だけ強めに)って行った方がいいのかな。

スウ~(-。-)

ハァ~(-0-)

と、深呼吸して、よし、行くぞ。行くぞ。
最初だから、ゆっくり・・・とそろそろ~っと後ろに下がるも。
立ち上がるどころか、斜面(というか、壁)に置いていたキャノピーは落ちただけだった。

最初だけもう少しイキオイ良く行ったほうがいいのか。と、2回目。は、もう少しだけ強めに行ったが、立ち上がり切らず、傾いたので落とした。
まだまだ及び腰。完全にびびってる。

3回目。よぉ~し。行くぜっ。

今度こそ!っと、ぐいっと腰を落として立ち上げる。風があるので最初はちょっと傾いたが、すぐにまっすぐになり、テンションぱんぱん。
頭上で止めたとき、ワンクッション置けたおかげで落ち着いて振り向けた。

よし、出!!と思うまもなく、すばばばーーーーーーーーーっと上に持ち上げられた。
音もなく、揺らされることもない、サーマルブローで持ち上げられる感じとはちょっと違う感触

のぉぉぉぉ~~~~~~~~~~~(叫)

持ち上げられるが、前に出ない。
すると「バンザイして~~」と言う声が聞こえて慌てて手をバンザイしてフルグライドにする。
すると、じわりじわりと前に出だした。
緊張して、自分がブレイクを当ててる事に気づかなかった。(´▽`) ホッ

出て、テイクオフを離れるまでの、数十秒。

あたしには緊張で全然景色が見えていなかった。
ホントに「我に返る」とゆー表現がピッタリ当てはまるようにハッと。
その景色がゆっくりとピントを合わせていき、脳に届いてあたしを揺さぶった。

おおおおおおおおおおおおおおおおおおお

海だ!!!!!(←当たり前。てか、最初っから見えてたよね?)

海だーーーーーーーーーーーーーーー!!!(←二回目)

DSC01935.JPG

空と海の境目

船が・・・

すごい。すんごい。ものすんごい。
まだ午前中だから、ナナメから日が射してるわけで、波面とかがハンパなくキラキラしてて、そこにぽつんぽつんと船が浮かんでて、遠くにずーっと海岸線がつながっていて、濃い緑の中に、建物が並び、
海の色は上から見るとずっと碧く見える。その左に見える砂浜は白くて。更に左に海岸線を走る道路と、車が見える。
もっと左にはうっすらともやのかかった山・ヤマ・YAMA!!!

DSC01941.JPG

うわーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーい

すげーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!

風が強いが。かなり安定している。まるで浮いてるよう。皆が両手を話しても大丈夫だと言った意味がわかった。確かに全然怖くないぞぃ。

てっちゃーん

じりじりとグライダーを前に向け、しばし景色を眺めていた。

しばらくぷかぷかと漂いながら、考えた。
うーん。さてこのあと何をどうすればいいんだろうか。。。
天嶺山の周りには他の機体がいっぱい。向かいの山(前山)に出来たら移動したいけど、風強いし。戻ったらまた戻ってくるの大変だしなぁ。

DSC01920.JPG


海の上~

とりあえず、写真を撮りまくる。ばしばしばし。
何をするでもなく、とにかく写真を撮る。ばしばしばし。

すると、あたしより前を低めに飛んでいた人が前山に向かっていったので
ああ、じゃあこれくらいでも行けるんかなーと漠然と思いついた。
ぼけーっとしながら向かう事に。じりじりじりじり。。。
気が付くと、さっきテントを張りに行ったランディングの上を通過。

ん?

なんか変だな…うっすら下がっているような…

さっきまで体に感じなかった「あの」フッと、スッと下がる感じ。
フライヤーならおわかり頂けますでしょうか…

アレが…なんか、少しあるような…

そういえばさっき無線に「河口付近はちょっと下がりますが、前山までガマンすればまた上がりだしますので~」って言っていたような?
そんじゃ待てば向こうで上げ直せるのかな?

と、思ってさらにじりじりじりじり…

その間もあのふっと下がる感じがあたしの警報機のボリュームが大きくなっていく。
自慢じゃないが、あたしの警報機の精度はかなりイイ。

どんどん下がる。最初は気のせい?くらいだったのが、確実に下がってる感じ。建物がよく見えるようになってきやがった。
電線も見える。ヤバイ。これ、絶対おかしいて。
どう見ても、この高度じゃ前山に届かない。絶対ヤバイ。

もう無理だ~~~~~~

と、思ったとき

「あこちゃん、そこだと…ちょっと低いなぁ…一度戻って…上げ直した方がいいよぉ」
というきくきく先生の幾分のんびりとした無線が入るがすでにきびすを返そうとしているところだった。
えーーーーーーーーーーーん。遅いよ!!無線!!(逆ギレ)
フォローを背負い、ものすごいスピードで風下に戻る。
そらもう。ここまでじりじりだったのに、戻るはあっという間しゅばばばばーーーーーーーーーってなもんですよ。
ていうかね。もう上げ直すとか以前の問題。
だって、誰が見ても天嶺山にも届かないんだもの!!!!!!

もうだみだー

迷わず降車ボタンを押した。押しまくった。高橋名人も真っ青の16連射。
降りる!降りまーーーーーーーーす。

と、そこでハタと気が付いた。あたし。

しまった。
だれも降りてないから。ランディングの見本が…ない!!!

慌てて吹き流しを確認し、えーと、河口側のテトラポットの上あたりで高度処理してサイドアプローチだったよね。
再びアゲンストを向けると、またぴたりと動きが止まる。

「浜の真ん中に階段があるので大体その辺を目指して降ろすといいですよ」

と、ランディングから無線が入る。(`^´ゝラジャー
…まだ高い?このままじゃ伸びすぎるかな~と、ちょっと振り振り。

浜辺で甲羅干ししている男性と目が合う。

あ~いやぁ。どーもどーも、すいませんね。でへへ。。。

なんて思いつつ見ていたら、機体がそっちに向かってしまい、ぶつかると思ったらしく取るものもとりあえず、と言う感じで逃げる男性(泣)

(≡д≡) ガーン…に、逃げなくても…

とりあえず、男性のパラソルを飛び越え、着地。

「ナイスランディングでした!!」と、無線が入る。

次の瞬間。近くにいた親子連れから拍手を頂きました…うう。ありがとう。ありがとうよ。ボク。
でも、でもねボク…。おねえちゃん、この中で一番ダメダメだったんだ…てへへ…
ボクはこんな脱落した大人になっちゃいけないよぉぉぉぉ~~~~ε=ε=ε= 。・゜(゜ノT-T)ノ

と、いたたまれなくなってキャノピーを畳むと一目散にテントまでにげだした。
テントに戻ると、誰も居ない。当たり前か・・・へっ。

ぶっちゃけ。そう、buccha-ke
パラグライダーにおいて。

「高度を上げる」「長く飛ぶ」と言う当たり前のことをですね。

す っ か り 忘 れ て 居 た のです。あたし。

パラグライダーって言うのはね、風を読んだりして高度を上げたり時々読みが外れて下がったりしながらね、何時間も飛んだりさ。
あくまでも、自然と遊ぶスポーツなんですよ。スポーツ。
それをあたしはすーーーーーーーっかり忘れて、というか自覚も無くぼけーっと。ただぼけーっと。
あぁー海が綺麗だなーとか、あの雲の形カッコいいなーとか。車からあたし見えるかなーとか。景色見て、時々鼻歌歌って、思い出したように写真とって。
で、高度が無くなったから、降りた。

って、何?これ。観光?あたし、観光客?

いつからパラはロープウェイになったのかと!!!

ま、楽しかったからいいや・・・(遠い目)

あーそれにしてもあちぃ・・・座ってるだけで汗が噴き出てくる。
もう、脱いじゃえ。どうせ下は水着だ。ほーれほれ。みなさーん、水着ギャル(死語)ですよー今なら独り占め!!ほれほれほれ。早く降りてこい。
と、砂浜から念を送る。ひとり観客のいない水着ショー。…だれも降りてやこねえ。○| ̄|_<マケタ ←何に?

しばらくテントの中でぼけーっとしておりましたら、30分ほどでランディングしはじめました。

おかえりー寂しかったよぉ!!

そのあとは、そう、夏と言えば、海。海と言えばB・B・Q!!!バーベキュー!!そして片手にはビールなのよさ!!

(*  ̄▽)o□☆□o(▽ ̄ *) カンパァーイッ♪

肉肉ぅ!ビールとちゃまwチアキとスイカ割り~パックリ!S井さんとあたしとダンクさん♪

あたしはビールを飲んで、すっかりご機嫌。
時々海に飛び込んで(水は冷たかった~)ボディボード(ほとんど波ないけど)をやったり、グラビアごっこやったり、またビール飲んだり。
お肉に、サザエの壺焼き、ナンちゃんが作ってくれたスモーク。
富士宮やきそばも食べたしースイカ割りもしたしー、H多さんが買ってきてくれたアイスも食べたし、最後は胃下垂のおいらはどんどん腹がでてきてビキニの上にお腹が乗って、引っ込めてるのが辛くなってきたわよぉ!!

超楽しい~~~~~~~~~~~~~~~~~~(≧∇≦)

もちろん、帰りは温泉に入り。そのあと寄った帰りの和食屋さんでは、ざるそばが¥1680とゆー値段にみんなで肩を落としてしまったが、それもまぁ、思い出とゆーことで。心配していた渋滞もなく、スイスイで、C=(^◇^ ; ホッ!

皆様、お疲れ様でした♪

あとで思いついたんだけど、あのテイクオフの景色。あれはフライヤーしか知らないのでしょうね~だって、道も一般車が入れないようにチェーンがかかっていたし。看板もない。
何度も遊びに来た事がある伊豆で、(今井浜とか、河津七滝とか、良く来てたし)まさか自分が飛べる日がくるとは、思わなかったぁ。
パラグライダーやっててよかったなーって、つくづく思っちゃいました。

ぜーーーーーーったい。来年もまた来たいです。そして、今度こそまともなフライトを…
って、まあバーベキュー楽しかったから、もう、どっちでもいいやぁ~でへへ。



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