06/10/09 一年と五ヶ月目の奇跡


いよいよ秋の観光シーズン到来!
世間様はウキウキウォッチン!アチコチソチコチな3連休♪

しかし、いくら晴れたと言っても。
その前日には記録的暴風雨の秋の嵐が通過して、天気図、これもんよ。

秋の嵐ー

ほーら。等圧線バリバリ。天気が良くても、これじゃー飛べるわけない。。。
ので、初日は家で掃除洗濯三昧。
翌日の土曜日には少しはどうかしらね?と思ったけど、

10月08日の天気図.jpg

まだこんなカンジ。
どうせダメだろうなーと思いつつ。天気も良いし、とりあえず行ってみることに。

どうせ、朝イチで行っても何だからと、
H多さんの「まだ紅葉には早いかもしれないけど、富士山の五合目に行ってみようか?」
とゆー提案で、朝霧に向かう途中、富士宮登山口五合目に立ち寄ってみた。

あたし、ここの登山口は初めてだったのだけど、コレが超絶景なの!
雲ひとつない空。正面に駿河湾が見え、西には静岡~御前崎、東を向けば、伊豆半島、大島。相模湾、それになんと千葉の房総半島までくっきり見渡せて・・・って、(◎_◎) ン?

くっきり?

・・・やっぱ、飛べねえわ。今日。

(海抜1,000mの朝霧高原からも海がキレイに見える時は、北風ビュービューだと言うセオリーがある。)

紅葉も頂上付近がちらほら色づいていて、あと1~2週間くらいもすれば見ごろだろうか。

紅葉・・・もうちょいかな?

ごうごうと強い風が吹いていて、マジで寒い・・・。ココだけ冬のよう。
写真を撮ろうと身を乗り出すと、吹き飛ばされそうになる。

寒い~~~~~

山客はバッチリ冬の装いだというのに、長袖のカットソーに薄手のコートのあたし、はっきり言って浮いてる(;´Д`)

さて。寒いしぼちぼち行くかと、ショップへ向かう。

すると、案の定ショップ前の吹流しが北。ほーらね。やっぱりね。
にも関らず、ショップの中はフライヤーでいっぱい。3連休だからね。。。

しばしショップで談笑していると、誰ともなく、「天子岳に登ろう!」という話になり。
どうせ、今日はもう飛べないしね!とばかりに行く行く♪と即答。
諦めの付かないパイロット達も一緒にしぶしぶ登山道へ向かった。

ちなみに、天子岳とは。標高1316メートルの山で、ふもとには田貫湖。白糸エリアのテイクオフからは東に向かって尾根伝いに繋がり、
猪之頭の裏にある西富士からだと、南に向かうとあります。(合ってる?)
朝霧のフライヤーがトップアウトを夢見る山なのですよ。

そう。あの日、猪之頭から天子に走ったあの日。
あの感動の日から、すでに1年と5ヶ月の月日が経ってしまったよ。
アレ以来ぱっとした飛びも無く(まあ飛びに来てないけど)周りからは一発屋と呼ばれ。すっかりパラバブルが弾けちまった。
ああ。なんて諸行無常。奢れる物は久しからず。

イクイク!と軽く答えた物の、実はあたし登山って初めて。
たま~に白糸でテイクオフまで歩いて登るけど・・・いつもは 貧相な すらりとした脚線美で売ってるくらい、まったくと言っていいほど脚力が無いあたし。
なんたって。グランボレのテイクオフへ向かう為のクライマーを断って登ったはいいけども、
あっという間にバテたくらいのヘタレですよ。ええ。
まぁーでも。年輩のハイカーが登ってるくらいだし?なんとかなんじゃね?
と思い、いざ出発♪

んが。

きつかった。

きつかった。

最初と最後が手を使って補佐しないといけないくらい急で、
登っても登っても登っても登っても頂上が見えない。
延々と樹の根っこと落ち葉と岩と顔の周りを飛び交う虫と格闘しながら登る。
みんなは「最初と、最後だけがちょっと大変なくらいだよ」って言ってたけど、全然ちょっとじゃないじゃないか!!(逆ギレ)

途中まで休憩無しのノンストップだったけど、最後のキツイ斜面は数歩ごとに足が止まった。あとちょっとが、どうして前に出ないんだー。
しかしまぁ。そんなあたしでも1時間40分くらいかけてなんとか登頂に成功♪
天子頂上から見る富士山

ばんざーい。ばんざーい。とう!!っと、ジャンプ。
いひひ。これで天子トップアウトじゃ!と、いうわけでー頂上でみんなでお弁当。天気も良いし、チモキイー!

頂上にて記念撮影

しかし、上りがあれば、下りが待っておるのだった。人生と同じよのう。。。
日も傾きはじめた頃。やっとこ下山した時にはひざは大笑い通り越して、ひきつけ起こしちゃうくらいだった。
あ゛ーしんどかったあぁぁ~
山って、飛んでいくとあっという間なのに人の足で登るとエライ大変なんだなぁー。
こんなところで山沈したら、回収隊はとぉ~っても大変だよNE!
よいこの皆は山沈しないようにしようNE☆お姉さんと約束、でっきるっかな~っ?♪♪♪

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さて、飲んだくれて目覚めた翌朝。
心配の筋肉痛も、お風呂でしっかり揉んでおいたので、思ったより出なかった。(´▽`) ホッ
そして、昨日にも増して雲一つ無い青空が広がっていた。見事な秋晴れ。

ココまで回復!
朝イチは、北風がびみょーに残ってる???感があったけど、
ショップに行くと、丁度東が入ってきているところで、今日は飛べるでしょ!ムード。
それにしても、すごいフライヤーの数。ざっとみても30人以上いるんですけど?
この3連休のうち2日間のうっぷんが溜まってるんだろうなぁ~
しかも、今日は猪之頭オンリー。激混みが予想される前山。
まさに血で血を争うサーマル争奪戦になりそうだじぇ。くわばらくわばら。

でもね。今日のあたしはいつもと違うのさ。

昨日の夜。朝霧ロッジで牛さん達にある作戦を授けられてきたのだ。
聞いて驚け!作戦その1!

「誰よりも早くエリアに行き、よくなってきたらすぐテイクオフするように準備しておき、混む前に抜け出す」

誰だ、今笑ったの(-_-メ)

・・・まあ、そんなこた、とうの昔から散々言われてて、わかっちゃいるんだけどさ。
ついつい、ベテランパイロット達がテイクオフに準備しているのを見ると
ヘタレなあたしはテイクオフ失敗したら迷惑だし・・・前山混んでるし・・・と。尻込みしてしまい、
出るのはいつもベテラン達が西富士~に走り出した頃。
それでいつも好機を逃してしまっているのよね。。。

しかし、今日のあたしは2便目のバスに乗り込み(←早い)
すぐさまラインチェックをして、キャノピーを絞り、猪之頭テイクオフでいつも出る真ん中らへんの空いたスペースで順番待ち(←早い)

ハーネスを背負い、いつでも広げれば出られる状態で座っていると、
寒さに備えて着込んだフライトスーツの上から日差しがじりじりと差していくあ。暑い・・・(;´ρ`) グッタリ
(風が吹くとキモチイイのだが、この日、日差しはきつかったのよ)

すでに何機か飛び出して飛んでいるものの、まだ上がりが弱く、前山で粘れる程度。
今なら前山上空すいている・・・いっそ出ようかとちらりと思うが
いやいや、もう少ししたらきっとよくなる。待て待て待て・・・

と。この間、 ぶしゅ連 のTAMさんとベテラン達会話に聞き耳を立て
その好機を待った。

そういえば、ベテランの会話を聞き逃すなとゆーアドバイスもらったなー昔。。。

少しあがり始めた機体がちらほら。
「良くなってきたよ!」とTAMさん達が次々テイクオフ。
それをみて、あたしもすっくと立ち上がり、キャノピーを抱えると
「はいはいはい。ちょっとゴメンよ!」なんて。
まるで商店街のオバチャンのようにずいずいずいっと前へ出て、
タンデムのお客さんが出た途端、ささささーーーっと機体を広げ、
テイクオフの風は強すぎず弱すぎずというカンジだったが、クロスのポジションを取った。

テイクオフの端でカメラを構えていたH多さんの「え!もう行くの?(゚Д゚≡゚Д゚)」という台詞が聞こえそうだ。ぐふふ。
それもそのはず。まだベテランが10機も飛び出していないタイミングにあたしがテイクオフしようとするなんて。

テイクオフは、自分でもびっくりするほどすんなりと。一発で出れたのが気分ヨカー♪
特筆する事もないなーと思っていたら
この時H多さんが、 テイクオフの動画 を撮ってくれていました!(TдT) アリガトウ
滅多に見られない動くあこさんをご覧あれ。

ちょうど良くなりつつあるタイミングだったようで、少し上昇が出ていた。
なんとか乗ろうとするが、なかなかテイクオフより上へ出ない。。。

むむむ・・・いい感じなんだけどなぁ。

しかし、10分もするとだんだん強いサーマルが出てきて、次第に混み始める前山の狭い空域で必死に回す!

そう、この日の作戦その2!
「一度回し始めたら、最後まで回しっぱなし!」作戦!

いつも、サーマルに当たっても、風下に流されるのが怖くて、回しながらブレイクと体重を緩めて風上に機体を戻したりしてたんだ。
でも「上がっている時は流されて( - _ - )イイ! 」と言う牛さんの話を聞いてなるほどな。と。

なので、今日は上昇がふっと終わって、バリオが鳴り止むまで。苦手な左旋回を意識的にぐりぐりぐり。
風上に向かいたい衝動をこらえつつぐりぐりぐり。

うーん、150mくらいゲインして、そこからがなかなかあがらない。うりゃうりゃうjkp@

すると、とんぼのテイクオフの上で、がっつーん!

キタ━━━━ヽ(゚∀゚ )ノ━━━━!!!!

しかも、誰も近くにいない。やったー独り占めー☆-(ノ゚Д゚)八(゚Д゚ )ノイエーイ
では、よござんすか?回ります。ぐるぐるぐるぐる。

回る回る回るー。目が回るーってなくらい回して、やっと1300ゲット!っしゃー。
しかし、バリオが鳴り止まないので、西富士に向かいながら(流されながら?)更に体重を入れ続け、回す。
前山を抜けるのに20分足らず。ねえ、今日のあたしってばもしかして上手い?

みるみる前山の集団が遠ざかっていく。
見ると、いつもはあたしより先に前山を抜けて行くH多さんもまだ前山でもがいているではないか。
あらあらまぁまぁ。なあんて気分がいいのかしら!!

気づいたら、後ろのハングのランチャー台のある尾根まで来ていた。
1500mで西富士の裾?に付く。
ここら辺でかなり強いサーマルがぼこすか出ていて、何もしていないとピッチング&ローリングに入りそうになる。(抑えろよ・・・)
無意識に360度をぐりぐりぐりぐり回していた。
回していないと逆に怖いなんて、初めてだー。
1600・・・1700・・・そして遂に西富士トップ!

やったあ!やっとココまで来た!!
一年半ぶりの西富士~!\(*T▽T*)/ワーイ♪
まだ冠雪のない南アルプスが山の向こうの更に向こうに連なって見え。
毛無方向を見ると、遥か遠く向こうにはやけにギザギザした高い山が見える。(後で聞いたら八ヶ岳だったらしい)

しかし、喜んでいる暇はない。まだまだ上がる。どんどん上がる。
鳴り止まないバリオとにらめっこ。
あたしったらいったい何処までイっちゃうのー????(´∀`*)ウフフ

西富士の上で、さらに回し、1900をゲット!テンションアゲアゲ。
よしよしよし。これだけあれば・・・イク?イっちゃう?
そうよ、もちろんあの天子岳に~!!!

ちなみにね、今回もまた誰も居ない _| ̄|○ <遅いんだよ

まぁ。前回も一度行っているし。
さっきから無線を飛び交う会話を聞いていると、天子で2000m行ってる人も居るみたいだから下がることもなかろう。
荒れているようだから、ちょっと心配だけど・・・。

ゆっくりと機体を天子方向へ向ける。じわじわじわじわ。
稜線沿いは上がったり下がったり。

後ろから一機。やたらめたら黒いカラーリングでなんだか「悪そう」な(失礼)グライダーが近づいてきたと思ったら、
スカイウォーク のPOISON(ポアゾン) インパクトが強くて覚えてた(笑) で、いともあっさりと追い抜かれた。
うう、あたし。なんか遅いのかなぁ・・・怖くてアクセルも踏んでないから、じれったい。早く。早く。
(あとで知ったのだが、POISONて、DHV2-3の機体だったから。抜かれても仕方なかったのかしらん。。。)

遠く離れた山(約5キロ)にじわじわ近づいていく。
そして、あたしは今うんと高い空の上にたった一人。

天子、獲ったどーーーーーーーーーーーーー!!

途中、稜線上で二度ほど軽く翼端がばさばさ言っていたけど。
ここまで何の苦労なし。前回とまったく同じようなコンディション。

ところで、昨日登った頂上のベンチはどれ?
高すぎて全然見えないよー。あははははh←嫌味かw

「1900で大倉(ダム。更に3キロほど南)に向かってます」とかゆー無線が飛び交っている。
かたやあたしは天子トップアウトで高度2000mをちょっと超えた(10mくらいダケw)

どうする?どうすんのよ。あたし。

大倉かぁ。多分、大倉と思われる遥か南にフライヤーが溜まっている。多分、あそこなんだろうなー。
誰か天子にいればつれてって貰うんだけど。またしても天子の上はもぬけの殻。
それよりも、前回は片道切符で白糸のランディングに降ろしたから、今日は往復したいなぁ。

よし。1800になったら、また猪之頭へ戻ろう。
と、決めてちょっと大倉方面(南)に向かってみた。景色が変わる。見たことないものがひょいと山の向こうから現れる。
360度に開かれた世界と、大地と空。遥かな山と海。
目が追いつかず、それを処理する脳はとうに麻痺し、何かを見ているのか見ていないのか。
この途方もない虚空の中でぷかりと浮いていると
次第に現実味がなくなっていく。自分が薄く薄く透けていって、透明人間になったみたいに感じる。不思議だ。

バリオが1800を示した。

仕方ない。大倉はまた、今度ね。

あたしはためらいもせずきびすを返す。
すると、戻り途中の天子の上でH多さんが追いついてきていた。

帰りは長者~鉄塔の手前で少し下がり1600、西富士に戻ってくると更に
上がって1800。
上がったり下がったり忙しいよ。

どうしようかなーと西富士でウロウロしていたが、ここんとこのアゲサゲでかなり気持ち悪くなってきた。。。
それに、指もかじかんで足先も冷えてきたし・・・
そう、あたしってば、フライトスーツはちゃんと着てきたくせに、
こんなに長く飛べると思ってなかったので、グローブは薄いヤツをしてきてしまったのだ。
いくらまだ地上は暖かいと言っても、さすがに2000m近く上空になるとさすがに寒い。

もう降りようっかなー・・・

と、またふらふらと前山方面に戻ってきた。
しかし、まだまだ全然高い。高度が1600くらい合ったような気がする・・・

うーん、どうしよう。翼端でも折って降ろそうかな。
なんてもったいない事を考えながらふらふらしていると、この日、猪之頭で講習をしていたH木さんから無線が入った

「あこちゃん。高さあるし、そのまま富士山の方に向かって、 もちや とってくれば?」

おお!その手があったか!
ふらふらしてるだけで、どうすれば良いのかわからなくて途方にくれてる事を察知してくれるなんて…さすがH木さん!
あたしの事解ってるぅ!!(*´ェ`*)ポッ

と、いうわけで。そのままま~~~~~~っすぐ沖にだして、何するでもなくただただまっすぐ飛んでいき、1100ほどの高度を残したまま もちや ゲット。

これがもちや

この辺まで来ると、民家や、道路を走る車もよく見える。
ショップも、講習会場も、なんだかすごく近くに感じる。

あの車から、あたしの事見えるかな?うふうふ。

しかし、1100mがまだ余裕があるのかないのか解らないので、
タッチ&ゴーですぐランディングへ引き返してきた。
そしてそのまま高度を落とし、ランディングも卒なく。
フライト時間は1時間半弱?かな?計るのわすれちゃったい。

あははうふふ。嬉しいよー!!
だって、だって。1年と5ヶ月ぶり。
ええ。この子やればできる子なんですよー。ホントあたしに似て。ほほほ。

もう、もうこれで「まぐれだった」なんて言われないで済むよう。
一発屋の汚名、返上できるよう 。・゚・(ノ∀`)・゚・。

ああ、この思い出だけでまた一年くらいやってける。ご飯が3杯はイケる。
とりあえず、お祝いにH多さんと、N川さんに焼肉ご馳走してもらってきました。ゴチソー様!

って。まさか、また天子獲れるのって一年後じゃないだろうなあ~(;´Д`)



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