壮年の森 放浪日記

2007年05月14日
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カテゴリ: 随想
 その日只野は、結婚式への参列のため、ホテル内の教会風建物に着席していた。これを教会と呼ぶのかどうかはわからない。チャペルと言う人が多かったことは記憶している。

 小さいパイプオルガンを弾く人がいる。厳かである。そういえば「フランダースの犬」のネロとパトラッシュは、このような場所で昇天したのではなかったかと思い出す。いかんいかん、縁起でもないなどと思い直す。

 そのうち、不意に神父さんが横を通り抜ける。そしてその直後に主役が現れる。只野にとってはまったく不意打ちであって、ちょっとビックリすることになった。

 儀式が始まる。神父は「賛美歌を一緒に歌ってください」などと言う。パイプオルガンが響く。

 「あぁ賛美歌ね…えっ賛美歌?キイテナイゾ」

 戸惑うまもなく歌が始まる。ハミングでもしていた方が失礼にならないかなどと思っている。いやしかし下手に歌わない方がいいかなどとも思う。

 そうこうしているうちに「アーメン」となり、賛美歌は終了した。只野はちょっとホッとした。「まぁ一度ぐらいは、こんな緊張があってもいいか」

 式は滞ることなく進んでいく。儀式もすみやかにとりおこなわれる。只野は他人事ながらホッとすることになる。こういうときに得てして、笑ってしまうようなことが起こるのだが、今回はそういうことはなかった。

 次の瞬間、ホッとしている只野の耳に入ってきたのは、神父さんの神聖なセリフであった。

 「賛美歌を一緒に歌ってください…」

 「勘弁してくれぇ」只野は心の中で叫んだ。





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最終更新日  2007年05月14日 12時46分53秒
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只野壮年 @ Re[1]:キイテナイゾ(05/14) Chelsea_28さん  賛美歌を幼稚園で習…
Chelsea_28 @ Re:キイテナイゾ(05/14) こんばんは…。 ご無沙汰しております。…
只野壮年 @ Re[3]:キイテナイゾ(05/14) lady-piratesさん  立会人にも拒否権…
lady-pirates @ Re[2]:キイテナイゾ(05/14) 只野壮年さん > 離婚の危機なんてなっ…
只野壮年 @ Re[1]:キイテナイゾ(05/14) D(SP)さん  そういわれてみると、そ…
只野壮年 @ Re[1]:キイテナイゾ(05/14) lady-piratesさん  立会人でしたか。…
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