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2021.10.12
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カテゴリ: 気になる本
図書館で『はじめての八十歳』という本を、手にしたのです。
わりと乾いたペーソスが感じられる文章であるが・・・論理より絵で表現してきた職業柄が出てきたんでしょうね。






山藤章二著、岩波書店、2017年刊

<「BOOK」データベース>より
膝の手術のため、はじめての長期入院。「ブラック・アングル」などの雑誌連載も、はじめて休載。そして、入院中に迎えた八十歳の誕生日。-おや、今までとは違う世界が見えてきた。若いころは気付かなかったこと、思いがけない発想など、脳裏に浮かぶあれこれを、筆の向くまま綴り始めたら止まらない。入院中に蓄積された創作エネルギーを放出するかのごとく、一気にこの一冊を書き下ろした。曰く「好き嫌いで書きました」。御存知ヤマフジ節は健在である。八十歳の本音を綴る、論より感覚、御意見無用のエッセイ集。

<読む前の大使寸評>
わりと乾いたペーソスが感じられる文章であるが・・・論理より絵で表現してきた職業柄が出てきたんでしょうね。

rakuten はじめての八十歳



日本人、アメリカ人のセンスが語られているので、見てみましょう。
p134~137
<非日常を考えた>
 日本人の多くが美味いと思ったものは美味い。寿司は美味い、天ぷらは美味い、豆腐は美味い。

 和座敷から眺めた日本庭園は美しい。心に沁みる静寂の美がある。解説なしでも、知的な外国人には通じる。宿場町は美しい。現代の生活には不便と思えるところが美しい。産業革命以前の自然のもの、草や木や土で作った工芸品の温かさや美しさは、現代文明がもたらした諸物より美しい。

 無名の一般庶民が日常生活のひとつとして作った、使った道具の中に、これほどの意匠センスと技術が脈々と伝えられているという歴史は、他国に類を見ないだろう。

 ここで話は飛ぶ。ワープするともいうし、スリップするでもいい。御高齢の各位はスマホとかアプリとかいった類の絵を見たことがおありでしょうか? いや、いちばんよく目にとび込んでくるのは、テレビコマーシャルの絵かも知れません。

 前の章にも書いたが、あえてここでもくり返す。ああいう絵(や音や叫び声)が出てくると、ひどいものを見せつけられてると思いませんか? 何ですかねアレは。

 奇っ怪な生物、機械仕掛けの巨大なかたまり、もはや生き物とは言い難い物体、小人物たちを踏み潰さんばかりの乱暴な振る舞い、大音響と大袈裟な身ぶり、破壊と混乱を目的とした狂喜の狼藉、それを逃げまどう人間を滅茶苦茶に抹殺するアクション。それにつけ加えて、大音響と破壊サウンド、極彩色の景色・・・、私がいくら再現しようとしても再現しきれない醜悪な動画。

 ああいうものを、かつての日本人は忌み嫌っていたはずです。怖い話や怖い化物といっても昔はもっと情緒や雰囲気がありました。意味なく大破壊をするような理不尽な代物は大衆が許しませんでした。怪談はあっても、それは聴く人の胸の奥に共鳴する怖さでした。

 それがどうです。近頃のスマホやゲームでの怖さは“物質的物量的おどし”です。“即物的おどし”です。現代の技術やカネがあれば、どんな“おどし”も自由に出来る。はっきり言って、“頭の悪いおどし”です。

 アメリカ映画にも佳作秀作はあるでしょう。でも、これで世界中から儲けてやろうと思ったら、これに敵う国はない。大きなカネを投じて最新電子技術を投入されたら、ひとたまりもない。アメリカが文化の面で世界中から尊敬されないのは、効率的に金儲けを企んだ超大作をたびたび発表するからだと、私は勝手に思っています。
(中略)

 さてそこだ。いまの醜悪なアニメ、イラストというものを、空気のように取り込んでしまった子供たちの行く末を考えると、おそろしい。商業主義で計算されつくした「とび出す異次元ビジュアル」や「あたかもその場に居るような音響効果」のゲームやアプリなどにどっぷり浸かった若者たちの美意識は一体この先どうなってゆくのか。

ウン 今、フェイスブックの子供向けアプリが問題になっているが・・・
フェイスブックと聞けば、フェイクニュースと聞こえるんですがな、大使の場合。

『はじめての八十歳』1





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Last updated  2021.10.12 00:09:42
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