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2009年1月5日付R&Iの「年金情報」によれば、日本版401Kと言われる企業年金「確定拠出年金」の過半数が、今回の金融危機に伴う株安で元本割れしているそうです。もともと個人に自己責任で運用させても、うまくいかない可能性が一部識者によって予想されていましたが、案の定の元本割れです。欧州では元本保証を企業に義務付けている国も複数あるようです。理論的には、給付を企業が保証する確定給付型の企業年金は、企業が拠出すると同時にプットオプションを購入しているとみなすことが出来ます。確定給付型の企業年金から、給付を企業が保証しないで拠出するのみの確定拠出年金に移行するに際して、この値下がりを防止するプットオプションの額を従業員口座に入金しなかったことが問題かもしれません。確定給付型企業年金から確定拠出型企業年金に移行するだけでプットオプションの額を従業員に還元しなければ、プットオプションの額相当が、明確な不利益変更であるのに、これを見逃した労働組合は大ポカでしょう。
January 4, 2009
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企業年金のうちで、日本版401kとよばれるものは、確定拠出年金が正式名称ですが、株式会社日本生活設計の登録型メールマガジン「ひとり一人のライフプラニング weekly」8月22日号は、大きな問題を抱えるにいたっていると報じています。1.自動移換者問題企業型確定拠出年金を脱退(退職)後、確定拠出年金の無い企業に転職した場合、6ヶ月以内に、個人型確定拠出年金に口座開設し、資産の移換手続きをしなくてはなりません。6ヶ月を超えて「資産放棄」したままだと、国民年金基金連合会の「自動移換者専用」口座に強制移換されます。利息はつかないばかりか、毎月50円、年間600円の手数料が控除されます。本来は、確定拠出年金の無い企業に転職した場合は、自分で個人型確定拠出年金に移換手続きをすべきなのですが、多くの人はこの手続きをしていません。このような資産放棄者は11万9675人いるそうで、増える一方です。企業型確定拠出年金の加入者300万人の約4%にあたるそうです。年間600円というのは貸し金庫料としては安いかもしれません。【福録太郎】制度的なおかしさを感じます。2.マイナス運用問題次に、確定拠出年金は個人に運用を任せるのですが、この運用がうまくいっていません。定期預金で運用している人は36万人で利息は1%未満です。まだこれは良いとして、投資信託などで株のリスク・外貨のリスクをとった人はマイナス運用です。マイナス運用の人は38万人だそうです。【福録太郎】そもそもプロでも運用が難しいのに、「自己責任」といって老後資金の運用を素人に任せること自体が、立法上の無責任ではないでしょうか。欧州では最低保証を企業に義務付けている国もあるようです。 改善を考えないと、日本版401kは被用者に愛想をつかされる運命にあると思います。
September 15, 2008
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今日、社会保険労務士の先生から聴いた話ですが、ソフトバンクは出産祝金を気前よくはずんでいるそうです。昨年3月の新聞報道によれば以下のとおりとなっています。「制度の対象はソフトバンク本体のほか、ソフトバンクモバイルなど傘下の通信3社。出産祝い金は、これまで勤続年数に応じ1回の出産で3000円から1万5000円が支払われていた。 新制度では、勤続1年以上の正社員を対象に、第1子は5万円、第2子は10万円と段階的に支給額を増やす。第3子は100万円、第4子は300万円、第5子以降には500万円となり、3人以上の子どもを抱えるケースに手厚く設定した。 勤続1年未満の場合は一律2万円を支給する。」自力で少子化対策をやっているのには感心しました。他の企業も続くと良いですね。
April 20, 2008
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労働契約法が国会に上程されています。順調に行けば来年の4月1日から施行のようです。この法律が成立すると、従来は就業規則の変更について従業員の意見を聴けばよかったのですが、原則として従業員の合意が必要となります。このため、駆け込みで就業規則の改定を行おうとしている企業が少なからずあるようです。社会保険労務士の先生にとってビジネスチャンスにもなっているようです。
October 28, 2007
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「代行返上」とは企業年金の一種である厚生年金基金から確定給付企業年金への移行です。厚生年金基金は厚生年金保険の報酬比例部分の一部を代行しているのですが、その代行部分を国に帰すことになります。幸田真音の小説にもなりました。代行返上日立・東芝などの大企業は代行返上を終えたのですが、ここにきて第二の代行返上の予感がします。というのは年金記録問題にあおられた厚生労働省が厚生年金保険と厚生年金基金のデータ突合を打ち出し、これが平成20年から実施されるからです。このために厚生年金基金の事務負荷は飛躍的に多くなります。企業は代行返上して負担を減らそうとする予感がします。厚生年金基金は厚生年金保険の一部民営化としての意義があったのですが、公的年金に関しては残念ながら国営化に戻る方向で進むようです。
October 16, 2007
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人事・労務関係に携わっているので、労災の死亡事故記録を見ることがあるが、以下のような事件があった。かつてバケツでウランというのがあったが、今度はホワイトガソリンの近くでコンロを使用というひどい事件だ。引火性の高いホワイトガソリンを使用するのに換気もせずコンロをたくというのは常識を疑う。一人が死亡しているのだが人命救助努力をちゃんとしたのか、そもそも防護服を着用して作業していたのかなどいろいろ疑問が生じる。もっと報道されて良いと思うし、厳罰を下すべきと思う。JALもこんなちゃらんぽらんな業者を良く使うものだ:2006年8月30日 製造業 修理工 26歳 火災 引火性のもの 航空機用電源のための発電機のベアリングから異音が発生していたため、ベアリングをホワイトガソリン(第二種有機溶剤含有)で洗浄しているときに、何らかの原因で引火し火災が発生、その場で作業していた3人が被災し、3週間後にそのうちの1人が亡くなった。発電機の近くでガスコンロが使用されており、これにより引火したものと推定される。(東京都大田区)さらにグーグルで調べると、労務安全情報センターの情報として2007年2月6日羽田空港の作業員3人死傷:工場火災、業者を書類送検-大田労基署(東京) 羽田空港(大田区)の機体整備工場で昨年8月30日、作業員3人が死傷した火災で、大田労働基準監督署は6日、三重県伊勢市の電気設備工事会社「神電エンジニアリング」と同社関東事業所の部長(58)、現場指揮者(45)を労働安全衛生法(火災防止措置義務)違反容疑で東京地検に書類送検した。 調べでは、同社は日本航空から発電機のベアリング交換作業を請け負ったが、金属洗浄用のホワイトガソリンで部品を洗浄する際、換気などの措置をせず作業用電気コンロの熱で引火させた疑い。この火災で男性従業員(当時26歳)が全身やけどで死亡し、現場指揮者と別の従業員(37)もやけどを負った。(毎日新聞)
October 10, 2007
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6月28日に申し込んで、8月2日に社会保険庁から年金記録照会のためのIDと社会保険庁の指定したパスワードが送られてきました。このパスワードは、申し込むときに自分で入力したパスワードとは別物です。照会するときには、 ID 社会保険庁の指定したパスワード 自分で入力したパスワードの3つが必要です。入力し終わると瞬時に記録が出てきました。記録だけで、自分がいくらもらえるかはわかりません。私は、20歳からもれなく、記録されていました。同じ会社に勤めていても、転勤すると喪失・取得になって記録が別の行になっていました。このIDと社会保険庁指定のパスワードは有効期限が2年間です。セキュリティーに気を使っていますね。年金記録の照会は、このように社会保険庁に行かなくても、インターネットを使えば簡単です。この照会で洩れがあれば、社会保険庁に行けばよいのです。政治家が騒ぎ立てたのが、あざとく思えます。
August 4, 2007
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7月15日3時2分配信 毎日新聞<年金問題>仮名変換はバイト任せ 社保庁「一般的読みで」によれば: 年金記録漏れ問題で、社会保険庁が79年に記録のオンライン化を始めた際、各地の社会保険事務所が厚生年金被保険者の氏名の仮名変換を学生や主婦などアルバイトに任せていたことが分かった。職員は本人確認を指示せず、一般的な読み方をするようアルバイトに指示していたという。【福禄太郎】 昔は、氏名に読み仮名をふるという慣習が一般的でなかったので、仮名の氏名は重視されておらず、一般的な読み方で入力されたと言うのは十分ありうることです。今の時代からは想像も出来ない、いい加減さですが、当時としてはやむをえないという意識があったと思います。おそらく漢字で検索すれば良いと整理していたのではないでしょうか。 実際に平成9年に基礎年金番号が導入されたときに、社会保険庁から被保険者全員に発送された照会の手紙は宛名が「漢字」になっていますので実害は無かったと思います。 社会保険庁が悪いように言われていますが、いちいち本人確認するマンパワー・残業代が確保されれていたか疑問です。元社会保険庁職員に聞いたところでは、当時は入力を2人でやって突合する予算も確保されておらず「読み合わせ」という手段で入力チェックしていましたので、漏れはいろいろあるはずです。社会保険庁だけが悪者になっていますが、事務の予算を最終的に統括する政治家にも責任があると思います。
July 15, 2007
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パートタイマーへの社会保険適用拡大が、財界の意を受けた政権与党に完全に骨抜きにされて以来、与党さらには世襲政治家への批判でテンションの上がっている著者が、選挙にタイミングを合わせて、社会保障費の削減を徹底批判した本です。日本がアメリカ型の弱者切捨て格差社会に突き進もうとしていることへの危惧が語られます。著者は日本には生活者を代表する「労働党」がないと嘆くが、これが日本の閉塞感の一因かもしれません。この本は医療関係者中心によく読まれているようです。ケネス・アローまで引用する博覧強記により説得力に富む内容ですので、選挙結果に影響があるかもしれませんと、公認会計士山田真哉氏のブログに書き込みました。彼は「さおだけ屋」だけでなくて選挙の分析も得意のようです。
July 14, 2007
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著者は「支給もれ年金」の相談を10年以上行なっている社会保険労務士さんです。今まで2000名以上の人から「よくぞ年金を探してくれた」と感謝されています。「支給もれ年金」とは、文字どおり、いまもらっている年金のほかに、もらえる年金があるのに、本人が知らないでいてずっともらっていない年金のことです。まさに今問題になっている5000万件の年金記録の問題です。例えば、結婚前、知り合いのお店に手伝いに行った人は支給もれ年金の可能性が高いとのことです。 本書は支給もれ年金の要因と事例を「受給者の立場」から解説しています。「申請主義」は問題が多いと考えているようです。長年取り組んできたテーマが、今回国会で論議され国民的な関心を集めたことは感慨に絶えず、特に時効5年の撤廃はメリットが大きいとしています。
July 7, 2007
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報道によれば「柳沢厚生労働相は28日午前の参院厚生労働委員会で、過去の保険料の納付履歴の通知について「すべての年金の受給者、現役の加入者に履歴を送って確認いただく」と述べ、約1億人の公的年金加入者・受給者全員に通知する考えを表明した。」とのことです。切手代だけでも80円かかりますよね。国民全員で1億人とすると80億円の税金投入です。1人当たり税金を使う支出が、80円増えると考えて良いと思います。私はインターネットで検索しますから、80円だけ税金を安くしてくれないかなと思いました。政府与党も選挙対策で大変なのでしょうが、ちょっとやりすぎではないかと思いました。
June 28, 2007
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本日も慶應義塾大学の権丈先生のエッセイ「この国の政治家は支援者をないがしろにしてもいいらしい パート労働厚年適用問題再考」を紹介します。商店街の人は自営業ですからご主人も奥さんも社会保険に入っています。一方で競争相手のスーパーマーケットの従業員はパートタイマーということで社会保険に入っていません。コストからすればスーパーマーケットのほうが有利になっています。パートタイマーへの適用拡大が骨抜き※になったので、自民党は自らの選挙基盤の商店街の利益を損なっていると権丈先生は指摘しています。※1.労働時間:「週所定労働時間が20時間以上」であること(雇用保険に同じ)かつ 2.賃金水準:「賃金が月額98,000円以上」であることかつ 3.勤務期間:「勤務期間が1年以上」であることかつ 4.学生でないこと(学生は適用対象外)かつ 5.「従業員が300人以下」の中小零細事業でないこと →この基準により新たに適用対象となる人数は約10~20この規定は公的年金の一元化法案にはいっていますが、こんなものが実現したらパートは1年ごとにクビになり、週労働時間を20時間以内にされる可能性もありますね。中途半端な適用拡大でなく、全面的な適用拡大をしないと意味が無いと思います。
June 27, 2007
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権丈先生の推薦する記事は、確かに年金記録問題を冷静に記述している。要するに、社会保険は申請してはじめて裁定してもらえるというシステムなので、裁定の時に記録を統合すればよいわけだ。しかし、この記事の面白いのは生命保険会社の未払い問題との類似性を突いている点だ。生命保険会社も保険金の請求があって始めて支払うと言うシステムになっていた。それを金融庁が正義の味方とばかり「事後チェック」に名を借りた裁量行政の復活で「未払い」として徹底的に締め上げたのだ。保険会社は請求が無くても支払うべきものは支払わなくてはならないというのだ。ところが、そのロジックで言えば現在の社会保険庁の「申請を待つ」という立場はとても許されるものではなく、結局民主党の餌食となって、予算を一杯もらって確認することになったのだ。大局的には金融庁の「正義」が、まわりまわって社会保険庁の首をしめることになったのだ。もっとも縦割り行政なので役人自身はこのロジックに気づくことは無いだろうが。国民にとっては、結局「大きな政府」となってしまうのだが。
June 21, 2007
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今日は会社帰りに図書館で週刊新潮を読んでいました。野口悠紀雄のエッセイで、退職給与引当金税制について書いてありました。今はなくなりましたが、かつては退職金を用意すると要支給額(今社員が全員辞めたとした場合の退職金額)の半分まで無税で引き当てできました。これを野口悠紀雄は「正社員を雇用すればするほど法人税が安くなる制度」と言っています。いわれてみればそのとおりで、正社員を雇用し、長く雇えばそれだけ要支給額が大きくなり無税枠が大きくなるわけですから。非正規雇用が多くなって問題になっている今、廃止された退職給与引当金税制の意義にあらためて思い至りました。
November 7, 2006
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コンピテンシーとは、「高い業績をコンスタントに示している人の行動の仕方などに見られる行動特性」という意味の人事用語だが、こんな使い道もあるようだ・・・ある化粧品会社の就職説明会での女子学生の質問:「私は歯科矯正をしようか迷っているのですが、やはり見た目、容姿は採用に当って重要な基準になりますよね」これに対する人事担当者の答え:「いえいえ、私どもは容姿は関係なく、コンピテンシーを重視しております。」要するに、見掛けよりも仕事ができる人間を取りたいということなのだが、このように答えられるとなんとなく満足してしまうようであった。この人事担当者(女性)は利発で感じが良い雰囲気だったので、自ずと答えになっていたようである。
September 30, 2006
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成果主義について賛否両論がある。経済産業省の最近のレポートでも成果主義は従業員からあまり歓迎されていないようだ。しかし、日亜化学の青色ダイオード訴訟にみられるように、技術者の中には成果にみあった待遇を強く希望する者もいる。本書はジャーナリストとしての広範なインタビューを基に、効果的な人事制度を構築するための理論と実務をまとめたものである。特にIBMのSSMという手法には感心した。営業担当者がビジネスの進捗ごとに定型的なデータ入力フォームによって進捗をデータベースにを入力していくのだ。これによってビジネスの状況、困難さ、努力を客観的に把握できる。こういう材料があって始めて評価の納得性が増すのだろうと思った。
September 26, 2006
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会社の健康保険組合の出している定例のパンフレットですが、今回は健康保険法の改正をコンパクトに解説してあって密度が濃いです。改正の内容を一言で言えば「出産に手厚く、老人に厳しく」ですね。1.18年10月実施の改正 高額療養費の自己負担限度額が引き上げに。 出産育児一時金の引き上げ(30万円→35万円) 埋葬量の支給額改定(被保険者は標準報酬→5万円、被扶養者は10万円→5万円) 70歳以上の現役並み所得者の自己負担割合の引き上げ(2割→3割) 70歳以上の療養病床での食費と居住費が引き上げ2.平成19年4月改正 傷病手当金・出産手当金の引き上げ(標準報酬日額の60%→67%) 任意継続被保険者への傷病手当金・出産手当金を廃止、資格喪失後の出産手当金も廃止 標準報酬(保険料・保険給付の基礎となる標準化された給与)等級の拡大 (現在 98,000円→980,000円から58,000円~1,210,000円に拡大) 標準賞与額の上限を1回200万円から年間540万円に変更まだまだありますが、標準報酬等級の拡大によって、給料の多い人は納付する保険料が増えるわけで「勝ち組」も大変だと思いました。
August 30, 2006
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先日、労働保険徴収法、すなわち労災保険や雇用保険の徴収についての法律を勉強していましたら、中小企業の労働保険事務をまとめて取り扱う「労働保険事務組合」について書かれていました。業界団体がなることが多いようです。ここの労働保険の徴収率が95%以上だと、何と報奨金が交付されるのです。この報奨金は前年度の労働保険料の額に100分の2.5を乗じて得た額に厚生労働省令で定める額を加えた額になっています。何か、おかしいんじゃないの?と思いまし。こんなことをするよりは、保険料か税金を安くしたほうがいいんじゃないの?と思いました。100%徴収がよっぽど大変なのでしょうか。
August 29, 2006
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ポスト不足といわれる一方で、「課長になりたくない」人々がいます。私の取引先の担当者も周囲の人々は課長にしたいのですが、本人は一向にその気がありません。考えてみれば、課長など管理職も、人・金・物がそこそこそろっていれば、「組織を動かせる」快感があり、管理職雑用も給与に見合って良いのですが、現実は、難しい仕事を抱え、使いにくい部下、他の部署から押し付けられたできない部下、協調性のない部下をかかえ、経費もうるさく言われ、手続きも面倒さらに、仕事量は減らないのに残業管理を厳しくしなくてはならないとなると、「管理職なんて放り出してしまえ!」という気にもなるでしょう。会社の中には競争から降りて暇にしている人も結構いると、なおさらそういう気になります。雑誌「プレジデント」9月4日号は守島基博が真の「現場リーダー」が育つ土壌作りとはで、「管理職とは魅力のないポストである」として、「リーダーのポストを魅力的にし、きちんと処遇をし、仕事を楽にしてあげる工夫を」と書いているが、まさにそのとおりと思いました。会社は「だれでも管理職になりたがる」という一方的な思い込みから脱却すべきと思います。
August 23, 2006
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日本版401(k)の確定拠出年金は、企業年金として急速に普及してますが、少額の場合は別として退職してもすぐに退職一時金が出ずに、60歳まで待たなくてはならないという欠点があります。米国では税金がかかりますが一時金としてすぐにもらえます。企業年金連合会の税制改正要望事項に取り上げられていますが、早く実現できると良いと思っています。
August 14, 2006
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企業年金連合会の平成19年度税制改正要望の中に、確定拠出年金(通称日本版401(k))の加入上限年齢を60歳以上にするというのがあった。今年の4月から高年齢者雇用安定法が改正されて、60歳定年はだめで、継続雇用をするか、定年年齢を上げるか、定年を廃止しなくてはならなくなった。それにもかかわらず、企業年金法制がついていっていないのだ。定年が62歳なっても、確定拠出年金は60歳で加入者でなくなってしまうのだ。当然、企業年金連合会の主張の意を汲んで、確定拠出年金の加入上限年齢は65歳にすべきだろう。厚生年金保険の支給開始年齢65歳→65歳までの雇用延長までは法制化されたが、企業年金法制が遅れているのは国会および行政の怠慢と思う。さらに、60歳以降働きながら年金をもらおうとすると額が削られる在職老齢年金もおかしい。額が削られるのをなくすか、支給の繰り下げを認めるべきだと思う。
August 12, 2006
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1.人口動態統計から人口動態統計で、ガンの部位別分布を見ると:男性の「肺」は上昇傾向が著しく、平成5 年に「胃」を上回って第1位となり、平成17 年の死亡数は4 万5187 人、死亡率(人口10 万対)は73.3 となっています。また、女性の「大腸」は上昇傾向が続いており、平成15 年に「胃」を上回って第1位となり、平成17 年の死亡数は1 万8679 人、死亡率(人口10 万対)は28.9 となっています。2.肺ガン増加の要因男性の肺ガンの増加は何でしょうか。ベストライフ・オンラインによれば: ・医学の進歩に伴い、診断技術が進んだこと ・ガンの好発する老齢人口の増加 ・喫煙習慣 ・大気あるいは環境の汚染 ・食生活の欧米化などが要因と推測されています。がん治療最前線によれば、英国や米国では男性の喫煙率の低下とともに男性の肺がん死亡率は減少してきているとのことです。わが国でも男性喫煙率は1966年の83.7%をピークに以降減少してきていますので、その効果が死亡率に顕著に現れるのが期待されるところです。
June 6, 2006
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6月1日に厚生労働省が発表した「平成17年人口動態統計月報年計(概数)の概況」によれば、平成17 年の離婚件数は26 万1929 組で、前年の27 万804 組より8875 組減少したとのこと。離婚件数は昭和39 年以降毎年増加し、46 年には10 万組を超えた。その後も増加を続け、58 年をピークに減少に転じ、平成3年から再び増加していたが、15 年から3 年連続で減少している。離婚率(人口千対)は2.08 で、前年の2.15 を下回った。離婚件数を同居期間別にみると、ほぼ全ての期間で減少している。【福禄太郎】グラフの曲線が離婚率だが、右端を見ると確かに最近減少している。しかし、これも今年までだと思う。来年(平成19年)4月になれば厚生年金の離婚分割が始まり、離婚しても年金の半分がもらえるので離婚率は上昇すると予測する。今、すぐにでも離婚したいが、来年4月まで隠忍自重して待っておられる妻が多いのではないだろうか。少しずつ夫の預金を自分名義に変えている妻もおられるかもしれない。夫たるもの、blogの更新をしている暇があったら、皿洗いを手伝うぐらいの才覚が必要となるかもしれない。
June 5, 2006
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5月26日の日経金融「複眼独眼」によれば、中国電力グループの設備工事会社である中電工が退職金の水準を引き上げるそうだ。退職金を増やす背景には、団塊世代の大量退職を控え、地方の労働集約型産業の人材の確保が難しくなっていることにあると報道されている。中電工のプレスリリース【福禄太郎】退職金の給付減額をする会社が多かった産業界に、人材確保のために水準引き上げの話が出てきたのは喜ばしい。
June 1, 2006
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日経ネットによれば:【ロンドン=吉田ありさ】英政府は25日、全国民を対象とする基礎年金(日本の国民年金に相当)の受給開始年齢を2024年から段階的に68歳に引き上げることを柱とする抜本的な年金改革案を発表した。個人が自分で老後資金を積み立てる新貯蓄制度も12年に導入する。一方で給付水準は高め、高齢者が生活苦に陥らないようにする。個人の自助努力を促し、公的支出が膨らむのを防ぐ狙い。 受給開始年齢は、現在の男性65歳、女性60歳(20年までに65歳に引き上げ)を46年までに68歳まで引き上げる。 (07:02) 【福禄太郎】日本は支給開始年齢65歳ですが、いずれアメリカの67歳、イギリスの68歳を参考に支給開始年齢を伸ばしていくのでしょうかね。職場があればよいのですがね。イギリスのBBCニュースはこちら。それにしてもイギリスの年金白書のカラーの使い方のセンスの良いこと。
May 26, 2006
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社会保険労務士の先生のお話を聞く機会がありました:男女雇用機会均等法の影響で、労働基準法が変えられて、女性の保護が日本ではどんどんはずされましたが、外国(先生が念頭においているのは欧州と思いますが)とは逆の動きだそうです。外国は、女性に合わせて男性の労働条件も良くしていったとの事。確かに、平等を達成するのに低いほうにあわせるのと高いほうに合わせるのと両方ありますね。こういうことは、なかなか選挙の争点にならないのでしょうか、と思いました。
May 8, 2006
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2006年5月2日の日本経済新聞によれば、JCBが電話応答員に成果主義を導入し、時給アップや正社員登用の道を開くという。 クレジットカード最大手のジェーシービー(JCB)は今年度から、東京、大阪、札幌の電話応答センターに勤務する人を対象に、応答員を能力、勤務態度、貢献度などに応じて4つのランクに分類する。電話応答の技術試験を年2回実施し、成績が良ければ勤務態度などを加味したうえでランクを上げ、時給も高くする。電話応答員の7割以上は派遣社員だが、上位ランクの応答員を正社員に登用する制度も設ける。【福禄太郎が思うに】 コールセンターは電話応答を派遣社員中心で行なっている例が多いが、通例、時給でみな待遇が同じだ。そこで、ともすればベテランはおしゃべりばっかりして電話が鳴っているのに取らない。電話を取っても取らなくても給料は変わらないからだ。 さらに、コールセンターの管理者に、他の部署から消去法で回されてきた人間がつくと応答率をチェックして、応答率の低い人間に注意することすらしない。 使命感を持ってどんどん電話をとる人間は、最初は不満を持つが、それをあえて口に出さないうちに、だんだんベテランのようにのんびりと電話を取るようになるか、またはそっと退職して他の会社に移る。グレシャムの法則「悪貨が良貨を駆逐する」が成り立つ。 各人別の応答率を管理者がチェックして指導するかあるいはJCBのように待遇に差をつけるかして、やる気のある人が報われるようにして欲しいと思っている電話応答員はいるのだが、彼女らはそれを口に出さない。職場の人間関係を敢えてわずらわしくしたくないためだ。
May 4, 2006
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1.官営化が進んだ企業年金小泉改革派小さな政府、民営化を推進しているが、唯一官営化がすすんだのが企業年金だ。企業年金の一種である厚生年金基金が代行返上(従来厚生年金保険の一部を代行していたのを廃止すること)して、国に資産の一部を返還したからだ。2.会計基準が原因 この最大の原因は、会計基準がグローバルスタンダードにあわせて厳しくなり、低金利下で債務が現価評価されたことによって企業に大きな負担になったことによる。3.年金法改正で手当てされたが・・・ 厚生労働省は企業の負担を軽減するために債務評価を終価(元利合計)方式として、平成16年6月11日交付の年金法改正に盛り込んだ。この終価(元利合計)方式の債務は最低責任準備金といわれている。現状のような低い金利の下では、現価方式の会計上の債務は、終価(元利合計)方式の最低責任準備金よりはるかに大きい値となっている。現実に、解散や代行返上に際して実現する金額は最低責任準備金になっている(法令どおり)ので、解散や代行返上したとたんに会計上の債務が減って「返上益」が出ることがときどき新聞に報道されている。 この最低責任準備金が解散や代行返上しない一般の厚生年金基金についても会計上の債務と認知されれば企業にとっては会計上の債務額が減るので朗報である。 また厚生労働省は、企業が代行を行なっていない場合と比べて負担が変わらないように、負担が重くなった場合には「給付現価交付金」を厚生年金基金に交付し、負担が軽くなりそうなときは社会保険庁に企業収める保険料を少し高くすることによって公平性を図っている。 この複雑な仕組みは、残念ながら会計士の先生方の集団である企業会計基準委員会(ASBJ)の理解するところとはならず、法律が施行される平成17年4月1日を過ぎても何も手をつけてられていなかった。このたびようやく「給付現価交付金」部分の処理をまとめて公開草案として5月1日締め切りで意見を募集しているのだが、年金業界からは批判的コメントが殺到していると聞く。4.会計士の理屈は高金利環境で・・・ 会計士からすれば「利益は確定したところで認識、損失は確実に見込めるとき(possibleでなくprobableとなったとき)に認識」という原則に忠実に、今回給付現価交付金のみにしぼった会計処理としたのだろう。しかしこのような法律の趣旨(代行部分の債務を最低責任準備金とする)を無視した処理をすると、いずれおかしいことになる。それは高金利になったときだ。今度は会計上の債務は現価方式なので小さくなり、法律に定める債務額は終価(元利合計)方式なので大きくなるのだ。現在では会計上の債務が最低責任準備金よりも大きいが、高金利下では会計上の債務が最低責任準備金よりも小さくなるのだ。すなわち企業の債務を過小評価し、利益を過大計上することになる。おそらくこのような事態になれば、米国年金会計基準改定の検討の過程で話題に登っている「roundup value」(清算価値、日本流に言えば要支給額)を持ち出して会計上の債務を最低責任準備金とせざるを得なくなるのだろうが、その前に会計士の先生方を見守る役回りの金融庁の役人が法律の趣旨をわかりやすく会計士の先生方に説明してもらいたいものだと思っている。それで当面の厚生年金基金の「官営化」は防止できる。※5.補足:米国流会計ではどうか 米国の会計基準でも代行部分が最低責任準備金などとは全く認められていない。しかし、これは日本独特の「最低責任準備金」という数値を日本の会計士がうまく米国に説明できなかった結果であって、まずは日本の基準を法律に基づくものにした後に、米国の基準を変更するように働きかけるのが筋であろう。※さらに厚生年金基金を公的年金の民営化として育成するつもりなら特別法人税を復活すべきであろう。例えば運用収益の20%とする。厚生年金基金は準公的年金なので例外的に給付が高い場合を除いて税がかからない。(結果として、日本版401kの確定拠出年金にも特別法人税がかかると批判が多くなるかもしれないが。) 以上
April 30, 2006
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1.60歳以降働いていると年金が減る厚生年金保険には在職老齢年金の制度があって、60歳以上で働きながら年金をもらっている人は、給与が高いと年金額が減らされる仕組みがある。2.天下り役人の年金が減る公的年金一元化で、公務員から民間に天下りした人が60歳以上の在職していた場合に、従来は公務員の年金は国家公務員共済から出るので年金額が減らされなかったが、今後は年金制度が一体化されるので、年金が減らされる。これを、マスコミでは「官民格差の是正」と好意的に取り上げている。3.天下り役人は短時間労働者になるしかし、民間企業でも給与を調整したり、労働時間を短くして(短時間労働者)にして年金を全額もらえるようにしているケースは多い。公的年金一元化で、天下り※役人で、今まで勤勉に働いていた人が働かなくなったり、今まで怠けていた人は一層怠けるようになることがおきると思う。彼らは短時間労働者になったほうが年金が減らされないからだ。短時間労働者になった分だけ、今まで1人を受け入れていた企業が2人受け入れることになるかもしれない。4.働いているからといって年金を減らすのはおかしいそこで、福禄太郎が思うに、これを機会に在職老齢年金の制度を廃止してはどうか。いままで払ってきた保険料の累積を、老後に勤務しているからといってもらえなくなるのはおかしい。年金財政上の効果は微々たるものだ。また、資産家・家賃収入のある人もいるから給与をもらっているからといって年金を減らすのは不公平だ。総合課税で調整すべきで、年金額を減らすのは保険料納付意欲を阻害するので弊害が大きい。※私は、公務員の天下りは必ずしも悪いことではないと思っている。第一に民間企業でも定年後の職場として関連会社を沢山作ってOBをはめこんでいる。例えば損保の代理店が典型例だ。民間企業がやっていることが非難されなくて、役所がやって何が悪いのだろうか。確かに「渡り」とかいって複数の天下り先を渡り歩くたびに高額の退職金を手にするなど弊害が多かったが、天下りを全く禁止するのは本省の人事の停滞をまねき弊害が大きい。第二に業界団体の場合は民間だけではまとまらない場合に役人が来たほうが重しになる。威張っているだけで自ら業務をこなさない天下り役人がいた場合は首にして新しい役人を役所からもらえばいいだけだ。実際に、首になったり給料を減らされている天下り役人もいる。
April 29, 2006
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3月31日の日経経済教室に白川理事が「わが国は緩やかな物価下落を経験したが、デフレスパイラルには陥らなかった。そのメカニズムは十分には解明されているとはいえないが、海外諸国と異なり名目賃金の調整が伸縮的に行なわれたことや・・・」と書いている。賃金のみならず、企業年金も「給付減額」によって減らされた企業が多いが、結局これが企業の体力回復に役立ったようだ。米国に比べて給付減額に甘いといわれるが、これが日本経済の強さかもしれない。一時金原資を退職時まで繰り延べる「繰り延べ乗率」、一時金原資を年金に換算するときに使用する給付利率の引き下げは労使合意で柔軟に認めてよいかもしれない。
April 3, 2006
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日経によれば、英航空最大手ブリティッシュ・エアウェイズ(BA)は23日、10億ポンド(約2000億円)に上る企業年金の積み立て不足を解消するため、パイロットなど従業員の定年を60―65歳へ引き上げると発表した。【福禄太郎注:定年を引き上げれば、年金の支給期間がその分減るから、年金債務は減るという計算だ。】 現行の定年が55歳の客室乗務員を含め、大半の職種は65歳に延長する。パイロットは米国やフランスなど60歳を超えると飛行を禁じられる国があるため、60歳にする。 定年前の退職も認めるが、満額は受給できない。BAは退職時の受給額の増加率を今後、前年比で最大2.5%に抑えることや、寿命が延びた場合は労使双方で負担を分け合うことなども提案。これらで「4億5000万ポンドの積み立て不足を解消できる」(ウォルシュ最高経営責任者)という。 労組が提案を受け入れれば、会社側は穴埋めにさらに5億ポンドを拠出する意向だ。ただ最大の労組は「不公平で受け入れがたい」と反発。ストライキなどの事態につながる可能性もある。【福禄太郎が思うに】 日本は平成18年4月1日から改正高年齢者雇用安定法が施行されるが、現行の日本の企業年金法制の下では、雇用延長に対応して支給開始年齢を引き上げようとしても、給付減額に該当することになり、手続きも面倒で認可要件も極めて厳しい。労使合意で柔軟に対応できるように法制を整備すべきだ。 それから公的年金についても、60歳から65歳までの特別支給の老齢厚生年金については、繰り下げ支給を認めるべきだと思う。働きながら年金をもらうと年金額が削られるのをきらって、60歳から短時間労働者になる人が多いがこれは雇用延長の趣旨に反する。高齢化への社会の負担を減らすためには高年齢でも働けて、働きに見合った(年金以外の)収入を得られる環境を整備することが必要だろう。
March 25, 2006
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少し古いが、12月26日の日経のインタビューで経済産業研究所所長の吉富氏は、平成16年法改正を評価しているが、その前提として経済成長が必要と説いている。少子高齢化が進む中で、今後公的年金制度がうまくいくためにはGNPが増えないとだめで、絶え間ない技術革新、女性の労働力参加の向上、海外からの投資収益、これらを強化する新成長戦略を国家目標に位置づけることが必要と説いている。しかし経済成長を目指せば地球資源の消費はそれだけ増えるので、ゼロ成長でうまくいく方策はないものか、と思ってしまった。ちなみに、選択2006年2月号で、東京大学気候システム研究センター教授の住明正(すみあきまさ)氏は次のように述べている:「地球は今、明らかにオーバーキャパシティです。人間は地球のあらゆる資源を酷使している。地球と人間社会が持続的に共存できるような全体のデザインが大事なのです。先進国の現代人のように、やれグルメだ、それクルマだと贅沢を求めるのが人間の本来の生き方なのか考えるべきときだと思います。」参考:
February 3, 2006
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絲山秋子の小説「スモール・トーク」は外国製スポーツカーを乗る悦楽を流麗な文体でつづったものだ。TVRタスカンについては、「ぴかぴかに磨き上げられたその曲面に、公園の色あせたハナミズキの木と隣のマンションが歪んで映っていた。 横から眺めると、長いフロントノーズと柔らかくふくらんで持ち上がったテールは、旅を終えて水面に舞い降りた雁のように完璧なバランスだ。・・」という具合だ。この他、登場する車は、ジャガーXJ8、クライスラークロスファイア、SAAB 9-3カブリオレ、アストンマーチン、アルファロメオだ。脇役として国産車のRX-8が出てくる。SAAB9-3カブリオレについては次のように書かれている「カブリオレはまっすぐな道を走るよりも、カーブで傾く空や揺れる木々に囲まれ、景色の一部になった自分を感じる車なのだと思った。・・・」その主人公の「ゆうこ」が、いつも外車を持ってくる15年前の恋人の本条鋭二のことを「あんたは国民年金より信用できないよ」と言い放つシーンがある。面白いセリフだと思った。国民年金もいよいよ昔の恋人を形容する言葉になった。国民年金は、平成16年法改正でようやく収支バランスを回復させるべく保険料引き上げのスケジュールが法制化され、後の不安は国庫負担の増額とマクロ経済スライドを可能にするための物価上昇だが、それが不十分であったとしても、いずれ5年後には財政の見直しが行なわれ収支の均衡が計算されることになる。若者よりも老人のほうが投票所に足を運ぶだろうから、年金額は少々減りはすれ、私は国民年金を頼りにしているので、芥川賞作家が「ゆうこ」に言わせたセリフにはやや違和感を覚えた。しかし、よく考えてみれば、それは今だから言えることで、この小説がクルマに関する雑誌「NAVI」に連載されていた2004年3月~8月は、未納・未加入・グリンピアなどでまさに国民年金に対する不信感が渦巻いていたので、時代の雰囲気をよく反映していたと言えるのだろう。関連資料:NAVI連載の経緯等
January 26, 2006
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米国の人気ドラマ「24」(Twenty Four)は、テロを撲滅するための政府組織「テロ対策ユニット」の活躍を描くもので、日本でも人気がある。私はシーズン1,2,3を見終わって、4はこれからだが、大変よく出来ていると思っていた。人事・資産運用コンサルティングのマーサーはメルマガを出しているが、1月20日号はコンサルタントの羽山明子さんが人事コンサルティングの専門家の観点からドラマ「24」を分析している。羽山さんは「テロ対策ユニット」に3つの大きな問題があると考えている。第1は採用基準が甘い。巨額のお金に目がくらんでテロリストに裏情報を流してしまう人が多すぎる。第2は人員配置が甘い。コネ入社が可能、父と子供が同じ部署、2人しかいない上級管理職が夫婦。第3は指揮系統が統一されていない。羽山さんは組織がしっかりしていれば24時間もかからないで問題は解決すると説いているが、言われて見ればそのとおりだ。確かに政府直轄のテロ対策組織としてはあまりにも前近代的である。羽山さんはメルマガの執筆者となって2年経過したので執筆を離れるそうだが、残念なことだ。人事コンサルもいいが、どこかの編集者が声をかけて「テレビドラマに見る「ありえない組織」」というタイトルで本を刊行されることを望むものである。
January 24, 2006
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早いもので、企業年金の一種として日本版401(k)、確定拠出年金制度が2001年10月に登場してから4年たつが、この制度の最大の特徴は資産運用を個人の責任にゆだねている点である。このため会社の責任が軽くなり、会計上も年金債務として認識されないので、経理担当からは評判が良いようである。問題は個人がうまく運用できるかであるが、米国ではすでに詳細な実証研究がありOlivia S.Mitchel and Stephen P.Utus 編Pension Design and Structure Oxford University Pressにまとめられている。結論は、個人は決してうまくは運用できていないと言うことである。すなわち、最初の資産配分(株と債券の比率)をずっと固定したままだったり、会社の提供するファンドのメニューに引きずられたりする。会社が株式ファンドを多く提供すれば株式に多く投資し、債券ファンドを多く提供すれば債券に多く投資するという結果が報告されている。個人に運用を任せることについては、米国の識者Zvi Bodieも批判的である。おそらく日本でも同じようなことが言えると思うので、次回確定拠出年金法の改正時には、会社がまとめて運用して、その実績を個人に分配していくと言うような、集合運用型の確定拠出年金が可能になるような法改正を望みたいものだと思っている。
January 8, 2006
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を読んでいる。「持ち帰った仕事の取扱い」という項目があるのに惹かれたからだ。かつては良くカバン一杯に書類を詰め込んで持ち帰り仕事をしたものだ。家での仕事は電話の邪魔も入らないので、締め切りに迫られて切羽詰っている場合は効率的だった。今では会社のセキュリティーが厳しくなり、書類・データの社外持ち出しが厳禁なのでやっていない(仕事が通常の勤務時間で処理できないときは優先度の低いものを溜めておいて、休日出勤で対応している)。持ち帰り仕事は風呂敷残業とも言われ、サービス残業の自宅版と言える。サービス残業と並んで、日本の生産性を支えていたと言えよう。会社の命令で行なっていれば残業代が発生するが、会社の指示がなくて担当者が責任感で持ち帰っている場合は勤務時間とは言えず残業代は発生しない。私は会社に請求しようなどとは露ほども思わなかったが、家族は「残業代もらえばいいのに」と言っていた。本書は「会社の指示がなくて担当者が責任感で持ち帰っている場合は勤務時間とは言えず残業代は発生しない」という「機械的な」判断はまずいと言っている。会社と社員が良い信頼関係にあれば社員の責任感と会社の処遇しだいで問題にならないが、信頼関係が低かったり給与水準が低い場合には社員に不満がたまることになるからだ。この本では、「持ち帰り残業は原則禁止とする。持ち帰った場合は、必ず報告させた上で残業を認める。」ということを勧めている。ま、ぎりぎりのところは、そうだろうと思った。仕事の持ち帰りは、帰宅途中に立ち寄った飲み屋にカバンを置き忘れたりと、社員のみならず上司にとってもリスクが相当高いことにも十分留意すべきだろう。その他、本書には、休日の社員旅行に参加するように言ったら社員に代休を請求された場合の話とか、いろいろ考えさせられる材料が多く有益だ。
December 29, 2005
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厚生労働省は11月30日、財政状態が著しく悪化している20の厚生年金基金を重点的な指導対象に指定したと発表した。2006年度から5年間の財政健全化計画を年内に提出させ、指導しても健全化の見込み無しと判断した基金には解散も促すようである。基金名を見ると繊維関係など、従業員の減少の多い企業がある。厚生年金基金は厚生年金保険の一部民営化として優れた制度と思うが、産業構造の変化のあおりをもろにうけた基金もあったようだ。企業単位でなくたとえば地域単位のほうが民営化はうまくいったかもしれない。
December 13, 2005
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1.投資ファンドと労使関係投資ファンドはいろいろきれいごとを言っても、買収された企業の従業員の権利をぐちゃぐちゃにして株価を上げようとする懸念はある。厚生労働省管轄で「投資ファンド等に買収された企業の労使関係に関する研究会」が出来たことは、まことに時宜を得たことだ。2.東急観光のケースこの研究会設置のきっかけとなった東急観光の不当労働行為審査の申し立ては以下のとおりである:今回検討の契機になったのが東急観光の不当労働行為審査の申立てだ。審議会議事録によると以下のとおり: 東急観光株式会社(左下)の株式は、昨年3月以前は東京急行電鉄株式会社が100%所有していたが、昨年3月に、東急電鉄が東急観光の株式の85.03%を投資ファンド会社に譲渡した。そのため、この株式は、JPE.LtdとAF2.Ltdという会社に株式の所有権が移っている。なお、これらの会社はそれぞれ、本社をケイマン諸島に置く投資ファンド会社だ。そしてJPE.LtdとAF2.Ltdという2つの会社は、ファンドの運営を受託している日本法人、アクティブ・インベストメント・パートナーズ(AIP社)に東急観光の株式の運用運営も委託したものだ。この会社は1999(平成11)年、6年前の設立で、ファンドの規模は100億といわれている。青松氏が代表者を務め、イギリスのロスチャイルドや三井物産、国内生損保、都銀等から資金を募りプライベート・エクイティーによる運用を行っている会社である。 東急観光の役員は全体で7名だが、そのうちの5名がAIP社から選任されている。東急観光の社長は生え抜きの金子氏だが、それ以外に東京急行から1名、AIP社から5名ということで、AIP社の青松氏も非常勤の取締役として取締役会議長に就任している。 昨年3月に役員構成が変更されて以降、東急観光にあった東急観光労働組合、(当時1,700人ほど)と東急観光の関係で様々な問題が起きている。 労働組合の側からは、一時金の支給等について会社側が誠実に交渉しない、あるいは、昨年12月にできた第2組合を支援している、第2組合である「社員会」の会員にのみ一時金が支給され、東急労組の組合員には支給されないのは不当労働行為ではないかということで東京都労働委員会に申立てがなされている。 昨年6月にその不当労働行為の救済申立てがなされ、その後都労委のほうで和解に向けた取組みが行われたようですが、その辺が順調に進展しなかったということで昨年11月に、東急観光労働組合は、実質的に労働条件を決定しているのはAIP社であるということで、AIP社に対して団体交渉の申込みを行った。その後12月に入ってその申込みをAIP社が拒否し、東急観光労組は都労委に対して、AIP社の団交拒否が不当労働行為に当たるということで救済申立てを行っている。 平成17年5月に第1回会合を開催し、以降、月1回程度開催し、平成18年1月中を目途にとりまとめを行うとのこと。内容に期待したい。以下は、参考資料として厚生労働省のホームページから転載する:3.研究会の趣旨 独占禁止法の改正による純粋持株会社の解禁に伴う労使関係の在り方に関しては、平成11年12月、公労使の三者で構成される持株会社解禁に伴う労使関係懇談会(座長 山口浩一郎)の中間とりまとめが行われ、「団体交渉当事者としての純粋持株会社の使用者性の問題については、これまでの判例の積み重ね等を踏まえ現行法の解釈で対応を図ることが適当である」としつつも、「純粋持株会社の今後の動向を見つつ、引き続き検討をしていくことが必要である」とされていたところである。 しかし、近年多く見られるようになった投資ファンド等による企業買収の状況を見ると、短期間で企業価値を高めて収益を上げることを目的とし、被買収企業の労働条件の決定についても純粋持株会社とは異なり積極的に関与しているように見えるケースも見受けられるようになっている。このように、当初持株会社の姿として想定されたものとは異なる企業行動をとる会社が出てきたことに伴って、従来からの集団的労使関係が変化していくことも考えられる。 このため、このような投資ファンド等が企業買収を行った場合における被買収企業の労働条件の決定に関する投資ファンド等の関与等労使関係の実態を把握するとともに、新たな対応を行う必要性について検討するため、「投資ファンド等により買収された企業の労使関係に関する研究会」を開催する。 4. 検討事項 本研究会においては、次に掲げる事項を中心として調査、検討を行う。(1) 投資ファンド等による被買収企業の労働条件決定への関与等労使関係の実態 (2) 投資ファンド等の団体交渉当事者としての使用者性の判断の在り方 5. 運営(1) 本研究会は、厚生労働省政策統括官が学識経験者の参集を求めて開催する。 (2) 本研究会は、必要に応じ、実務経験者等の出席を求めることがある。 (3) 本研究会の議事については、別に本研究会において申し合わせた場合を除き、公開とする。 (4) 本研究会の庶務は、厚生労働省労政担当参事官室において行う。 6. 現在の研究会メンバー荒木 尚志 東京大学大学院法学政治学研究科教授 小畑 史子 京都大学大学院地球環境学堂助教授 神作 裕之 東京大学大学院法学政治学研究科教授 毛塚 勝利 中央大学法学部教授 宍戸 善一 成蹊大学法科大学院教授 西村 健一郎 京都大学大学院法学研究科教授 柳川 範之 東京大学大学院経済学研究科助教授 山川 隆一 慶應義塾大学大学院法務研究科教授
November 20, 2005
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だいぶ前の記事だが、「企業年金情報」によれば、8月8日付『年金実務』によると、国民年金保険料未納者の6割近くが国民健康保険の保険料は納付しているということが明らかとなったそうだ。国年未納の理由は、経済的なものだけでないということが明らかとなったわけだ。人間目先のこと(1年以内に疾病になる確率)のほうを先のこと(国民年金の受給)より優先する癖があることの例証ともいえる。また、年金制度に対する不信から長期に払い続けても、老後に十分給付されるかわからないという不安があるのかもしれない。しかし投票に行くのは老人のほうが多いのだから、年金制度は堅持されると私は思うのだが。
November 2, 2005
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本書は、歴史・制度・経済理論にわたる幅広い視点から社会保障のあるべき姿を論じている。また、チリの公的年金に対する批判などの最新の研究成果も踏まえている。 年金に関しては厚生労働省の「方向性と論点」を丁寧に読み、昨年の公的年金改革を評価し、「マクロ経済スライド」という自動調整装置の導入により将来の不確実性に対処できる改革を実現したにもかかわらず、マスコミや一部識者が公的年金の不安を煽り立てていることを批判している。社会保障全般について著者の見るところ、日本は南欧諸国と同様に育児や介護等の福祉サービスを家族に強く依存しており、アメリカは市場、スウェーデンは政府に依存している。現在の日本の政治もマスコミもアメリカ型を指向しているようだが、アメリカは低所得者層があるので福祉サービスを市場から調達できる(メイドを雇う)が、日本の場合は低所得者が少ないので市場で福祉サービスを調達することは非現実的としている。アメリカ型のほうがコストが安くなるというのは間違いで、アメリカでは最低レベルの福祉サービスも利用がおぼつかない者がおり、また社会全体で福祉支出の家計支出に占める割合がスウェーデンなどと平均的には同じであると説く。著者の主張は「積極的社会政策」により、家族に依存している福祉サービスを政府が提供するように変えていくべきで、それがあってはじめて少子化が抑制できると説く。第4章「先進諸国の家族政策と学歴別出産タイミング」は著者の妻の権丈英子氏が著したものであるが積極的社会政策の効果を検証している。イギリス・ドイツ・オランダ・スウェーデンの家族政策を比較し、この中でスウェーデンのみが市場と家庭における男女の役割を平等とする価値を制度化・組織化した社会を作るとともに、公共が責任をもってほぼすべての児童に保育サービスを供給するシステムを備えている。そして、イギリス・オランダ・旧西ドイツにおいて、出産時期の遅れが目立ち、最終的に子供を持たない割合も高く、特に高学歴者ほどこの傾向が著しく見られた。他方、スウェーデンそして旧東ドイツでは、学歴水準にかかわらず、子供を持つ割合が高かったとのことである。なお、イギリス・ドイツ・オランダの家族政策も、1990年代から徐々にスウェーデン型の方向に変化しているそうだ。著者は「積極的社会政策」の財源についても論じており、消費税と並んで著者の主張する「年金目的相続税」は、9月15日の日経にも引用されている。本書は語り口は平易であるものの、学術的で数式もあり、章によってはとっつきにくい部分も多い。例外は第2章で、第1章と重複している部分があるので理解が深まった。もっとも、本来は、単行本にする過程でもう少し手を入れて重複の無いようにすべきであろう。なお、とっつきにくいところを飛ばして読んでも著者の主張は十分理解できる。第27回労働関係図書優秀賞を受賞しているがこの本の内容が学会だけに共有されるのはもったいない。講談社現代新書の編集部あたりが目をつけて、やさしく書き直して「積極的社会政策の薦め」というタイトルで新書になると良いと思った。
October 23, 2005
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日経金融新聞によれば、UFJ総研と提携して、中国で年金や人事のコンサルをするそうだ。特に中国に進出している日本企業向けのコンサルを積極展開し、いずれは中国の地場企業へのコンサルの展開も検討するそうだ。反日感情があるというのに大したものだが、カントリーリスクに十分注意してほしいものだ。
October 15, 2005
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私の知人の会社では、提携している書店が本を5%引きで届けてくれて、しかも支払いが給与から天引きされている。人事部の給与厚生で引き落とし事務を行ってくれているのだ。うらやましい会社だなあと思った。ちなみに、私の勤めている会社も5%引きで本を届けてくれる書店があるが、振込みを自分でしなくてはならないので面倒だ。しかも振り込み手数料が必要なので、高価な本でないと足が出てしまう。だから使っていない。就職情報誌もこういう情報を流せば良いのにと思う。
October 14, 2005
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支払保証制度とは、企業年金が破綻した場合に積み立て不足額を補填してくれるありがたい制度だが、もちろんその財源として企業年金は保険料を納めなくてはならない。日本では企業年金連合会が、厚生年金基金が給付の一部についてのみ実施しているが厚生年金基金の運営状況によっては額が削られる。10月7日の日経金融によれば、米国の支払保証制度が窮地に陥っているそうだ。米国ではこの支払保証制度は年金給付保証公社が実施しているが、デルタ航空・ノースウエスト航空の航空大手2社が同時に破綻したので、この公社の債務超過額は2019年には1090億ドルに膨れ上がると予想されている。は、厚生労働省の元官僚と現役官僚が企業年金の現行制度と今後のあるべき姿を解説した本だが、支払保証制度の充実も実施したいと語られている。公的年金の補完として企業年金を考えるのであれば、企業倒産でも従業員に給付がいきわたらなくてはならないからだ。しかし米国の例を見るに、企業倒産が相次ぐとなかなか運営が難しいようだ。
October 11, 2005
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石油連盟のホームページには、最近の規制緩和による石油業界(石油の精製・流通業。端的にはガソリンスタンド業界)の激変ぶりがわかりやすくグラフにまとめられていた。このホームページの12番のZIPファイルをダウンロードして解凍すると、きれいなグラフ(複数)が現れる。これによると、ガソリンスタンド(サービスステーション)は1995年3月現在で60,421だったのが、2004年3月で50,067になっている。1999年3月現在で29,000名だった従業員が2004年3月には20,000名になっている。消費者にとっては規制緩和は良いが、業界にとっては大変な痛みを伴っていたことが改めてわかる。自分の職場も「規制緩和」の波をかぶったとたんに大変なことになる、場合によっては職を失うこともありうることが類推される。
September 9, 2005
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日経金融8月10日によれば、16年厚生年金法改正の一環の企業年金のポータビリティーの問題点が指摘されている。それは401Kから中退共への移管ができないことだ。また、別の報道によれば、制度の複雑化を嫌って従来は可能としていた再加入者の通算をしない予定の厚生年金基金が増加の兆しがあるようである。立法の趣旨としては転職者の年金通算の促進だったのが、実施段階でポータビリティーの縮小となり、政策科学論文の格好のテーマを提供してしまっている。
August 25, 2005
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民主党のマニフェストをプリントアウトしたら32ページもあった。黒のインキカートリッジがたまたま無くなった。税方式による年金の一元化を主張しているが、税金には課税最低限があり税金を納めていない人はたくさんいるが、それらの人にも年金を給付するとしたら、所得を完全に把握されているサラリーマンが不利になるのではないか。納税者番号制を導入すると言っても、申告納税の人間と源泉徴収の人間では所得の把握のレベルが異なるのではないか。また在職老齢年金についても所得を正確に把握されている人間のほうが支給停止が多くなるのではないか。結局、セルシオに乗っている自営業の方の年金のほうが、カローラに乗っているサラリーマンより多くなる可能性があると思う。
August 22, 2005
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そもそも16年法改正の問題点は、現役所得の50%を年金の給付水準としてしまったために、国庫負担を3分の1から2分の1にしなくてはならないことが確定したことだ。ところがこの2分の1にするための、その具体的な財源のめどについて具体的なプロセスが明らかになっていない。消費税についてもいつからどの程度引き上げてそのうちどの程度を年金財源とするか決まっていない。要するに先送りしたのだ。そもそも、少子高齢化の中で、ヨーロッパ並みの高福祉を低負担で実現しようと言う夢を見せているのが政治家の愚かなところだ。この基本的な矛盾を明らかにして、手を打たなければ、どんな制度いじりも、社会保険庁のシステムコストを食うだけで無駄だ。民主党と、自民党が、給付と負担の関係を先送りにした制度いじり競争に走らなければ良いと思う。特に民主党案は、所得補足率の異なるサラリーマンと自営業者を税方式で一元化しようという乱暴な案で笑止千万だ。財源を年金目的の消費税としているが、財政赤字のもとで消費税を財源としたいものは年金のほかにもたくさん在るのをどう考えるのだろうか。自民党が言っている公務員年金と厚生年金の一元化も私は併給調整程度で軽く済ませればよいと思っている。私は税金を今以上に払いたくないから、公的年金の給付水準を現役の40%にして、国庫負担を現在の3分の1から増やさないことが必要と思っている。だいたい自民党も民主党も公務員を絞り上げれば財源がどんどん沸いてくるという幻想を持たせるようなマニフェストを書いているようだが、歳出構造を見てほしい。大きいのは社会保障費だ。これにメスを入れる、少なくとも肥大化を抑制しなければ財政再建はない。
August 21, 2005
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1.リストラを進める企業は、以下のようにして経費を浮かすことがある:まず、電話交換をやめる。電話の交換オペレーターを不要にするのだ。そして各部署直通電話にする。最初は直通電話の数が一人一台だったのだ、少しずつ台数を減らしていく、そして10人に1台、しまいには20人に1台、30人に1台とする。そうすると、結局そのグループで若い人間・気の利く人間が電話交換手をすることになる。事務職員がいる部署はいいが、それもリストラされると現業の人間が忙しい間に仕事を中断されながら電話を処理することになる。ずうずうしいやつは会議室にこもって仕事をすることになる。2.一人当たりのオフィスのスペースも就職情報誌はもっと報道すべきだ。もともと法定のスペースがあるが、窮屈な中でダンボールと書類に囲まれて仕事をしてる会社も多い。実は公務員もこの点では酷い。本省でも審議官にならないと良い環境は望めない。3.会社の営業車を軽乗用車にするのは良いとしても、これで高速を走らせる会社もある。サスペンションが悪いので疲れる。「そんなの我慢せい」という意見もあるだろう。しかし、問題は職場環境に関する情報が労働市場に行き渡っていないためにマーケットが有効に働いていないことだ。就職情報誌は以上のような職場環境の比較を行うべきだと思う。既存の就職情報誌でむずかしければ、別の情報誌を作る必要があるかもしれない。
August 15, 2005
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以上のプロジェクトの結果、情報提供の内容として、年金の国民に対する通知としては、以下のような項目が含まれるのが望ましいとしている:1.年間の給付額の予測だけでなく、平均余命まで生存した場合の保険料と給付額の予測とその計算方法2.マクロ経済スライドの下での最低予測給付額3.保険料の免除や追納制度4.障害基礎年金や遺族基礎年金の存在5.国庫負担や物価スライド、終身年金などがもたらすメリットその一方で行動ファイナンスが示すように、人間の認知能力には限界があり,海外においても、通知の簡潔さが重視されているだけでなく、通知以外のコミュニケーション手段の活用も図られている。以上を踏まえながら,序章「国民年金1号保険者への通知のひな型」ではできるだけ簡潔な形で、比較的若い人を念頭に置いた、通知のひな型を提示している。
July 7, 2005
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第3章は中嶋・臼杵・北村「国民年金1号被保険者の加入・納付行動と効果的な情報提供のあり方」であるo未納・未加入の要因の仮説を立てた後に、国民年金の第1号被保険者219名(第4章の研究で実験をしてもらう)を対象とするアンケートで分析を行っている。この国民年金の第1号被保険者をどうして集めたのかと思ったが、学生さんはともかく、専門業者がこういう特定のカテゴリーの人間を集めることができるのだ。仮説は、先行研究をサーペイした後に次のものを立てた:1.手元の流動性の不足2.老後の保障以外の準備の必要性3.逆選択 余命が短いと考える被保険者ほど加入・納付に消極的であり,余命が長いと考えている被保険者は加入・納付に積極的である。第4章(「保険料と受給額を知らせる通知のタイプ別の効果一実験による検証」臼杵・中嶋・北村論文)では, 6つの通知のプロトタイプをつくり、どのような内容と文言の通知であれば,国民年金制度への加入・納付の意思が高まるかを、実験によって検証した。第1号被保険者を6グループに分け,通知を提示する前後に,任意加入での加入・納付の意思を尋ねて、有意な変化があったかどうかを検証した。 第5章(「政府と加入者のコミュニケーションのあり方一老後設計に向けた個人情報の提供」中嶋論文)では、通知を含めた,政府と公的年金加入者との情報提供・コミュニケーションのあり方全体への考察を試みている。 これまでの内閣府や社会保険庁による調査をサーペイしてみると,公的年金の被保険者は、 年金受給額、財政の現状や将来見通し、の情報を求めているが,一方で国庫負担の存在、 実質価値維持、保険料免除制度、といったメリットが周知されていないことがわかった。第6章(「海外における被保険者への情報提供の状況」臼杵論文)では、加入者向けの通知をすでに実施している、ドイツ・スウェーデン・アメリカに現地調査して、それぞれの国の情報提供を研究した。第7章(「公的年金の通知に関するファイナンス基礎実験」北村・中嶋・臼杵論文)では、実験ファイナンスの手法を利用して、実験室内に年金制度等を抽象化した市場環境を構築し、 加入者が投資判断を行う際,リスクのある金融商品の価格を適切に判断できるか、年金及び他の金融商品間の資産配分を適切に行えるか、に着目して、基礎的な実験を行った。
July 6, 2005
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