SHANBOBA とばそ♪

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乳児健診


市の健診は、実際には子供が4ヶ月に入ってから受診するように通知が届く。
とぉくんと同じ月齢の子に会える・・・なんだかワクワクしちゃうな~。

会場に着き、受付でまず驚いたこと。
ほとんどのママが赤ちゃんを片手で縦抱き、あいた方の手で書類を受け取っている。
赤ちゃんはというと、「ここは、どこだ~?」と言わんばかりの表情でキョロキョロと会場を見回している!
私はと言うと、リュックを背負って とぉくんを両手でしっかり横抱き。書類を受け取るのも一苦労。
とぉくんは、まだ首がすわっていない。
そして、とぉくんはというとキョロキョロするどころか、いったいどこを見ているのか・・・ボーッとしていて焦点があっていないぞ。
周りの赤ちゃんとの違いに、なんだか焦る私。

動揺を隠し切れず、思わず隣にいたママさんに話しかけた。「赤ちゃん、もう首がしっかりしてるんですね。
うちは、まだグニャグニャで~(^^)あはは。」すると、そのママさん自信満々でこう答えた。
「うちは過保護な育て方してないからネ」

ありぁ、そうなんですか。育て方一つで首のすわり方って変わってくるんですか。ああ、そうですか、そうですか。
この子の首がすわらないのは、私の育て方がわるいんですかっ!?なんかヤな感じ。ムカつくな~。


そんな事もあったけど、気を取り直して健診。
身長・体重・頭囲などを測定したあと、医師の問診がある。
とぉくんをベットに寝かせると、先生がガラガラのおもちゃをゆっくりと とぉくんの目の前で動かした。
とぉくんは無反応。
もう一度、左右に動かす。
またまた無反応。
「んん~~~~」先生が難しい顔をして首をかしげた。
「目はちゃんと見えているはずです」と私。

次に先生はとぉくんの耳元で鈴を振ってみた。
とぉくん、無反応。
何度やっても、無反応。表情ひとつ変えやしない。

その時、隣の部屋から誰かの小さな咳ばらいが聞こえた。
その咳ばらいに反応して体をビクつかせ泣き出す とぉくん。
「耳は聞こえているようだね。でも、どうも反応が気になるな・・・」そう言うと、先生はさらに難しい顔をした。

「今ちょうど眠い時間なんです!」私は精一杯に とぉくんを弁護しようとした。

しかし、先生は私の訴えを軽く聞き流し・・・
「首もすわっていないし。お乳の飲みも少ないようだし。もう一度、診たいので来月も来てください」と、
母子手帳に再度健診のハンコウを押した。


とぉくんは、予定日より1ヶ月早く産まれたんだし、みんなとの差はしかたないよね?
内心は思いっきり動揺していたが、気にしないように私は何度も自分に言い聞かせていた。


そして生後5ヶ月。再検診だ。
問診は前回とは違うお医者さんだった。真っ先に首すわりのことを言われる。
早産だったことを伝えると「一ヶ月早く産まれたって事を考えても、この首では遅すぎるよ。」と。
そのころ、とぉくんは寝返りを盛んにしていた。そのことも伝えてみた。
「あのね。寝返りと首のすわりは関係ないんだよ、使う筋肉が違うからね。」だそうだ。
それにやっぱり物を目で追うという反応も音への反応も、にぶいのが気にかかる。
結局、前回とまったく同じことを指摘され、来月 再々健診に来るようにと言われた。
母子手帳には、再検診のハンコウが重なるように並んで押された。


今度は生後6ヶ月。再々健診。
また前回とは違う先生だ。市の健診は毎回いろんな先生が当番制でみえるのね?
まず、先生がとぉくんの腕をつかんで体を起こす。実はコレ家で何度も訓練したのよね。
もう、大丈夫だと思うんだけど・・・祈るような想いで、とぉくんの起き上がる姿を見つめる。
「まだ完全ではないけれど、これならもう大丈夫だね。」と先生。やった~~!

そして、物を見る反応と音への反応は・・・ううっ。やっぱり、にぶい。
恐る恐る先生の顔を覗き込むと、なんだか難しい表情・・・ムムッ、今日もダメか!?
ところが「まぁ、良いでしょう。」と先生。
やっとOKがもらえたことで、私の顔は喜びでいっぱい!

「ありがとうございました~」と、ニコニコしながら帰り支度をする私。
先生が一言付け加えた。「この子はこれからも、こうゆう育ち方をすると思われますよ。」
とぉくんを抱きかかえた私は「そうですか、わかりました~♪」と明るく返事をして部屋を出た。


こうゆう育ちかたって、ゆっくりおっとり育つってことでしょ?
私もかなりの、のんびり屋さんだったもの。私に似たのね。


根っから能天気な私は、このとき先生の言おうとした意味など まったく深く考えようとはしなかった。
ゆっくり成長している とぉくんが可愛くて可愛くてしかたなかったのだ。


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