その3



わたしは、コンサートを行うことにしました。
夢の中ではよく知っている人達に案内されて、会場に向かいます。
ガラスのように、透き通ったエレベーターで、高いところに上っていきます。

エレベーターの扉が開いたところは、雪山でした。
一面雪景色ですが、まぶしいことはありません。
バラ色の雪世界、とでも名づけたいような景色でした。

わたしは、すそを長くひくドレスを着て、雪山に踏み出します。
ここには誰もいません。
でも、わたしはなんの不安もなく、ここで歌い出しました。
ほんの4小節ほどのメロディーを、繰り返し繰り返し歌います。

歌っているうちに、わたしはとても幸せな気持ちに包まれました。

そうです、ここには実はたくさんの人達がいるのです。
姿は見えませんが、たくさんの人達が、わたしの歌を聴いているのです。
わたしの歌は、人々の間を巡りめぐって、わたしのところに戻ってきます。
聴いている人達も、わたしも、ひとつの幸せな流れの中に身を浸しました。

目を覚ました瞬間、そのメローディーはどこかへ行ってしまいました。
あんなに何回も、何百回も歌ったのに・・・。



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