その4



わたしは、見晴らしの良い丘のような所で、何かを習っています。
空を飛ぶ練習?かもしれません。
仲間と楽しく練習しています。

さらに小高い山が、遠くに見えています。
かすんで見えないその先から、誰かがやって来るのがわかりました。
近づいてきたその人物は、友人のSくんでした。

Sくんは、病気のため、18歳で亡くなっています。
今、目の前にいるSくんは、ロマンスグレーの50代のオジサマ
といった感じです。(生きていたとしても、まだもっと若いはずなのに・・・)

外見はわたしの知っていたSくんとは、まるで違うのですが、
彼が誰であるのかは、すぐにわかりました。
彼はとても高次の次元からやって来たみたいです。

久しぶりだね、と世間話をしたあとに、Sくんがこう言いました。
「あなたに頼みたいことがあってここに来ました。その時が来たら
僕に力を貸してくれますか?」
Sくんが頼むことだったら、わたしに可能なことならば何でもしますよ。
でも、それはどんなことなの?
「それは、その時になればわかります。」

にっこり笑って、Sくんは、今度はより低い次元?へと降りて行きます。
ちょっと待って!まだ話したいわ、と追いかけようとしましたが、
わたしがいられるのは、その丘のある次元だけです。
みるみる彼はもやの中に消えて行きました。

Sくんは、幼いときに父親を亡くし、母親と2人暮らしでした。
そのお母様にとっては、本当に辛い人生だと思います。
つつましく生きているのに、なぜ夫ばかりかひとり息子まで失うのかと。
何か事情があって辛い人生を引き寄せたのだとは思いますが、
今生の記憶しか持たない人にとっては、絶えられないことだと思います。
このお母様は、鉄道自殺をはかりましたが、奇跡的に一命を取りとめています。
夫と息子が、生きていきなさいと助けてくれたと考え、辛くても生きていくと
おっしゃっていました。

わたしはSくんを思い出すとき、なぜか観音様を思い浮かべます。
本来人間のレベルは卒業している彼が、ほんの短い時間だけ、
この世界にやって来たと思えてしまうのです。
わたしにとっては、彼は永遠の友です。


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