旅人の独白

旅人の独白

岐路


いろいろなところへ仕事が終わってドライブしたり、食事に出かけた。
できるだけその日に帰るようにしたが、当然、お互いの家庭に帰る時間は、深夜に及ぶことが少なくなく、口には出さなかったが、互いの家庭のことは気になった。でもどうしても止めることはできなかった。
考えてみればよく乗り切ったと思う。それは彼女の伴侶が仕事を持っていたからかもしれない。多少の波風?はあったかもしれないが、家庭も傍から見た目は平穏に維持されたと思う。職場の人間関係も申し分なかった。
しかし少なくとも、僕の方は妻の寛容の中で泳がされていたのだと思う。一度、「二つの人生は生きられないのよ。他に好きな人がいるなら別れましょう」と妻に突然、言われた。
一時、毎日の深夜の帰宅続いた僕の行動から、妻は浮気を感じたに違いない。僕はあくまで相手にしなかったが、妻は本気だった。「あなたのためだけでなく、私の今後を考えても、あなたに決めてほしい」と泣かれた。
本当にすまないと思った。
冷却期間が続いた。そして、僕は当時小さかった娘に、お母さんと別れるかもしれないと残酷にも聞いたのだ。もちろん娘はいやだと言った。

しかし僕達は別れなかった。それで、妻の僕への疑念は払拭されたとは思わないが、僕を追求することもなくなった。実際に僕が言い訳しても、妻は僕を昔のようには信用していないと思う
しかし、今も妻とも別れるつもりはない、説得力はないかもしれないが、お互いに必要としている何かがある。人はそれを打算と見るかもしれない。
そして僕は彼女をも恋し続けている。この生き方はこの*年、定着してしまった。この心境は、僕と同じ経験をしている人以外の他人にはわからないかもしれない(続く)


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