旅人の独白

旅人の独白

居酒屋


しかし店の親父は、僕の彼女とは思わなかったようだ。昔の仲間はよく来るかいと聞いたが、後輩はよく来ますよ。ただお宅の代はさっぱりですねとの答えだった。ただたまたま飲みに来ていたサラリーマン風の中年が、いいですね若い女性とご一緒でと、お世辞を言った。彼女はまんざらでもなかったようだ。この店はよく彼女に昔話をするときに、触れていただけに、一度、彼女に「楽しかったのね、でも一度も連れて行ってくれないわね。友達が来るので私を連れて行くのがいやなのでしょう」と言われていたので、それを否定する意味でわざと今回待ち合わせの場所に選んだのだ。しかし一方で誰か昔の友人が入ってきたら、なんと紹介しようかとふと思っていたのだが。
何年も来ていない内に、店の周りはすっかりしゃれた通りに変わっていた。閉店まで飲んで、帰り道、昔はなかったLHがまぶしいネオンを明るく輝かせていたので、結局、彼女を誘った。ベッドの中で、彼女の冷たい滑らかな肌に密着しながら、不思議な気がした。**年前に、学生時代の僕が今日のことをほんの少しでも予想できただろうか。勿論そんなことは予知できない。運命という不思議さをつくづく思う。(続く)


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