張遼は、こんな日は茶でも飲んでゆっくり休もうと思っていた。


しかし、突然激しく玄関を叩く音が聞こえ、慌てて玄関へと走る。

『ちょうりょー!ちょうりょーは居るか!?ちょうりょ――ッ!!!』

『これは…呂布殿ではありませんか。顔色が悪いですぞ?いかがなされた?』

玄関を叩いていたのは呂布。かなり慌てている様子だった。

それにしてはどこか変だ。そんなに大変なことが起こったのだろうか?

次に呂布の口から出た言葉は、張遼にとっては意外なものだった。

『貂蝉がっ…貂蝉が昨日から帰ってこないんだ!!!』

『なっ、なんですと!?何故そのようなことが!!?』

貂蝉はまだ小さいが、家で本を読んだり弦を弾いたりしてることが多く、4歳にしてはしっかりした子だった。

『それが…昨日、ちょっと花を摘みに行ってくるって、俺は別に来なくてもいいって…それで、それで…っ』

『呂布殿、わかりました。まず落ち着いてくだされ。』

『俺のせいだ!!!俺がついていればこんなことには…っ。ちょうりょー、俺はどうすればいい!?』

『呂布殿…そう御自分を責めなさるな。…そうですな…丁原殿はこのことは?』

『知ってる。今探してるところだ。俺は待ってろと言われた…でも…』

『…心配でどうしようもなく、しかし自分ではどうしたら良いかわからないので私を頼ってきた。ということですな?』

『…あぁ。』

そういうと呂布は、顔が下を向きうつむいてしまった。

張遼はそんな呂布の頭に手を軽く置いた。

『そう心配なさるな…私も探しましょう。呂布殿はご自宅へ。もしかしたら帰ってきているかもしれません…。』

『わかった…。』

『呂布殿、貂蝉殿はまだ遠くへは行ってはいないハズです…必ずや見つかりましょう。では!』

そう言うと、張遼は馬に跨り駆けていった。

『ちょうりょー…頼んだぞ…』

張遼の背中を見送った後、呂布は貂蝉の無事を祈りながら家へと帰っていった。

呂布伝その2に続く。


© Rakuten Group, Inc.
Create a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: