外資系経理マンのページ

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バイカル湖



まっすぐに伸びた道を、文字どおり全速力で進む。ところどころ、傾斜角度45度くらいあるのではないかとおもわれる坂も、全速力。

まだ、死にたくない。

まさにジェットコースターの昇り降りを、半分がたのきているソ連製の車でやられるときには、死を覚悟した。車のドアがガタガタ音をたてる。いや、車、全体がきしんでいたというべきか。

あまりの激しさに分解するのでは、と思ったほど。

そういった、悪夢をみたせいか、バイカル湖のほとりの浜辺についたときは、思わずホットした。そして、澄んだバイカル湖のほとりで、その水をフィルムをいれてあったプラステイックの円筒形の半透明ケースにすくいとってみると、たしかに濁りがない。

このバイカル湖の水を飲むと10歳若返る(だったか)と聞いたが、はて、いまの私は10歳若がえったままか?

そのあと、湖水の見えるレストランで食事をとったあと、小さな村につれていかれた。まるで、おとぎ話にでるような家が並んでいた。アルプスの少女ハイジにでてくるような家というべきか。

その中心にある教会につれていかれた。

まだ、社会主義国ソ連がイメージとしてあったから、教会の存在がイメージとして私の頭に像をむすばなかった。

そして、そうそうにホテルに、またあの道を通ってかえった。荷物をピックアップして、そのまま駅へ。

夕方の列車で、こんどはモスクワに向かう。のる列車名は、国際列車でも、ロシア号でもない、バイカル号。イルクーツクとモスクワを結ぶ特急で、車体はブルー。行き先表示板には、バイカル湖の風景が、描かれている。

走る距離はまったくちがうが、シベリア鉄道の特急踊り子号といったところか。

車掌は若い女性。コンパートメントに入るとすでに先客がいた。ロシア人の家族。お父さんはソ連の軍人だった。

ソ連の軍人。米軍といったん戦端がきっておとされれば、まっさきに飛びだしていく。でも、まるで人形のように可愛い女の子、そして奥さん。そのだんなさんも、若き将校と言った感じだった。

「ズドラーストビッチェ」

そう挨拶をすると、どうぞどうぞと手招きする。

いよいよモスクワまでの5000キロの旅が始まる。


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