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原始人ランナーの部屋
2006日本山岳耐久レース
朝は6時に起床。朝食はサンドイッチと缶コーヒー,バナナ1本,そしてメダリストゼリーを。ほぼ普段どおり。ウエイトはいつもより1kg多いが,長距離レースなので全く気にせず。むしろエネルギーが十分にある感じであるし,口渇もない。
家を出る前に,峰さんのコース写真を最終チェックして,チタンテープを20枚近くはる。
7時30分の新幹線にギリギリ間に合い,大宮まで20分ちょっと。そこから『ホリデー快速河口湖』で一気に立川まで,最後に五日市線にのる。ここで車内はハセツネ参加者だらけ。緊張感も増してきた。
『どんな装備をしているのだろう』
とジロジロしてしまう。ここでなべさんからメールが。20分前に到着し,駅前にいると。いよいよ会えるのだなと楽しみになってきた。なべさんとは1ヶ月前に一度会っただけで,あとはメールやブログのやりとりしかしていないが,すでに長い付き合いの友人のような感じだ。
改札をでると,なべさんが。一緒に体育館まで向かう。試走のことや今回のことなど色々と話す。するとミカンさんからメールが。場所取りをしてくださり,よかったらと。ミカンさんとも初対面。芸能人に会うような緊張感とワクワク感で一杯であった。体育館に入るとすぐに原始人Rを見つけてくださり,ご挨拶を。ランナー体型で素敵な方である。受付などアドバイスをしてくださり,それに従いなべさんと受付に。ボクサーの計量のような感覚。パスすると(当たり前だが)なぜかほっとする。ゼッケンやチップを受け取ると中はブースが凄い。祭りだ。ハセツネ祭り。
その後はレース前の諸準備をし,昼食(おにぎり×2,菓子パン,野菜ゼリー,缶コーヒー)をとる。まともな食事もこれが最後・・・なんていう気持ちになる。そうこうしていると楽天bermyさんともお会いすることができた。
いよいよスタート30分前。ヴァームを飲み,トイレも何とか済まして10時間の最後尾になべさんと並ぶ。エイエイオーは良く聞こえず乗り遅れる…。鏑木選手や石川選手も出てきた。オーラが半端ではない。
13:00スタート!
(スタート~第1CP 3時間15分8秒 105位)
いよいよスタートする。これから長丁場と周りのペースに惑わされないように進む。最初の舗装路の下りが右足に応える。かばうように慎重に走ることに。今熊神社まではなべさんがコースのアドバイスをしてくれて,目安がもてた。汗も程よくかいてきた。暑いという感じはあまりないので,水分もそれほど取らずに進む。入山峠に向かう途中になべさんはペースアップしどんどん前に。原始人Rは浅間峠までは息を上げないようにそのままのペースで。入山峠からはいよいよ登山道に。10kのスプリットは1時間25分20秒。変な計算をしてしまう。
『10kが1時間30分だと・・・60kが9時間。残りを1時間30で走れば10時間30分?うそ~!』
後でその計算式が無謀だと気がつく。
生藤山から浅間峠までは試走をしたことがあるので,この先は・・・,というように走りの予定が立てられていいペースで走れる。右足もこのくらいなら痛みも少ない。
浅間峠前の20kは2時間53分46秒。先ほどの計算式はまだ当てはまる。そして第1CPの浅間峠に到着。12時間完走の予定では3時間30くらいなので少し速い程度で入る。ここまでは心肺や足の疲れもそれほど感じないので,休まずに進む。
ここまでの消費は45分ごとにパワージェル。1時間ごとにアミノバイタルプロ,メダリスト。2時間経ったところでパワーバー1/3片。水少量200ml?くらい。
(~第2CP 6時間23分46秒(3時間8分38秒) 56位)
第1CPをすぎると,スイッチオンという感じで走りやすいトレイルを気持ちよく進む。試走したものだから,登りの長さも分かっていて早歩き,小走りで超えていく。下りもガンガン進む。土俵峠の登りも楽に感じた。笹尾根を進み途中開けた部分で左を見ると夕闇の中に富士山がはっきりと見えた!後半部分の辛さを知らない原始人はここでのペース配分を気にしない走りが後にペースダウンを招くとは思わず進む,進む!
丸山を越えたあたりであろうか,なべさんに追いつく。声をかけると,
『足がけっこうきてますよ。第1CP速すぎたかな~』
と。
『このままいけば12時間切れるから,がんばろう!』
と励ます。交わしてしばらく進むとなべさんが追いついてきて
『エクステラ思い出しませんか!』
そうだ。エクステラも辛い区間でこうやって競い合って前を進んだっけ。ゴールまでこうやって行きたいな~と思う。しかし,なべさんは登りになると遅れだす。足がホント辛そうだ。絶対にまた追いついてくれるはず!と信じながら西原峠に。この辺りからいよいよライト点灯。最初はヘッドランプのみの使用で,走りやすい区間ではsuperireも。2つ使うと昼間同様に進めることに感動する。
さて,ここで大沢山手前の辛い登り。いよいよ三頭山への登りが始まる。笹尾根のオーバーぺースともとれる走りで足はきつくなり,痙攣の手前までいってしまう。ちゃたんの塩をなめてると少し楽になる気がした。今回もうやめたいなと思うところが2箇所あって,この大沢山までの登りがそうであった。少し気持ち悪くもなるし,意欲も低下する。
何とか大沢山について,避難小屋につくと少し元気が。試走の時は木段が楽に感じたので,すぐに山頂だと安心感もでてきたようだ。ピーク後は鞘口峠までの危険な下り。足にも負担がかからぬように慎重に進む。風張峠までの登りも月夜見までもう少しと思えば何とか足が前に出る。
40kは6時間08分02秒で通過。あと2kで給水だと頑張った!
第2CPに着くと,水がまだ1.3L程度残っているので,アミノバリュー500mlを補給し,その場で水を200ml飲む。また行動食の整理もして,トイレも済まし,休憩なしで全くコースを知らない後半部分へ一人闇の中,進んでいった。
ここまでも45分ごとのジェル補給と1時間ごとの粉補給は続ける。4時間経過したところでべスパEXー80をとる。効き目を感じた。第1cpからは300ml程度。今思うのが水分補給が足りなすぎた。
(~第3CP 9時間31分7秒(3時間7分21秒) 59位)
さて,ここからが未踏区間かつ一番の不安を残すところだ。なべさんもブログで書いていた御前山が最大の難所ということで気を引き締め登りだす。どのくらいでピークか分からない登り。精神的にも肉体的にも辛くもう進めないと何度も思った。またジェルもうけつけないような感じになり,ひどい吐き気と頭痛に襲われる。とても長く辛い一時であった。やっとのことで御前山山頂に到着した時にはもう疲労困憊で下り差し掛かったところで,いきなり吐いていまう。ハンガーノック?かなと。10分くらい横たわり回復をはかる
『もうだめかな。こんなところでやめてもな~。』
弱い自分との格闘。今思い出しても辛い,辛い。少し良くなってからは歩いて前を目指す。大ダワに到着すると人が大勢いるもので少し安心する。が体調はまだ悪い。50kは8時間8分26秒。10kを2時間もかかっている。このままズルズルは嫌だなと思い,ゆっくりと走り始める。べスパと塩,そして水,粉末をとると少しずつだが足が生き返ってきた。
大岳山へのガレ場の上りも手も使い登ると意外にも楽に登れた。下りもゆっくりだが峰さんのページのアドバイスが参考になり上手にこなせた。大岳神社ではモーターの音が聞こえて
『もしかして第3CPはもうすぐ?』
なんて思い込みペースをあげる。今思えば結果オーライだが,まだ3kもあったのだ。ライトも弱くなり始めたし,足には小石が入り,下りでは痛い。それもチェックポイントまでは頑張ろうと進む。さっきまでの体調不良がうそのように。第3CPに着くともうあとは10kちょっとと到着後のビールまで頭をよぎるようになってきた。
補給はジェルが2個くらいで,あとは粉末は1時間おきに。水は500ml消費。べスパ×1
(~ゴール 11時間10分26秒(1時間39分19秒) 総合65位/2004 10~20代14位/350人?)
さあ,あとは帰るだけ。御岳神社の旅館街から日の出山までの2kは登りもハイペースで進む。時計も頑張れば10時間台も夢ではなくなっているのだが,そんなことはどうでもよくなっていた。痛みがさらにひどくならないように無理だけはしないで12時間を切れるようにいこうと。今となれば守りに入ったのかなとも思えるが,スタートしてここまでこられたこと,何とか動けなくなるまで痛まなかった足に感謝したいと。
日の出山の木段途中で60k。9時間42分16秒で通過。60kも走ってきて山頂で見えた夜景は函館や長崎で見た夜景など比にならないくらい自分には最高の光景であった。感無量だ。(長崎や函館の人ごめんなさい!)
日の出からは下り中心。なべさんは苦しくても歩かず前へとコメントしてあったので,とにかくそれだけを忠実に守り進む。途中補給をさぼったので苦しくなってへろへろにもなった。右足も岩場があるので神経に響くような痛みが。
『苦しいけど前に進め!進め!。ゴールはもうすぐだ!』
と何度も何度も自分を励ます。あと5kの表示。10時間31分44秒で通過。下りなんだから30分くらいかなと考えていたが,なかなか金比羅神社(残り1・5k)がこないので長く辛い時であった。やっとのことで舗装路のジグザグの下り。足は限界をとっくに超えて,かばっていたものだから膝がやばい。でも頑張った,もうすぐだと思うと涙があふれてきた。
凄いレースに挑戦し,今それを達成しようとしている。仲間とともに,また教え子からもエールをもらいここまで来たんだと思うと泣いてしまう。スポーツやっていて2度目の涙。
人里まで降りてくると都岳連の人たちが。
『あとどのくらいですか』
『もう1kきっているよ』
と。ラストだ。一つ角を曲がり進んでいくと歓声が。そして最後のカーブを曲がると。もうそこはゴールであった。ゴール30mほど手前で天を仰ぎ,ガッツポーズのような姿勢でゴールに飛び込んだ。
やっと帰ってきた。タイムも出来過ぎである。至福の時であった!
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