原始人ランナーの部屋

2008日本山岳耐久レース

☆2008年日本山岳耐久レース完走記☆
・レース前にしたこと
　このレースに臨むに至り,5月から以下のことをしてきました。
→週一回のステアマスター（計23回）
→ロードランも起伏＆トレイルコースを取り入れる。
・レースの目標タイム
2.50-2.50-2.20-1.30で9時間30分切り。第１までの入り次第で8時間台も視野に入れる。
・レースの給食
ハイドレーションに水（酸素水）500mｌ＋アミノバリュー500mｌで１L
ボトルにグレープフルーツ100％を100mｌ＋メダリストウｫ－タ－400mで500mL
ジェルボトルにパワージェル梅一つ＋カーボショーツ一つ＋アミノバイタルゼリーを入るだけ。第１CPまで随時補給する。
アミノバイタルプロゼリー×6（2時間ごと）
ベスパプロ×4（スタート30分前，第１CP,西原峠,第２CP）
ベスパ500円×3（大ダワ，綾広の滝付近，残りは保険）
アミノバイタル粉とメダリスト粉を6袋ずつ（補給はベスパと一緒）
塩おにぎり×4（第１CP,大沢山付近,御前山付近，残りはどこかで）
コンソメ固形×1（けいれんしたら）
・レース装備
原始人ユニホーム，ゴライトショートパンツ，ファイントラックのアンダーウエア上下，Xソックス，グローブ､キャップ，スキンズアームウォ－マ－
アディゼロXT。
ライトは3灯（腰ライトにブラックダイヤモンド，ヘッドにブラックダイヤモンドのスポット，ハンドライトにスーパーファイア301。
ザックはグレゴリールーファス。
時計はスントベクター（時間よりも高度重視）
こんなところです。
・レースについて　
今回は車での現地入りのために4時半に起床し向かいました。妻と途中交代しながら運転をして聖地へは7時半過ぎに到着。しかし,駅前の駐車場はすでに満車…。焦りながら上町無料駐車場にいくとまだ半分くらい余裕があってホッ…。
8時には小学校体育館について，レースまでの時間を済ませました。10時半には昼食をとりました。レース前の緊張感や高揚感が好きでして,またこの日がきたという想いが益々高まります。試走した仲間などとの励まし合いや探り合い（笑）もレース前は楽しい一時です。
スタートには12時過ぎに向かって並びました。トップ選手を間近で見ると興奮度は最高潮に達しますが,スタートしてからの飛ばしすぎにもつながるので落ちつかせるので精一杯でした（笑）
・スタート～第１CPまで（2時間51分41秒）
　スタートが例年にないオシクラマンジュウ状態でした（汗）ジェルボトルをいれるネットがとれてしまい焦るものの，妻がいるポイントで手を振ることは忘れませんでした。『早くかえってくるからね,暇させないようにします。』と言い聞かせるように。
　心の中では6割と念じても，周りのペースにつられて8割くらいで走っていました。今熊神社の登りで少しは落ち着くものの,チームのなべさんが引く連れてきたかのようにM瀬さんがいました（笑）。折角の機会ですのでトップ選手の走りを観察しました。はっきりいって無駄がありませんでした。自分をよく知っているのでしょうね。すばらしいの一言です。
　自分はと言えば，集中できず周りのペースについていくことに必死になっていました。なべさんがチームでありライバルでもあるので,彼を意識できる場所にいたいと頑張りすぎたようです。いけないパターンになっていました。浅間峠までは余裕度を残して言い聞かせたものの，足は思いの外疲労していまして,先が見えない走りになりそうでした。
　集団の中には有名な選手もいましたので場違いなところに着てしまった（入ってしまった）感が強かったですね。連行峰を過ぎたあたりでしょうか。昨年の40台チャンピオンのNさんが歩いていました。そしてすぐに昨年チャンピオンのSさんもいました。怪我かオーバーペースなのか分かりませんが,これほどまでの実力者がこの時点でいるとは相当先頭のペースも速いのだなと思わせる展開でした。三国山ではさんぽさんが！疲れいた自分に元気が戻りました。そして若きトレイルの星のけんしんさんにも会えました。前半から不調らしく，リタイアしますと。これからまだ先のあるランナーです。仕事が落ち着いたらきっといつでも上位に絡む選手になると思います！（この場で激励します）
　何とか8割気味での体の状態で浅間峠は目標より1分遅い2時間51分41秒で通過しました。
・第１CP～第２CPまで（2時間50分3秒/5時間41分44秒）
　気持ちよいはずの笹尾根が気持ちよくない。ただ進むだけになっていました。おかしい,おかしいと自問自答を繰り返しながら体は一歩一歩ゴールには向かっている状態です。こういう時ほど単独走よりも数名で走る方が心強くなると実感しました。この後も何度もこういう折れそうな気持ちを助けてくれたS水さん（40代男子6位，チーム総合2位）と走りました。何度か試走している仲ですので,後ろを走っているととても安心しました。そんなことで苦しい気持ちや体を幾度もごまかしながら進んだというところです。西原峠を過ぎ大沢山の登りから三頭山への登りが始まります。この調子でしたがベスパ効果かそれとも無理に詰め込んだ塩おにぎり効果か分かりませんが,登りは痙攣間近でしたが，2人の選手をパスして登れました。ペースダウンを思ったほどしていないんだと気持ちも前向きになってきました。途中怪我のために今回棄権したH野さん達に励まされ,なぜか鈴をつけた犬にも遭遇し（汗），山頂到着。
　5時間を切っていたのでまだまだ9時間30分は射程圏内でした。ここからの鞘口峠までの下りは足に疲労させにように下りましたが，少し下りが上達したのか数名の選手をパス。何と西原で抜かされたM瀬さんもいました。
　鞘口峠からは昨年痙攣した区間でもあり,登りでは手押しでじっくり進みました。
そしてオアシスである月夜見第2駐車場に到着。ハイドレーションが300m程度残っていたので500ml補給，残りはその場で飲み,ポカリをコップ1杯頂きました。ザックから後半部分の給食やらをウエストポーチに入れてトイレも済まして，気合いを入れ直して後半部分に突入していきました。その間5分程度のロスです。S水さんやM瀬さんが先にいってしまいました（笑）
・第２CP～第３CPまで（2時間28分54秒/8時間9分8秒）
　明るいところからまた闇の世界へ。単独走でしばらく進むと2人の選手に追いつきました。一人はS水さんでした。御前山までは頭も痛くて一番しんどかったですが,一番がんばれました。何とか山頂につくとS水さんに声をかけました。『あ～いたんだ，前にいると思った』と。『トイレいってもたついてました』など話て,体もかなりしんどいことを話すととても励ませれました。このしんどさがいつかは良くなるのではと信じて着いていきました。ここでも塩おにぎりに願いを託し詰め込みました。大ダワへの下りは苦手区間ですが,試走である程度イメージが良くなってきたので何とか下りました。途中に頭を強打してふらふらだという有名なY選手にも会いました。それでも突き進む精神に心を打たれました。自分も何とかせねばならん！とプッシュしました。そして先に進んでいたなべさんの背中を感じられるようになりました。それでもなべさんは突き放そうとまた先に…。すごいな～と。
大ダワについて，いよいよ大岳山に向かいます。走れる区間が続きますが,登りは全て歩きました。S水さんからは『このままいって金比羅で飛ばせば目標達成できるよ』というありがたい言葉を頂きましたが，何とか進むので精一杯でこのままでは無理かなという気持ちの方が大きかったです。大岳山の岩場の登りでとうとうなべさんを捉えました。なべさんはハンガーノック状態できつそうでしたが,励まして先に進みました。大岳山に到着すると気持ちもゴールへ前向きになってきました。下りも昨年のように濡れていないのでスムーズに下れました。綾広の滝への下りでまたまたM瀬さんに。
S水さんと試走をしているかのように綾広の滝にいくとパイプから水がでていない！楽しみにしていたのですが，御岳神社の水で補給することにしました。
第３CPに到着すると,ゴールタイムを予想しながら進みました。
・第３CP～ゴールまで（1時間12分25秒/9時間22分3秒）総合38位/男子総合37位
　前半からの疲労状態でずっと苦しいままようやくここまでこれたことが何よりうれしかったです。途中リタイアも何度も頭をかすめました。それでも今一緒に走っているS水さんがいたからと感謝の気持ちが高まっています。
　日の出山までは試走の時のように話しながら進みました。すると後ろからハイペースでパスしていく選手が。大ダワへの下りでパスしたY選手でした。登りもほとんど走ってします。S水さんに『着いていったら？』というアドバイスを頂いたので，折角のチャンスと思い少しついていくと,根本的に登りのペースが違いましてすぐにちぎられました（笑）
　日の出山では例の夜景。ぐっときます。ここまで約20分。あと1時間で下れれば目標は達成ですが確信は持てません。昨年は1時間30分もかかっていますから…。
　それでもS水さんから金比羅尾根で登りもしっかり走れれば30分は切れるよ！と最後の檄を飛ばしてもらいました。自分でも信じられませんでしたが，どこにそんなスタミナや脚が残っていたのでしょうか。理屈では解決できないような精神力がゴールまでの力に変えてくれました。これぞハセツネ魂というのでしょうか！
　金比羅尾根では『残り5kまで』『あの橋まで』というように一つ一つの目標を持ちながら下りました。昨年優勝したS選手が『トレイルと一体化する心境』と表現したようにそれに近い気持ちで走れました。70k地点の表示を過ぎると携帯から妻へ電話をしました。これやってみたかったので（笑）。言葉ではあと１ｋくらいだよくらいしか言ってませんが,心の中ではたくさんの感謝の気持ちで一杯でした。とにかくありがとうと。
　最後の角を曲がると完走した選手に与えられた輝かしい道です。ゴールゲートは狙っていた結婚指輪に口づけをしてのゴール！妻に迎えてもらえて僕は幸せものだと感激しました。
・レース後のヒトコマ
　僕のすぐ後にS水さんがゴール。本当に感謝で一杯でした！そしてなべさんもハンガーノックに打ち勝ち，9時間台でゴール，続いて試走した仲間のY屋さんも初出場でのサブ１０。すごすぎました！軍曹ことHさんも脚の怪我に負けずに50代入賞の10時間50分でのゴール。みんなすごいな～。
　気持ちは興奮した状態でたくさんの仲間のゴールを見られましたし,初めて話しをさせてもらった方々もたくさんいまして，何ともいえない夜でした。ハセツネランナーにとっては大晦日？元旦？そんな境地です。
　微睡みのなか，原始人ランナーズの3人と妻で音羽鮨にいって解散式です。もう一人のK様はリタイアをして悔しい気持ちで一杯だったようです。
　僕たち3人は生ビイルで妻には申し訳ないですが,栃木までの運転があるのでソフトドリンクです。解散式を終えると『あ～もう終わりか～』と現実に戻されます。少しでもこの気分を長く味わいたいと願いつつも，仲間を駅まで送ってから妻の運転で帰りました。
　ここまでやってきたことを信じて走りましたが，最後は支えだったりなんだりと周囲の力も大きいなと感じた今回のハセツネでした。
　また，来年にこの境地になれるように家族と仲間と励まし合いながら頑張りますね。
　とりあえず,静養します！
～完～