Poison Tree Snow

Poison Tree Snow

其の7



翼の傷が癒えたなら、もう一度 あの空へ。


気づいた時からあった傷。
とても深くて、治るには時間がかかりそうだ。
傷のせいで、空を飛ぶことが出来ない。

僕らもきっとこんな時代に生きてるんだよ。

ダンボールで作った紙製の翼をもって
あの高台から飛び降りた時のコトは今でもリアルに思いだせる。
無性に空を飛びたかった。

いつしか、時は経っていて
ダンボールで作った翼のコトも忘れていた。
背中に生えた翼の傷はまだ癒えてないけど、昔の夢が溢れている。
この翼の傷が治ったら、また。

あの空へ。


●LETTER.

いつも、こんな感じさ。
今日だってずっと考えてた。

どうしたらアナタに会えると思う?
電車、飛行機・・・
どれもボクには遠すぎる道のり。
遠くに居るアナタへ。
ボクはいつもアナタの事を考えています。

今日は、雨が降っていました
湿気が物凄くてとても辛いです。

こんな日は、無性にアナタの顔が見たくなります。

携帯が鳴る。
アナタから送られてきたこのメールで、今のボクが成り立っているような気がします。

会いたいです、会いたいです、会いたいです。

いつも、アナタの夢を見ます。
夢を見るたびに、自分の感情が抑えられなくなって如何しようもなくなります。
そして、現実に返るたびに悲しさが込み上げてきて
「この距離が少しでも縮まったら」と、毎日考えています。
いつか、いつの日にか必ず会えるように願っています。

大好きなアナタへ。


●遠距離と、笑顔の君と。

君の笑顔が見たいから。
君が笑顔でいれるなら。
僕の命なんて、無くなってもいい。

会えない日々が続いて・・・
君の記憶が薄れていく中で。

一枚の写真。
そこに写っているのは、初めて話した時の記念写真だった。

君は今でも覚えているかい?
初めて話した時のコト。

電話じゃ伝えられなかった。
緊張してて、無言の時間が流れた。

君は今どうしているのかな。
元気ですか?
風邪なんかひいていませんか?
僕のコトを思ってくれていますか?

遠く離れた君の事が心配です。
いつだって一緒にいたいのに・・・。

見せておくれよ、君の笑顔。

初めて会った時の、無邪気な君を。


●夜明けとともに。

薄暗い部屋の中で、ベッドに潜って考える。
こんなコトをしても、何の解決にもならない。
それでも考える…
暗い部屋の中じゃ何も見えない。
考えの答えも、暗い部屋の中のようで、見つからない。

何だか眠れないんだよ…。
明日は早起きしないといけないのに…。

僕は眠ろうと目をつぶる。
でも、「考え」が頭の中に出てきて邪魔をする。

何だか眠れないんだよ…。

空が白みはじめてきて、気がつけば朝だ。
外では鳥の鳴き声が聞こえる。
「早起きは無理そうだな…」僕は呟いた。

月は太陽に代わり
夜から朝へ。

1日の始まりから終わりを見届けて
僕は眠る。


●冬来~トウライ~ (11月の風に吹かれて)

11月の風に吹かれて、飛んでいく。
季節は移り変わり、僕は飛んでいく、どこまでも。
ずっと遠く。遥か彼方を目指して。

山を越えて、目の前に映る景色は銀世界。
そこは冬だった。
夏の暑さも忘れ、僕は飛んでいく。
ずっと遠く。遥か彼方を目指して。

ずっと飛び続けた。
長い長い道のり。
どこに行く宛ても無いけれど
ずっと飛び続けた。

山を越えて、目の前に映る景色は蒼世界。
そこは春だった。
冬の寒さが終わり、桜が咲いていた。
僕は飛んでいく、ずっと遠く。


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