
【オニオングラタンスープ】
今夜のメニューはオニオングラタンスープ
チーズ バゲット タイム そして玉ねぎ
彼女はエプロンを掛けてキッチンに立つ
僕はあの日を思い出しながら彼女の料理を待つ・・・
あれは雨の日の出来事だった
(厚手の鍋を熱してサラダ油をなじませ)
彼女はのら猫のように軒の下にたたずんでいた
(薄く切った玉ねぎをじっくりと炒める)
哀しさでやまないうるんだ瞳は
(固形スープと水を加えて強火にかけ)
雨の景色をそのままに映していた
(沸騰直前にあくを取りタイムの枝を加える)
僕は何も言わず傘を差し出した
(エメンタールチーズとグリエールチーズ)
誰かを待っている様子はなかったから
(チーズおろしでおろしておく)
一瞬見上げた瞳からひとすじの涙
(バゲットは天パンに並べ)
彼女は僕の胸に激しく飛び込んできた
(180度のオーブンで乾燥させておく)
スープは塩コショウで味を調え
(僕は彼女の肩をそっと抱いてやった)
耐熱の器に注ぎバゲットを並べる
(その肩は僕の腕の中で小さく震えていた)
おろしたチーズをバゲットにのせ
(放り出した傘に小さな水たまり)
粉チーズもたっぷりと振り掛けておく
(雨は誰にも同じに降り注いでいた)
200度から220度のオーブンで
(涙の理由は聞くまでもなかった)
20分から25分程度焼かせておく
(前にも一度あった事だったから)
チーズが溶けたら出来上がり
(今度は彼女を離すべきじゃないと思った)
あとはテーブルへ運ぶだけ
(今度は僕の手で幸せにするんだと誓った)・・・
今夜のメニューはオニオングラタンスープ
チーズ バゲット タイム そして玉ねぎ
彼女はエプロンを掛けてキッチンに立つ
僕はあの日を思い出しながら彼女の料理を待つ
【センチメンタルキッズ】
ラジオのスイッチをONにすると
ごきげんなDJのおしゃべりに乗って
オールディーズナンバー流れてきた
あわただしい昼下がりの日常の中で僕だけが
懐かしのメロディーにセンチメンタルな心持ちになる
思えば今もあの時の味が忘れられない
キッチンのマジシャン
ミセスチャーミング婦人のクリスマスプリング
遊び盛りで毎日のように空腹を抱えていた僕らの
カラッポなおなかを満たしてくれた素敵なおばさん
誰もが味わうことのできたデザートの中の
けれど僕らだけしか味わえなかったとびっきりのデザート
思えば今もあの時のバラエティーショーが忘れられない
横丁のコメディアン
ミスターユーモア氏のパフォーマンス
たし算やらひき算やらにあきあきしていた僕らの
退屈な心を満たしてくれた素敵なおじさん
誰もが味わうことのできた喜びの中の
けれど僕らだけしか味わえなかった貴重な喜び
そしてラジオのスイッチをOFFにすると
再びあわただしい日常の中
誰もが味わうことのできるありきたりの生活の中の
誰もが味わうことのできる目の前の夕食のごちそうが
「けれど現在(いま)だって捨てたものじゃないぜ!」
と言わんばかりに美味しそうに並んでいる
【性格】
好きなものをあとまわしにしてしまう性格なんだね
僕は楽しみを最後にとっておく性格
お子様ランチはいつもハンバーグが最後に残って
けれど冷めてぜんぜん美味しいとは思えなかった
だからいつも嬉しいようなおかしいような
まぬけな顔をしてハンバーグを食べた
僕は本当に幸せ者なのかな
答えはなかなか見つからない
好きなものを素直に好きだと言わない性格って
あまり得な性格とは言えないね
モテてる時はいつも勘違いをしていて
ふられる時はいい人でいる自分だけがそこにいる
だからいつも嬉しいようなおかしいような
まぬけな顔をして愛に包まれている
僕は本当に幸せ者なのかな
顔だけは幸せいっぱいの表情をしている
【ツルのひと声】
Aセット
ポテトとシェイクがついているから
僕は幸せ
ペコペコのおなかも思わず「グー」
Bセット
きれいな花とBGMのおまけもついて
おしゃれでムードもバッチリ
うたた寝のヤギたちも思わず「メー」
シーセッド (彼女曰く)
「白いご飯とみそ汁がいいわ・・・」
はい決まり!
僕らもそれが一番だと本当は思っていたんだよね
【ハニーパイ】
ハニーパイ
昼下がりのデザートに甘いパイはいかが?
お好みのお飲み物もおつけしましょう
ごゆっつくりとおくつろぎ下さいますように
ハニーパイ
見た目はもちろんのこと
香りも味もこの町の人たちのお墨付き
一度味わえばあなたもこのパイのとりこになること間違いなし
そんなデザートなのでございます
少年の頃には野球選手にも憧れたこの僕です
芸術家になりたいと思ったことだってありました
けれど今はれっきとしたパイ職人
僕が野球選手にならなくてあなたがたは幸せ
こんなにも美味しいパイに出会えたのですから
そして愛しのハニーパイ
僕も君に出会えて幸せに思う
本当の喜びを教えてくれた君 ハニーパイ
感謝の気持ちでいっパイさ!
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