生酒っておいしいの



この火入れという過程が普通は貯蔵前と出荷前の2回あります。
ただ、この2回というのも貯蔵が前提になっての話なので、最近のように貯蔵なしで出荷されるお酒が好まれる場合には少し話が違ってきます。
従来は秋から春先にかけて醸造したお酒をひと夏おいて秋口から順次出荷していました。最初に出荷されるお酒がいわゆる「ひやおろし」ですね。
この場合、火入れをどのタイミングで行ったかによって結構違いがありますが、造ってすぐ出荷する場合、貯蔵前の火入れと出荷前の火入れに何の違いもないことになります。
一般的に貯蔵前の火入れは行ったが出荷前の火入れは行わなかった場合、「生詰酒」。逆に出荷前の火入れは行ったが貯蔵前の火入れをしていない場合は、「生貯蔵酒」。まったく火入れを行っていないものを「本生または生生」と言っています。
貯蔵がないと1回火入れしたお酒をなんと呼ぶか、結構複雑な問題ではないでしょうか?(どうでもいい話かもしれませんが)

で、本題に戻るとあこきちは一度も火入れを行っていない、いわゆる「本生」タイプの生酒は製造・流通過程がよほどしっかりとしている場合を除いて実は苦手だったりします。
なぜかと言うと、生酒には独特の風味がありますが、流通過程がしっかりしていないとフルーツでも熟成が進むとにおいがきつくなりますが、それと同じでフルーティな香が強くなりすぎていわゆる生老香になってしまいます。あれが苦手なんですよ。

ところで、最近気がついたんですが「火入れ」をするとそこで熟成が止まってしまうと思っている人が結構多いんですね。「火入れ」で止まるのは発酵と酵母菌や乳酸菌の増殖であって熟成がそこで止まるわけではありません。
熟成は、お酒の中に溶け込んでいるさまざまな成分が一体となって分子の配列などが均一化していくことです。このことによってお酒の味がまろやかになります。


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