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こぺっつのGOGO LOVELY DAY
たったんがこぺっつだった頃
たったんが生まれるまでの日々で覚えていることをつづっていきます。
こぺっつはいわゆる「デキ婚」です。
旦那様であるつーくんとは以前から知り合いでしたが交際はほんとに短期間。ある日大喧嘩をしてしまい「もう別れたほうがいいかも」というくらいにまでなってしまいました。 携帯に何度連絡してもでてくれません。つらいけど自分が悪いし・・・と次の日お別れしようと待ち合わせしました。「あとでごちゃごちゃもめたら嫌だし・・」そう思って特に生理の遅れがあったわけではないけど妊娠検査薬を買って検査しておきました。
待ち合わせの駐車場に早くついてぼんやりしていました。遠くの町で花火大会なのか赤や青の光の花が見えます。(この前は一緒に花火、見たのにな・・・)そう思いながらつーくんを待ちました。泣きはらして目が真っ赤です。つーくんが来ました。車に乗ってきりっとしようと思い「私が悪いんはわかっているから。でもきちんと話して別れたい。別れたあとにごちゃごちゃなるんは嫌やし・・これ検査したんよ」そう言ってさっきの検査薬を紙袋から出しました。何気なく見るつもりだったのにそこには、くっきりとした線が二本。陽性反応です。びっくりして体の力が一気に抜けたのを覚えています。 私が一番に言ったのは「どうしよう」だったと思います。
赤ちゃんが欲しくてたまらない人もいるのに、私は困っていました。
つーくんはすぐに「頑張って育てよう」と言ってくれたのに・・。別れる話どころではなくなりました。とにかく一度病院へ行こう・・・。そう思いました。
暑い日・・・今まで行った事のない産婦人科に行こうととある産婦人科を訪れました。駐車するところがいっぱいで少しはなれたところに車を停めて歩いていきました。夕方なのに地面からの照り返しがすごく熱い・・悩み続けていた私は何も食べられずにいてふらふらした足取りでした。受付にはきりりとした感じの女性がいます。「初めてなんですが・・」女性は「どうしました?」と訊いてきます。「妊娠したみたいなんで、検査をしたいんです」「保険証出してください」・・・ぼんやりしていて保険証を忘れていた私は「あの・・忘れたんです。」「ないと実費ですよ、○○円かかりますけど」冷たい口調でした。財布には実費でも大丈夫なお金がありましたがそのきつい口調に悲しくなってしまい「じゃ、いいです」逃げるようにその産婦人科を出て行きました。 保険証を取りにいっていたら診察は終わる時間です。
お金が惜しかったのとも違います。 なんだかその女性の口調が張り詰めている心に刺さるようでびっくりしたんだと思います。「やっぱり、あきらめよう、結婚だってしてないんだし・・」泣きながら帰りました。
つーくんに話したら「気持ちはわかるけど一度病院へ行かないと駄目だよ」そういいます。母に話すのが怖くて叔母についていってもらうことにしました。そこは私が生まれた産婦人科です。私が生まれたときの話を何度も母から聴いていました。「こぺっつが生まれたのは予定日よりも一ヶ月も早くてね、破水しちゃって病院へきたんだよ、大雪で車の事故がたくさんあった日。すごく寒い日に生まれたの」 今まで生理不順などでいろんな産婦人科にかかっていたことがあったのですが妊婦さん以外は大事にしてくれないところが多くて悲しい気持ちになることも多かったのです。 この前の受付でのやり取りを思い出してびくびくしていました。 尿検査を済ませて診察を待ちます。叔母はまだ迷っている私のことをどうとも言わずただ他愛無い話をしました。診察室に入って内診室へ診断は「妊娠反応はあるけど、きちんとした妊娠かどうか分からないから二週間後にまたきてください。」とのことでした。でもいつも感じた嫌なイメージはなく明るくて優しい人ばかりで少し安心していました。・・・妊娠。やっぱりしてるんだ。 叔母に「また二週間後にって」と言うと「お母さんに話したほうがいいんでは?」と言われました。でも・・自分の気持ちがしっかりするまで言いたくないな・・・と思っていました。
二週間私は泣きっぱなしでした。食べ物もつわりなのか食欲がなくほとんど何も食べられません。 ずっとずっと迷っていました。つーくんは毎夜県西部の私の実家近くまで励ましに来てくれました。 今思えば迷うこと自体つーくんに対して「あなたの子供を産むのを迷っている」と表していることだしつーくんのほうがきっと苦しかったと思います。 ただただ泣いてばかりの私にメールで「毎度愛の宅配便です」と送って来ていることを知らせてくれました。泣かないように笑えるように。そうこうしているうちに二週間が過ぎました。
もうはっきりとしなくてはいけないのに病院でまだ迷っていました。待合室で一緒にきていたつーくんが「もう、自分で決めていいよ。あきらめてもそれで別れたり責めたりしないから、自分の思うようにしていいから。」産むことを迷っている私を悟って言いました。診察室で「両親に話した?」と訊く先生に「まだです」と答えて内診室へ。脚が震えているのが自分でもわかります。
右にあるモニターを観るように言われて観たら規則的に動く丸が見えました。「これ、赤ちゃんの心臓。元気ですよ」先生の声がカーテン越しに聞こえました。・・・赤ちゃんの心臓・・・生きている。私の中に命がもうひとつ・・・・私にはこの命を消すことなんて絶対にできない。こんなにも私が迷っていることに関係なく一生懸命生きている命。涙があふれてきました。診察室に戻り神妙な顔をした私に先生は言いました。「頑張って産みませんか?赤ちゃんはかわいいですよ」目の赤い私はうつむいていましたが
先生とその横の看護師さんがとても優しい笑顔でいてくれたことがわかりました。「はい。よろしくおねがいします。」そう答えた私は何も食べていないことを告げました。診察時間は終わっていましたが点滴を受けることになり心臓の写っているモニターの写真を待合室のつーくんに見せました。
「今から点滴を受けるから・・その間にお母さんに話してきて」 「うん、わかった」点滴を受けるため二階へ移動しました。
看護師さんが点滴の用意をしに行っている間つーくんは「ほんまにいいんやな?」と言ってすごく嬉しそうな顔で抱きしめてくれました。 その顔を見て私の今まで迷ったことを本当に後悔しました。点滴をしたことがないというつーくんは心配そうに見ていましたがしばらくして夕飯とお母さんに話すため一度帰りました。
つーくんを待っている間・・・私はお腹の赤ちゃんに何度も謝りました。
「ごめんね、迷ったりしてごめんね・・頑張るからね。元気に育ってね。」
涙が止まらなくて頭が痛いほど泣きました。
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