★ラモン・ヒメーネスの詩



        ―海原―

        わたしの船が、深い所で、
        何か大きなものと
        衝突いたのを感じた!
        だが何も
        起こらない! なにも……静けさ……波……

        ――何も起こらない。それともすべてが終わり、
        もう穏やかに、新たな中にいるのだりうか?――

        (伊藤武好/百合子・訳)


        ―夜の歌―

        そら あそこに
        バラの香り!
        つかまえろ 思うぞんぶん!

        そら あそこに
        月の光!
        つかまえろ 心ゆくまで!

        空 あそこに
        小川の歌!
        つかまえろ 気のむくままに!

        (伊藤武好/百合子・訳)


        ―ばらに 近づいて行くと―

        ばらに 近づいて行くと
        美しい蝶は遠ざかる
        光の蝶よ

        夢中で追う
        あちこち 捕まえかけては
        手のひらに
        逃げたあとだけが残る

        (荒井正道・訳)

        (ラモン・ヒメーネス)
        「はじめてであう世界の名詩」より引用






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