グリザベラの館

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斜弱シンポ~その1~



午前中のシンポジウムと午後の斜弱講習会に参加しましたが

今日は専門のなかの専門な内容で難しかったですね。



 午前中は手術法の違いによる外斜視の術後結果というもので

斜視手術を多く手がけておられる7名の先生方が

間歇性外斜視に対する両外直筋後転術(成人の場合)

間歇性外斜視に対する両外直筋後転術(小児の場合)

間歇性外斜視に対する片眼前後転術 (小児の場合)

間歇性外斜視に対する片眼前後転術 (成人の場合)

Faden手術の効果(間歇性外斜視の場合)

Faden手術の効果(大角度の外斜視の場合)

アジャスタブル手術の効果

についてそれぞれの立場でお話下さいました。



 外斜視手術を受けたことのある私にとってとっても興味深い内容でした。

外斜視の手術には、術後の戻りや過矯正による複視といった大きな問題が

あるんですよね。戻りは・・・とっても気になります!

術後1週間ほど大きな戻りがあるわけじゃないそうだけど

いつまでいい状態をキープできるのか…ね!



 外斜視の手術効果は、外斜視が間歇性か恒常性か

患者が小児か成人かによっても異なるそうで

手術筋の選択や術量の決定、手術手技などさまざまな工夫が

されているそうです。



 複雑なんですね、私は幼少時に外斜視手術を受けたことがあるのですが

成人になって間歇性から恒常性に移行してしまったんです。

それで戻りがひどくなったので外斜視の再手術したんですけど

さらに複雑なパターンだったのかなぁ?しかもDVDもあるし・・・



 外斜視は、両眼の外直筋後転術にするか片眼の前後転術にするか

また、それらの効果は年齢によって異なるものなのか

Faden手術やadjustable手術は有効かなど

どの術式を選択すべきか悩むことの多い疾患なんだそうです。

また、医療機関や術者の間でも外斜視に対する手術方法が

異なってるそうです。外斜視を治すという目的は同じなのですが

手術方法がいろいろあるってことで患者さんは戸惑うことも

あるんじゃないかな!?




 紹介状をお持ちになってセカンドされた場合は

どうして紹介元と異なる術式をすすめるのか説明があると思うのです。

ですが、紹介状をお持ちにならないで、中には他院の受診歴も伏せて

こっそりセカンドされる方はさらにになるでしょうね。

今の治療方針でいいのか心配ってことでセカンドされるのだと思うし

ドクターにセカンドと口にするのに戸惑うのもわかる気がします。

ん、でも紹介状ナシで他院を受診する場合せめて

自分のわかる範囲で疾患の状態やどんな手術をすすめられているのか

セカンドのドクターに伝える方がいいのじゃないかな・・・

ドクターと患者との信頼関係がなくては最善の医療は成り立たない

と思うのです。





 例えば麻酔の方法ひとつでも考え方が医療機関によって

異なるんですよね。

11歳以上は点眼麻酔の局所麻酔と決まってるところと

局所麻酔か全身麻酔か患者が選択できるところがあるんですよね。

前者だったら私、きっと手術に踏み切れてなかったでしょうね。







 成人の間歇性外斜視に対する両外直筋後転術についてですが

術後4年眼位は1カ月眼位より外斜視側になるそうです。


 1,999年の報告によれば11歳以上(局所麻酔)の手術成績が10歳以下よりよく

網膜二重対応が正常対応より手術成績がよいそうです。

こちらの医療機関では、11歳以上は局所麻酔で患者さんと眼位を確認しながら

手術をするので、10歳以下よりか手術成績がいいのでしょうか。

また10歳以下には感受性期間が含まれ視機能の成長期でもあるので

不安定なんでしょうか。ブログ更新しながらふと思いました。


 また外斜視の自覚症状として眼精疲労(83%)をトップに

羞明・遠近感がない・複視などがあげられますが

術後は著明に改善しているそうです。




 次に小児の間歇性外斜視に対する両外直筋後転術についてですが 

就学前に手術を受けるケースが多く

弱視があれば弱視治療を優先するそうです。


 こちらの医療機関では、幼児では遠見時の最大斜視角から

学童ではAPCTで複視のでない最大斜視角から

術量をはじきだして両外直筋後転術を行っているそうです。

今回、術後の結果報告をする症例の平均年齢は6.5歳で

術前の近見眼位の平均は32.3pd、遠見眼位の平均は34.0pdで

術量は各眼平均6.8mmなんだそうです。

術後の眼位結果は下記のとおり


術後の眼位    1ヶ月後   3ヵ月後   1年後

近見平均      4.7pd     6.6pd    8.7pd

遠見平均      6.0pd     7.7pd    9.3pd

この表から見てもわかるように確かに時間が経つほど

戻りが大きくなっていってますが

1ヶ月後ほど大きな戻りがあるわけでもないようですね。


 また20pdを超える眼位異常が残ったのは

1ヵ月後   3ヵ月後   6ヵ月後   1年後

2/45名   5/40名   5/32名   3/26名 

だそうで内斜視が残存した1名は再手術を受けたそうですが

それ以外は斜位を保てるため再手術とはなってないそうです。

また術前が35pd以内だと戻りが少なく予後がよいのだけれど

それ以上だと戻りが大きく両眼視機能も35pd以内よりか悪いそうです。

術後の瘢痕が目立たず、術後早期の不快感の訴えの少ないのが

この術式の特徴なんだそうです。




           その2につづく・・・


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