2013年04月21日
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カテゴリ: 文芸あれこれ

花の色は うつりにけりな いたづらに わが身世にふる ながめせしまに



百人一首にもおさめられている、小野小町の良く知られている歌です。

どんなにきれいな花も、いずれ色あせてしまうように
わが身も老いて、あせていってしまう。

この歌は、小町が、自らの容色が衰えていってしまうさまを
嘆いたものであったといわれています。



小野小町歌碑.jpg

京都・小野随心院 小野小町の歌碑




クレオパトラ、楊貴妃とともに世界三大美女の一人にも数えられ、
絶世の美女として有名な小野小町。

しかし、実際には、彼女がどのような人であり、
どこで、どのように暮らしていたのかということも、よくわかっておらず、
全く意外なほど、その生涯が伝説に包まれている人であります。



小野小町は、どこで生まれたのか・・。

これについても数多くの話が伝わっており、
その生誕地は、秋田・福島・神奈川・福井・京都・熊本など、
日本全国に出生譚が残されているのだそうです。

中でも、秋田県湯沢市は、小町生誕の町として、毎年「小町まつり」が開催されるなど、
観光にも力を入れていて、お米の「あきたこまち」や秋田新幹線「こまち」も、
この小町出生伝説に因んでネーミングされたものです。


出生についてもそうですが、小町はその晩年についても、様々な伝説が残されており、
晩年の小町は、落剝して、全国をさすらったのだとされています。

そうしたこともあって、小野小町の墓所というのも、
日本全国の各地に存在しているのだそうです。



これほどまでに、謎につつまれている小町の生涯。

しかし、それというのも、絶世の美女と称された小町であるがゆえに、
次々と、伝説が生まれていったということなのかも知れません。



小野小町の経歴について、
ほぼ、確実だといわれているのは、
小野妹子の系譜をひく貴族・小野氏の出であるということと、
「古今和歌集」「小町集」などに歌が残され、
当時の歌人たちと歌のやりとりをしていたということ。

「古今和歌集」の選者であった紀貫之は、彼女を六歌仙のひとりに選び、
その序文の中で、小町の歌を絶賛していたのだといいます。




随心院山門.jpg



そうした中、小野小町が住んでいた場所であったと伝えられているのが、
京都山科の随心院。

この随心院のある、山科区小野というところは、代々小野氏が栄えた土地であり、
随心院には、小町の化粧井戸や文塚などが残されています。



小町化粧井戸.jpg



そうした史跡の他に、もうひとつ
この随心院に伝わっているのが「百夜通い」と呼ばれる小町にまつわる伝説。

小町への恋慕を遂げようとする、深草少将のこの悲しい恋の物語は、
小野小町の恋愛遍歴を象徴するお話として、
広く知られていくことになりました。



(百夜通い伝説)

ふとしたことから、小町を垣間見た深草少将は、
たちまち恋のとりことなり、深草から小野まで、
何度も、小町のもとに通いました。

しかし、それでも、小町の家の門は、一向に開く気配がありません。

それでも、熱心に小町のもとに通い続ける深草少将。


自分のことをあきらめさせようと思った小町は、
「私のもとに、百夜、通ってきたならば、あなたの意のままになりましょう。」
と、少将に告げます。


それからというもの、深草少将は、雨の日も雪の日も、欠かさず小町のもとを訪ね、
その訪ねた証しとして、榧(かや)の実を、一つずつ置いていくようになりました。


そうした、ある冬の夜のこと。

深草少将は、降り積もる雪の中、熱を発して、
途中で、行き倒れてしまいます。

そして、少将は、そのまま帰らぬ人に・・・。

ちょうど、その日は、小町のもとに通い続けて99日目の日にあたっていました。


この時、小町は少将が置いて行った榧の実を集め、
館のまわりに、撒いたのだと云われています。

随心院には、今も、大きな榧の木が残されています。




榧の木.jpg




この「百夜通い」の伝説は、その後、世阿弥によって取り上げられて、
「通小町」と題され、能の演目として脚色されていくことになります。

そして、ここで、描かれた小町というのが、
その後、乞食のように落ちぶれ果て、諸国をさすらうという一人の女性像。


人生の栄枯盛衰を経ることにより、哀れな末路をたどることになった、
この小町の悲しい物語は、人々の心を強く打つことになり、
それによって、さらにその伝説性は深められていくことになりました。


美しければ、なおのこと、その散りゆく姿に哀れさが募る。

小野小町の伝説というのは、そうした美意識の中、
より人の心を打つ物語として、語り継がれてきたということなのかも知れません。





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最終更新日  2013年04月21日 22時01分19秒
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Re:小野小町伝説(04/21)  
picchuko  さん
gundayuuさん、こんばんは!
小野小町の歌は知ってましたが、哀れな末路までは知りませんでした。
さぞお美しい方だったんでしょうね。
確かに、美しければ美しいほど失われてゆく美に対して執着を持つでしょう。
ですが、だからこそ知れる人間の本質も彼女は誰よりも見ていたと思います。

能の演目にもなってる「百夜通い」、いつか観てみたいです。
教えて戴き、ありがとうございます。^^

あ、それにしても、世界三大美人に小野小町が入ってるのって日本だけですよね。
クレオパトラと楊貴妃は世界でも有名ですけど、あとの一人は国ごとによって違うのかな~?
なんか、どうでもいいんですけど、ちょっと気になります。(笑) (2013年04月22日 03時43分51秒)

Re:小野小町伝説(04/21)  
KAZNY  さん
当然、京都と思っていましたが、諸説があるのですね。
百夜通いの伝説。そして、諸国をさまよう小野の小町。何とも悲しい話ですね。 (2013年04月22日 05時46分45秒)

Re[1]:小野小町伝説(04/21)  
picchukoさん
おはようございます。

>小野小町の歌は知ってましたが、哀れな末路までは知りませんでした。
>さぞお美しい方だったんでしょうね。
>確かに、美しければ美しいほど失われてゆく美に対して執着を持つでしょう。
>ですが、だからこそ知れる人間の本質も彼女は誰よりも見ていたと思います。

若く美しかった頃より、遍歴を経て、老いてからの方が人間としての深みが増したのかもしれません。
小野小町、晩年の姿を映した木像というのも、いくつか残っていますが、
その老いさらばえた姿は、美しかった人とは、とても思えない。
自ら、その像を彫らせたという話も残っているようです。


>能の演目にもなってる「百夜通い」、いつか観てみたいです。
>教えて戴き、ありがとうございます。^^

能は難しそうだけど興味はあって、わかりやすい入門書みたいなものを読んでみたりもしています。
一度、見てみたいですね。

>あ、それにしても、世界三大美人に小野小町が入ってるのって日本だけですよね。
>クレオパトラと楊貴妃は世界でも有名ですけど、あとの一人は国ごとによって違うのかな~?
>なんか、どうでもいいんですけど、ちょっと気になります。(笑)

そうですよね。
小野小町は世界で知名度があるわけでないので、小町が入っているというのは日本だけなんでしょうね。
クレオパトラも楊貴妃も、傾国の美女といわれ、国のゆくえを左右するほどでしたが、
小野小町は、そうした点でも、確かに他の2人とは異質のように思いますね。
(2013年04月27日 06時26分07秒)

Re[1]:小野小町伝説(04/21)  
KAZNYさん

おはようございます。

>当然、京都と思っていましたが、諸説があるのですね。
>百夜通いの伝説。そして、諸国をさまよう小野の小町。何とも悲しい話ですね。

伝説が残され、そこへさらに脚色が加わって、
実際の生涯・人物像は、きっと全く違うのだと思います。
もし、小町がこの話を聞いたとしたら、さぞ、
びっくりするんじゃないでしょうか。 (2013年04月27日 06時30分03秒)

Re:小野小町伝説(04/21)  
百人一首、斧の小町を十八番にしている人も多いですね。
平安美人での評価ですから、今の美人とは違いますね、きっと。ふくよかで目が細くて、浄瑠璃寺の吉祥天のようなのでしょうか。髪の毛はあげていないから、お顔は半分ぐらい隠れるかな。源氏物語絵巻の夕顔風かしら。 (2013年04月29日 21時58分31秒)

Re[1]:小野小町伝説(04/21)  
灰色ウサギ0646さん
おはようございます。

>百人一首、斧の小町を十八番にしている人も多いですね。

私のまわりでは、をとめの姿 しばしとどめむ を得意にしていた人も多かったです。


>平安美人での評価ですから、今の美人とは違いますね、きっと。
ふくよかで目が細くて、浄瑠璃寺の吉祥天のようなのでしょうか。髪の毛はあげていないから、
お顔は半分ぐらい隠れるかな。源氏物語絵巻の夕顔風かしら。


浄瑠璃寺の吉祥天のよう、、、確かに当時は、今とは基準が違っていたようですね。
百人一首の肖像画も後ろ姿ですし、実際、若い頃の彼女がどんな顔だったのかはわからないんですね。
(2013年05月03日 07時52分52秒)

Re:小野小町伝説(04/21)  
ほほえみ塾  さん
gunndayuuさんへ

美しいことに執着していれば、
老いさらばえて醜く変化していく自分の顔に恐れさえ抱くと思います。
おかめでおへちゃな人(私)にはそういう心配もないし、
老いることはなんでもないことですけどね。
それにしても歌は知っていましたが、
哀れな末路は知りませんでした。
人の世の無常ですね。
それも彼女の選んだ人生なのでしょう。 (2013年05月26日 16時05分22秒)

Re:小野小町伝説(04/21)  
picchuko  さん
gundayuuさん、こんにちは!

実は私、楽天ブログのコメント欄を今後しばらく閉じようと思います。 ちょっと色々あって。
ですが、私がこれからもずっと仲良くさせて戴きたいなと思う方にだけ連絡しようと思いました。
楽天はコメント欄を閉じますが、同内容をアップしてるfc2ブログでは受け付けてますので、気が向いた時にでもコメくださると嬉しいです。^^
http://picchuko.blog.fc2.com/
gundayuuさん、これからも宜しくお願いしますね! (2013年05月26日 18時40分00秒)

Re[1]:小野小町伝説(04/21)  
ほほえみ塾さん
こんばんわ~

>美しいことに執着していれば、
>老いさらばえて醜く変化していく自分の顔に恐れさえ抱くと思います。
>おかめでおへちゃな人(私)にはそういう心配もないし、
>老いることはなんでもないことですけどね。

そんなことは、ないでしょうけど・・・。
でも、執着があるからこそ、ダメージも感じるのでしょうね。
執着するということも必要であるとは思いますが、
結局、自分でコントロールできないといけないのでしょうね、

>それにしても歌は知っていましたが、
>哀れな末路は知りませんでした。
>人の世の無常ですね。
>それも彼女の選んだ人生なのでしょう。

そうですね。
人の世は無常、ではありますが、
それも、人生なのですよ。きっと。
規準を、どこにおくかによっても、心の持ちようも変わってくるように思いますね。
(2013年05月26日 21時02分28秒)

Re[1]:小野小町伝説(04/21)  
picchukoさん
こんばんわ~

>実は私、楽天ブログのコメント欄を今後しばらく閉じようと思います。 ちょっと色々あって。

そうですか~。残念ですね。
picchukoさんくらいに、いっぱいファンの人がいれば、中には色んな人もいるでしょうしね。

>ですが、私がこれからもずっと仲良くさせて戴きたいなと思う方にだけ連絡しようと思いました。
>楽天はコメント欄を閉じますが、同内容をアップしてるfc2ブログでは受け付けてますので、気が向いた時にでもコメくださると嬉しいです。^^
>http://picchuko.blog.fc2.com/
>gundayuuさん、これからも宜しくお願いしますね!

了解しました。有難うございます。
こちらこそ、また、これからも宜しくお願い致します。
(2013年05月26日 21時06分53秒)

Re:小野小町伝説(04/21)  
picchuko  さん
gundayuuさん、早速ありがとうございます!
FC2のブログは何故か時々アクセスできない時もあるのですが、気になさらないでくださいね。^^ (2013年05月26日 22時41分58秒)

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oqxxrphyg さん
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WDeJTs zsbaaew さん
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WWIAGY viygobl さん
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Re:小野小町伝説(04/21)  
邇波 某 さん
多系、小野(オオノ)氏系譜。

邇波 明国彦(難波根子建振熊)ー海 阿知(米餅搗大臣)ー乎ー大野 大樹ー毛人(妹子•日蝕使主)ー毛野ー永見ー小野 岑守ー葛絃(篁)ー道家ー道貞(道風)

葛絃の姉妹、千株チカプ(鳥の意味)は、小町姉。
葛絃の娘は吉子(小町)で、源 神野(嵯峨)天皇の妃で、子供には、常と明が居り、常には、直。明の子には、舒が居り、彼等は小町孫と呼ばれます。吉子は父が政変に破れ、彼女も宮中を退出しますと、井手寺(井堤寺)別当の妻となり余生を過ごします。

葛絃の子には、家真(好古)と道家が居り、家真には、久道(千古)が、居り、子等は大江 維明と大江 維時が居り、維時には、重光が、重光には、有名な匡衡が居ます。

真田氏 (滋野流海野氏)

大野 毛人ー毛野ー滋野 滋氏ー為広ー為道ー則広ー重道ー広道ー海野 幸親ー幸広ー幸氏ー長氏ー幸春

真田氏は、古代豪族の所謂小野氏の子孫で、都から派遣された国牧の管理者で、大野(小野) 毛野の子、滋野 滋氏から出、為広と続き滋野三家を輩出します。

胸方 綿萬呂(吉備 真備)の弟、楢原 総萬呂から出た海野氏から海野姓を受けた幸親の曾孫の子、幸春が真田氏を名乗り、戦国時代に滋野三家を纏める事に為ります。 (2021年07月11日 23時37分25秒)

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