Harmony

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mail.


ところで、そっちの学校はどう?何部に入った?聞きたいことがいっぱいだよ。』

すぐに送信ボタンを押した。読み返してたらきっと、いつまでたっても送れなかったから。
ドキドキしてたのが一気にほぐれて、バタリとベッドに倒れこむと、私はいつの間にか眠っていた。

「ねぇ優子、私メルアド変えたんだぁ。教えるからまた入れといてくれる?」
「わかった。・・・あ!ケータイ忘れちゃった!」
うっかりして机の上に置いてきてしまった。あー、洋介からメール来てるかもしれないのに。
「じゃあメモ帳に書いとくね。・・・優子、ケータイ忘れたのそんなにショックなの?」
「え?あ、そんなことないよ。それよか、李花メルアドありがと!」

その日家に帰ると、お母さんが電話の受話器を握ったまま私に言った。

「ヨウスケクンガ ナクナッタッテ。ブカツニイクトチュウ、クルマニハネラレタンデスッテ。シンジラレナイワ・・・」

私は何もしゃべらなかった。
私は口をあけたままゆっくりと自分の部屋へ行き、ドアを閉めた。
ケータイを手に取り、そっと開ける。

着信メール1通。

『よっす、久しぶり!俺も元気でやってるぞ!こっちの学校はそっちの学校と同じくらい明るいんだ。ちなみにサッカー部に入った!
今度応援しに来てくれよな!』
唇をかみ締めて、そのとき初めて涙をこぼした。
「応援しに行けれないじゃん。なにやってんだよ洋介。私まだ何も伝えてない。何も・・・あんたが好きって言ってない!
死んじゃったら何も言えないじゃない!バカだよ洋介。洋介のバカ!洋介の・・・うぅ・・・」
ケータイを握り締めて、声を上げて泣いた。

信じたくない、だってここに洋介からのメールがあるの・・・
心では否定してる。でも頭ではわかってる。
せめてすべての終わりにあなたの声を聞かせて・・・


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