渦巻き鳥の行く末は?

渦巻き鳥の行く末は?

040909 アフターダーク

アフターダーク村上春樹(著)
題名:アフターダーク afterdark
著者:村上春樹 出版社:講談社
読書日:04.09.07~08

あらすじ:
 読者である我々は、物語の中の人々にとって完全なる見えないカ
メラとして存在している。
 一人の女の子が、深夜、デニーズで本を読んでいた。この物語の
そこから始まる。もちろんこの物語より以前にも物語の中の世界は
生きている。そしてこの物語が終わってから生きていく。
 デニーズにいた女の子は一人の男性に話しかけられる。一方で、
他の場所、他の時間、同じ世界で一人の女性が部屋で寝ている。
 そして時はたち、暗闇はましピークを迎え、ゆっくりと空は白ん
で行く。
 この物語は、そんな夜(闇)の始まりから終わりまでを語った、
それ以上でも、それ以下でもない物語だ。

感想(あるいは独りよがり):
 実に静かで、夜の闇を表しつくしたような物語だった。この物語
の感想を書こうとしているのに、どうしても過去の村上作品と比べ
てしまう。
 それはこの物語の感想ではなく、村上春樹が今まで書いた物語の
比較でしかないのに。
 だから、純粋にこの物語の感想だけを書く。
 著者は、何度も物語の中で言及しているのだが、我々が物語を読
んでいる視線は、物語の中の人々にはまるで関係なく、干渉するこ
とができない神の視線のようなものだ。
 我々が物語の外、つまりは本の前でいくら叫んでみても、物語の
中の人々には届かないのだ。
 別段特別な話ではない。ただ、改めて物語り内で言及されてみる
と、なるほどと思ってしまう。
 我々の読書スタイルにおいて、読後の感想というものは欠かせな
いはず。その感想の中に『読みながら思わず感情移入しちゃったよ』
と言う人もいるはずだ。
 ただ、この物語においてそれは難しいだろう。僕はこの作品を読
みながら、誰かの人生の一部を盗み見ている。そんな気がした。
 そこから何を感じるのか、それは人それぞれだ。僕はそこから、
ある種の怖さを受け取った。
 物語の中の人々も、街を歩いている他人も実は同じじゃないかと。
僕らの受け取り方次第で、物語の主人公に感情移入できなかったり、
街を歩いている見ず知らずの人が持つ痛みを感じられたり。
 人は物事のとらえ方次第で、他人を良くも悪くも思うのだと。わ
かっていたはずなのに、改めてそれを教えられた。
 誰にでも人生、歴史があるんだから。もっとそれに興味を持って
みると、世界が広がる気がした。





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