Happy Nail

ロタウイルス腸炎


息子が2回目の尿路感染から退院してきた。
8月の末に生まれた息子。
季節はもうすっかり冬になった。

入院中から、息子は下痢をしていた。
抗生剤の副作用で、下痢になる児は多いらしい。
退院2日前に、下痢のウンチの中に白いツブツブが混ざっていた。
こんな事は初めてだ。
ビビってすぐ医師に見てもらう。
赤ちゃんの消化機能はまだ未熟なので、
ミルクに含まれる乳糖を消化しきれずツブになって排泄される事がある。
これは、別に普通らしい。
退院後は抗生剤の投与も予防的な量までとぐんと減るので、
下痢もそのうちおさまるだろう。

退院してから5日ほどが過ぎた。
息子の下痢はまだ続く。
てか、日に日にひどくなってゆく。
私は気になった。
相変わらず出てくる、白いツブツブ。
そしてニオイ。ウンチなのに、臭くない。
ヨーグルトのような、酸っぱいニオイだ。
この日、夕方になる前に下痢のためオムツを10回も替えた。
これは変だ。絶対おかしい。
しかし息子は特別グズる様子もなく、普通にミルクも飲む。
帰宅した旦那に相談し、翌日の午前中に小児科にかかることにした。
2日後には退院後の経過見の診察のために
総合病院に行くことが決まっている。
しかし、心配でそれまで待てない。

そして次の日。
小児科は午前11時に予約していた。
それまでに私は息子のオムツを8回も替えた。
一応、オムツも見てもらうため持参する。
診察の結果は、胃腸風邪とのこと。
整腸剤のみが出された。
乳児の下痢は、止めてはいけないらしい。
その日も息子は相変わらず下痢をし続け、
夜中も私はオムツ換えのために数回起き、あまり眠れなかった。
以前、近所の薬局でお気に入りのメーカーのオムツが
週間セール品として安売りしていたため、
私は散歩がてら毎日2パックずつ買いだめしていた。
ウチのオムツ事情はしばらくは安泰だ。
が。そのオムツが、見る見るうちに減ってゆく。
湯水の如く、それはもう、笑えてくるくらいだ。

翌日、総合病院に向かう。
退院後の経過は、尿検査も特に異常なし。
次は検査入院があるため、説明を受けて予約をとる。
気になったので、ついでに息子の下痢のことも相談する。
先生に回数を伝えたら、
もしかして酸っぱい臭いしない?と即聞き返された。
します!してます!でら酸っぱい!

先生とその場に居た看護士が、”ロタじゃない?”とささやき合う。
私にはなんのこっちゃだが。
おしりの穴に綿棒を突っ込むだけの簡単な検査ですぐわかるから、
と、息子は検査された。
少し待つと再び呼ばれた。
お、ホントにすぐじゃないか。

検査の結果が伝えられた。
息子はロタと言うウイルス性の腸炎にかかっているらしい。
これは寒い時期になると流行る、乳幼児の風邪の中でも
代表的な腸炎らしく、
症状は米のとぎ汁のような白っぽい水様便、酸っぱい臭い、
そして激しい下痢と嘔吐、である。
発病のタイミングからして、どうやら先日の入院時に
院内感染したらしい。
先生は、ごめんねと言って息子の頭をなでた。
ロタは今本当に流行っているらしく、
当時も今も、小児病棟にはロタキッズがわんさか入院しているらしい。
院内感染だとぉ!?
病院側に責任はないのか?
しかも、下痢は、ウンチを食べると移るらしい。
た・・・、食べる!?
と言っても、直接食べる機会など滅多にないだろう。
ママがロタウイルスにかかった子のウンチのオムツを変えた後、
手を洗わずに触ったおもちゃを他の子がなめたり、
と言った具合で移っていくらしい。
デパートのオムツ変えコーナーなんて、かなり危険だ。
しかし、冬場に流行る以上、防ぎようがない。
いや、防ぎようがないから、流行るのか。
でもまぁ、とりあえず原因がわかってよかったとホッとしたのも束の間、
息子の入院が伝えられた。
はぁ?下痢で入院?
息子はそんなに重症なのか?

乳児は月齢が低ければ低いほど、病気のときの水分補給が難しい。
ロタは激しく下痢が続いて吐きまくったりするので、
脱水の心配がある。
脱水を防ぐためには、24時間の点滴が必要らしい。
24時間も点滴が必要なくらい下痢して吐くのか?
息子はまだそこまで重症そうには見えない。
でも入院はもう決定なので、しぶしぶ同意した。
最近自宅に戻れたばっかりなのに、また入院だ。
しかも、下痢。
下痢で入院なんて、ダサくて他人には言いたくない。

息子が処置室に運ばれ点滴と採血をされている間に、
公衆電話から旦那に連絡する。
予想外の展開に、旦那もビックリだ。

今日は旦那は仕事で遠くに行っているため、
今すぐうちらのもとに駈け付けることは出来ない。

入院の仕度をするために、息子をナースステーションに一時預けて、
私は一人自宅に向かう。
息子はまだ処置中だ。
入院も3回目になると、行動にも余裕がある。

そして、入院生活が始まった。
息子の下痢は、入院してからピークを迎えた。
尿路のときは、1~2日で快方へ向かう。前向きな入院だった。
今回も、そのつもりで居た。
しかし実際は全然違った。

息子の下痢の回数は増える一方で、
ソッコー残りのオムツがやばくなってきた。
当然、オムツかぶれも悪化する。
腹が減ったと泣くのでミルクを与える。
しかし、飲むそばから即下痢をする。
下痢する時に腹に差し込むのか、息子はグズり続ける。
しかも、ロタは伝染病だからと、オムツ換えの際はいちいち
使い捨てのビニル手袋を着用し、ビニル袋に密封して捨てなければならず、
なんせ回数が半端じゃないため、かなり面倒くさい。
この部屋はどうやら下痢部屋らしく、
同室のママ達は皆ウチと同じ行動をとっていた。
そして、いたるところからプウプウ聞こえてくる。
みんな下痢だ。
そして、部屋中ちょっと臭い。
息子はまだ乳児だが、普通にご飯を食べれる歳の子供がウンチすると
かなり臭い。嫌だけどしょーがない。
他の子はみんな頻繁に嘔吐もしている。
ウチは、吐くには吐くが、みんな程頻繁ではなく、
それより下痢!って感じだった。
この状態で嘔吐も併発されていたら、私は倒れていたに違いない。

息子の下痢は、寝ている時も続いた。
私は息子のおならの音がするたびに起きてオムツ替えをした。
息子は点滴もしているし、下痢も次から次へと排泄するため、
寝る前にオムツを替えて、そのまま朝を迎えることは出来ない。
私は疲れ果て、一度だけ4時間続けて寝てしまった時があった。
起きたら酸っぱい。
しまった!寝過ごした!
息子のオムツはパンパンになり、もれにもれまくって、
息子の服はもちろん布団や私のパジャマまでしみてしまった。
その後も、ついうっかり気を抜いてモレさせてしまい、
入院中にシーツ交換を4回してもらった。

入院3日目。
私の職業はオムツ換えだ。
連日の寝不足がたたったのか、ここは病人だらけの入院病棟だからなのか、
両方だろう、私の調子が悪くなった。
激しい下痢と嘔吐だ。
どうやら息子の風邪が移ったらしい。
私も息子のウンチを食べてしまったのだろうか??
私の不調は夜中にピークを迎え、B1階にある救急に走った。
ものすごい吐き気におそわれ、水しか飲めず、
その水もソッコー吐きまくり、同様に下痢にも襲われた。
そんな中、死に物狂いで息子のオムツを変え、ミルクを飲ませる。
その作業を休むことは許されない。
もぅ、入院したいのはこっちの方だ。
息子のお尻から頻繁にプゥ、っと聞こえるおならは
今の私にとっては悪魔のささやきのようだ。
この音にはかなり怯えた。
飲んだそばからすぐ下痢になる。
もう、ミルクをあげるのが恐い。
しかし、出しきらなければ治らない。
飲ませなくては。
飲んで飲んで飲みまくれ。
そして全部出し切るんだ!頑張れ息子!
母さんはもぅ泣きそうだ。てか、もぅちょっと泣いとる。

翌日は院内の消化器内科にかかる。
私のは息子の世話がある。医師に吐き気止めと下痢止めを要求するも、
乳児の下痢と同様、下痢は止めたら治らん、と言い放たれ、
下痢止めは入手できなかった。
これはつらい。
薬を飲み、とりあえず吐くことはなくなった。
しかし、息子の下痢と私の下痢はまだまだ治りそうもない。
ここは総合病院なので、年齢もキャリアも様々な医師が居る。
平日は朝と夕方の2回、回診がある。
財前教授の回診、まではいかないが、
5人くらいの医師が1チームになり、ぞろぞろとやってくる。
”お母さんの方は大丈夫ですか?”
私の不調情報は医師団にまで流れているらしい。
さすが大病院。患者の情報管理・伝達は怠らないらしい。
私が今ひどい下痢をしていると皆が知っている。
これは、とても恥ずかしく、また情けないことだ。

入院5日目。
息子の下痢はあまりに回数が増え続けるので、
主治医からアレルギー用のミルクに切り替えるよう勧められる。
ミルクに含まれる乳糖は、乳児の腸に負担がかかる。
それまでは、同じ理由で普通のミルクを半分の薄さで作って飲ませていた。
アレルギー用のミルクは、乳糖がカットされているらしい。
ボンラクトと言うミルクが支給された。
ニオイが臭い。大豆のような臭いか?
そして、このミルク、息子にかなり人気がない。
夕方になり回診に来た主治医にその旨伝えると、
”だってこれまずいもん”と言われた。
そうか、まずいのか・・・。
朝からミルクを切り替えたので、夕方くらいのウンチから
少しずつ落ち着いて来るとおもうよ、と言われた。

息子は相変わらずまずいらしいミルクを飲まない。
しかし、腹が減っても飲むものはこれしかない。
乳児のくせに、いっちょまえに眉間にシワを寄せ、しぶしぶ飲む。

主治医の予言どおり、その日の夕方から下痢はマシになってきた。
それからと言うもの、徐々に回数も減り、水分も減少してきた。

日を追うごとに回数と点滴の量が減って行った。
回復の兆しか。
そして、2週間後に退院できた。
今まで一番長い。
そして、世話も一番大変だった。
ピーク時には1日30回近くオムツを換えた。
入院前にたまたま買いだめしていたオムツはすっかりなくなった。
壮絶だった。
乳児の下痢は、恐ろしい。
しかし、主治医いわく、
”ロタだけが恐い腸炎じゃありませんからね。”との事・・・。



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