☆連れの実家にて｡｡｡

☆彡　連れの実家にて｡｡｡

瀋陽駅からタクシーで１０分、連れの実家に着いた。
田舎の雰囲気を想像していたが、けっこう街中｡｡｡というかんじ。

今のように新築の高層マンションなどは少なく、公務員のほとんどは、
国から支給された、マンションに住んでいた｡

公務員といっても、当時はまだほとんど会社は国営企業が多かったので、
まあ勤めの人の大体が公務員といっても過言でないようだった。

それぞれ個々の階級や役職により、支給される家の大きさも違っていたようだ。

マンションの階段を上る最中、私は内心少し緊張していた｡｡｡

中国語もまったく話せず、ニーハオぐらいは知っていたが、
言い慣れないせいか、なんだか気はずかしい｡｡｡

どうしても日本語が出ちゃいそう。。。

ニーハオ…って言った方がいいかな｡｡｡

あれこれ迷っているうちに４階まで上り、連れの実家はそこにあった。

ドアが開いて、まだ初老…？とも見えないご夫婦が、笑顔でそこに立って、
私たちを迎えてくれた。

連れのご両親だ。

とっさに私は声が出ず、お辞儀をしてしまった(^^ゞ。

お辞儀は、多くの中国人が知っている"日本人の印象のひとつ"だ。
日本人はよくこうする｡｡｡と、動作でお辞儀をするマネをしてみせるくらい、
中国人にとっては、おもしろいような、めずらしい風習のようだ。

きっと、ご両親も内心、典型的な日本人の風習を見た｡｡｡と思っただろう。

客間に通され、ソファにすわった。

部屋の中は暖かかった。

入口や上がってきた階段は、電気が薄暗くてお世辞にもきれいとはいえなかったが、
家の中に入ると以外や、ごちゃごちゃ物を置いてなくてすっきりしていて、きれい｡｡｡

久々に帰った連れと両親の会話が始まる。

私に何か聞かれたときは、連れが通訳して私に話す。

私が答え、連れがまた両親に通訳する。

すると、連れのお父さんが　突然

『あ・な・た・の・　　お・と・う・さ・ん・　　お・か・あ・さ・ん・は・　　げ・ん・き・で・す・か？』

…と、日本語で聞いてきた。

日本語がでてきて、ちょっと緊張がほぐれた私は、『はい！』と、日本語で答えた。

"はい"は、通訳しなくても通じるようだ。

しばらくの会話のあと、それぞれに日本から持ってきたお土産などを出して、
喜ぶかどうかちょっと気になりながら、ご両親に差し出した。

一つ一つ開きながら、笑顔で喜んでくれた。

よかった｡｡｡｡｡

お世話になる部屋に通されてから、荷物などを片付けていると、
連れのお母さんが何か言った。

"朝食を食べるから、テーブルへいらっしゃい。"　…とのことのようだ。

そうか・・・まだ朝だったんだ｡｡｡

夕べから始まって、私の一日はもう夕方…のような気がしていた。

台所の中を見ると・・・
エプロンかけて朝食のしたくをしているのは、お父さんだった。

聞いてはいたが、なんとも新鮮な光景だった。

日本では　"男子厨房に入るべからず｡｡｡"(ちょっと古いか…)じゃないけど、
奥さんが家にいて、旦那さんがご飯をつくる光景なんて、めったに
お目にかかれない。

中国ではこのようなことは普通で、男の人が食事のしたくをするのは
まれなことではなく一般的なようだ。

ほとんどが共働きのため、先に帰ったほうがご飯をつくる…とか、
または旦那さんの方が主にご飯を作る…など、
ぜんぜんめずらしくないことのようだった。

今でも共働きは多いので、旦那さんがご飯を作ることはまだ少なくない。
なんとも女性にとって、うらやましい風習である。

朝食のテーブルについた。

初めて中国人の家で食事をする｡｡｡

目の前に置かれていたのは、どんぶりほどの大きさの茶碗の中に入った
たっぷりのお粥だった。

おかずは朝食ということもあり、品数はそんなに多くない。

小皿が2～3品と少し大きめの皿1品…だったろうか｡｡｡

その大きめの皿に入ったセロリと人参を刻んだ浅漬け…のような
おかずは塩味とにんにく、ごま油の香りがした。

初めて口にした味だった｡｡｡
にんにく、ごま油の組み合わせは、初めてで慣れなかったこともあり、
その時には、あまりおいしいと感じなかった｡｡｡

白いお粥は、日本のように塩味はついていないので、
私はおかずにちょっと困ったが、小皿に盛られた赤い四角いものが
気になり、ちょっとだけ食べて見た。

おいしい｡｡｡

しょっぱくて、柔らかくて、コクがあって…なんとも白いお粥に合う｡

これは何か…聞いて見ると、豆腐から作ったもの　のようで、
食品を扱う店ではどこでも売ってるということだった｡｡｡

後になって分かってきたが、その名は豆腐乳というらしい｡｡｡
値段も安い。

今でもスーパーではどこでもいろんな種類が売っている。

『買って帰ろう｡｡｡』ひそかに思いながら、ほとんどを
その"赤い四角いもの"を添えて、私はお粥を食べ終えた。

滞在して少し後、先ほどのセロリと人参のおかずは、
野菜なら何でも良いようだ…ということがわかってきた。
にんにくとごま油を使ったり、 "中国の黒酢" を使ったり、
その他にもいろいろ作り方があるようだ。

今では大好きになったこの中華風浅漬け・・・・・
味の好みも　やはり習慣や慣れ…が大きく関係しているようである。

中国料理の前菜、おつまみにあたる　それが、 "涼菜" …と呼ばれているのはだいぶ後で知った｡｡｡

私は次第に、その味に慣れていった。

その後も食事の際、食卓には、ご飯の前にビールのおつまみ…として、
いろんな種類の涼菜が登場した。

食事の度に、お父さんが腕をふるって、何品ものおかずを作ってくれた。
慣れないものもあったが、すっごくおいしい｡｡｡と感じるものもたくさんあって、

私は、一気に中国家庭料理に親しんでいった。

外はマイナス２０度近く…というのに、部屋の中はとっても暖かい。

朝食をたべ終えて少しすると、スキーウエアーのような完全防備の服装で
近所に住む連れの兄夫婦が来た。

防寒服を脱いで軽装になり、居間に集まり、連れにとっては久々の
家族団欒が始まった。

私は、みんなが話しているのがなんだか分からずチンプンカンプンなので、
ただ黙って、ときどき私に通訳してくれるのを聞きながら、
いちおう話には参加して、皆さんの顔を見ながら聞いていた。

お菓子をだしてくれたり、りんごを剥いてくれたり、
私に気を使ってくれつつ、会話は進む｡｡｡

家族で集まって、こんなに和やかに　いろんな会話すること…って、
家にはないことだな｡｡｡

私はみんなの話を聞きながら、なんとなく自分の家と比較してしまっていた。

中国人って・・・思ってたより温かいな｡｡｡

私の数少ない知合いの友好的な中国人の人達は別として、
闘争的で怖いイメージがちょっと強かった私は、この温かさの中に自然となじみ、
その強烈なイメージが次第に　解けていくのを感じていた｡｡｡

☆彡　春節　(旧正月)　の前日｡｡｡へ続く

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