10月から3人で始めた ≪民話と昔話を楽しむ会≫ で
11月は、自分が好きなお話を選んで練習をしました。
私は、『まんが日本昔話100話』〔2〕 から、次の
ような長野県のお話 『またたび』 を 練習しました。
ま た た び
雪が、しんしんと降りつづいている ある晩のこと。
一人の男が、まきを割りながら、女房にこんな話をしたそうな。
「むかしのことだ。
あるところに どうしようもねえ男が、おってのう。
おふくろと二人ぐらしだというのに・・・。
おまけにそのおふくろが、腹がふくらむ病でくるしんどるというに、
そいつは、ばくちを打っていやがった。
その日も 夜明け近くになって、家に戻ってきたんじゃが、
そのときもう、おふくろは虫の息。 さすがのこの男も
『しっかりせえ、おふくろよう。』 と さけんだんじゃ。
「医者は、どないしたんじゃ?」
いろりばたで、子どもをあやしていた男の女房がそう聞いた。
すると、男はまきを割る手を休めることもなく、
ふたたび話しはじめた。
「そのあたりには、おらんのじゃ」
「くすりは?」
「金をばくちですってしもうて、一文もねえ。
そんなときのことじゃ。 なにかと世話をやいてくれていた
となりのじいさまが、またたびの水をのますと、
病がなおるかもしれんというてくれたのは。 しかし、
夕方までにそれをとってこんと、死ぬかもしれんと・・・。」
まきを割りおえた男は、外に出て雪で顔を洗うと、
家の中にもどってきて、ふたたび話しはじめた。
「男は、いっときも早くまたたびの水をとってこようと、
山へ向かったんじゃ。 ところが、いつもはどこにでもある
またたびが、その日にかぎって、ちっとも見あたらねえ。
もう男は、やみくもに山を走りまわって、やっと、
かもしか岩の下で風にふかれている、
またたびの葉を見つけたんじゃ。」
「かもしか岩といや、難所でねえか?
男はどうやってまたたびを・・・。」
女房が聞いた。
「どうもこうもねえ。 男はごつごつしたきゅうな岩場を、
手や足を傷だらけにして、けんめいによじのぼったんじゃ。
男はそこにつくなり、またたびのつるを切って、
ふくべの口につっこんだんじゃ。 ところが、
いつもはとっくんとっくん出る水が、
そのときにかぎって、ちっとも出てこねえんじゃ。
早く持って帰んねえと、おふくろは死ぬかもしれねえってのに・・・。
日ごろ、神さまのことなんぞ、ついぞ考えたことのない男じゃったが、
このときはじめてこうさけんだんじゃ。
『神さまー、水を出してくれろー。 神さまー。
おねがいだから、おっ母あの命を助けてくれろーっ。』
じゃが、いくらさけんでも、
またたびの水は一滴も出てこんかった。」
すると、ここまで話していた男が、声をつまらせた。
女房が見ると男はないておる。 まるで、
自分がその男じゃったみたいに・・・・。
男はなみだをぬぐって、ふたたび話しはじめた。
「どこかで、山犬がほえはじめた。
ちょうどそんなときのことじゃった。
あっちの山、こっちの谷にぶつかって、
あの声が聞こえてきたのは・・・。」
「その声は、なんていうたんじゃ?」
女房がたずねた。
「もうええよー、もうええようー。
せがれや、もうええよう。
それはおふくろの声だった。 それを聞くと、
男はもう、いてもたってもおられんようになって、
『おっ母あ、おっ母あ~~っ。』 と、
わめきながら家にもどったんじゃ・・・。
家につくと、おっ母あは死んでおった。
男が山でこだまを聞いた、ちょうどそのころ、
息をひきとったということじゃった。
気がついてみると、ふくべの中には、
またたびの水がいっぱいになっとったんじゃが、
なにもかもまにあわねえ話よ。」
すると、女房が・・・、
「いいや。 まにあったものが一つあっただよ。
その人の親思いの心じゃ。
『もうええよう。』 そういうたおふくろさんは、
きっと満足して目えつぶっただよ。」
「そうじゃろか?」
「そうとも、そんなことがあってから、
その人はばくちも酒もいっさいやめたでねえか。
そして、おらたちのために、
汗水流して働いている・・・。」
むかし、長野の塩尻での話じゃあ。
(おわり)
※以上、『まんが日本昔話100話』〔2〕 より
語り・男・女房の 三つの声を 色分けしてみました。
男の声を、詩吟の声で、女房の声を歌の裏声で・・・
自分では区別したつもりでも、テープで聞いてみると
あまり声が変わっていません。 よほど強調しないと
いけないのだなと思いました。それに、自分ひとりで
練習しているときでも恥ずかしい感じがしてきます。
三人で練習しあうときにも、まず恥をさらすことから
だわね、と 言いあって、練習をしているところです。
それで、恥のかきついでに、なんとなんと・・・
今日、『四季の花』 で お誕生会をして下さった
みなさま方に 聞いていただいちゃいました~
みなさま、練習をさせていただき
ありがとうございました。
こちら
に けん玉のことを書きましたが、
私は上手くできなくて 飾っているだけ。
今日のお客さまは、いきなり、いちばん難しい
ワザを みごとに成功すばらしかったです
【お楽しみ教室】
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