他の障害との違い

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 ★ 他の障害との違い

1. 知的障害との違い

ADHDは、全般的な知的発達に遅れはないので、知的障害ではありません。
 もともと、ADHDの症状は、通常の家庭・学校・地域・社会で、通常の発達をしている子どもを基準として提案されたものです。知能が大きく遅れている場合は知的障害であって、ADHDではありません。
 特に、知的障害児は授業中教室内を歩き回ることがありますので、そのことでADHDと間違われやすいのです。
(知能検査等で明らかに知的障害が見られた場合、知的障害の養護学校や養護学級で教育を行うことも考慮する。)


2. 自閉症との違い

自閉症は、多動で不注意で衝動的である点はADHDとよく似ています。ADHDと大きく異なるのは自閉症に見られるコミュニケーション障害のところです。自閉症のコミュニケーションは絶えず一方的であり、相互的になることはまれです。また、自閉症では物への対応の不自然さも認められます。
 自閉症によく見られる常同行動(手を顔の前でヒラヒラさせるなど)は、ADHDにはほとんど見られません。
 自閉症は、ADHDと同様、アメリカ精神医学会の診断基準(DSM-Ⅳ)によって診断されるものです。この時、ADHDは広汎性発達障害(広義の自閉症障害)との重複診断はしない取り決めになっています。しかし、実際には自閉症傾向のADHD児もいます。ADHDと自閉症の両方の診断基準に当てはまるときは、診断の決まりとして、自閉症と診断することになっています。


3. LD(学習障害)との違い

LD(学習障害)は、教育用語です。以前は「学習能力の障害」と訳されていました。これまでとは異なった方法で学習するとうまくいく子どもたちのことです。
 ADHDと同様に、脳に何らかの原因があると考えられています。LDの定義は以下によりますが、ADHDとは判断基準が異なり、別のものであると言えます。しかし、学習障害はADHDと合併する場合が多く見られるため、「ADHD=学習障害」と勘違いされやすいのです。


学習障害とは、基本的には全般的な知的発達に遅れはないが、聞く、話す、読む、書く、計算する又は推論する能力のうち特定のものの習得と使用に著しい困難を示す様々な状態を指すものである。
 学習障害は、その原因として、中枢神経に何らかの機能障害があると推定されるが、視覚障害、聴覚障害、知的障害、情緒障害などの障害や、環境的な要因が直接の原因となるものではない。

「学習障害児に対する指導について(報告)」平成11年7月2日
学習障害及びこれに類似する学習上の困難を有する児童生徒の指導方法に関する調査研究協力者会議


ADHDで学習障害を合併しているのは、50~80パーセントといわれています。すなわち、5割はいるが、8割は越えることはないということです。
 また、ADHDは学習障害児だけに合併して現れるのではなく、軽度知的障害児の中にも合併して現れることがあります。


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