バックパッカーの旅Ⅱ(欧州~北アフリカ~欧州~日本)

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充子さん盗難被害



   一月六日から八日までの記録がない。
 たぶん、飯食って、ドボーンして、寝てたんだろうな。

   日曜日も午後一時に始まった。
 正確に言えば、今朝の3時までは起きていたのだが。
 館山さん(早稲田の学生で二日間だけ同室、・・・どうも四号室は出入りが激しい)、長谷川さん、石川さん、園部充子さんなどと、午前二時ごろまで雑談をしているところへ、フラメンコを見に行っていた薫さんたちが戻ってきた。
 フラメンコの店は、ホセ・アントニオ通りの近くにあるらしい。

   喉が渇いたという事で、セルベッサ(ビール)でも今から飲みに行こうという事で話がまとまり、館山・長谷川・石川と俺の四人でアマディオを出た。
 Barは午前二時で終わりとの事で、ほとんどの従業員が帰宅準備をしていることが多く、追い返される始末。
 我々の行動は常軌を逸しているらしい。
 まあ、そうだろう。

   仕方なく、午前五時頃まで開いていると言う、ドラッグ・ストアーまで歩いていく事にした。
 午前二時を過ぎると、人通りも少なくなるが、午前二時ごろから動き出す人達もいる。
 地下鉄の階段・道路などを清掃している人達、お巡りさん、土曜日の夜という事でのんびり夜風に当たっている人達の姿だ。

   暇を持て余しているのか、ドラッグ・ストアーはすごい人込みだ。
 灯りが明々と灯り、ビールを飲むもの、本屋・レコード屋・鍵屋・レストラン・装飾品屋・・・・・などなど、ありとあらゆる物が営業をしていて、通路と言う通路に人が溢れていて、歩く事さえ容易でない状態が、午前二時を過ぎての出来事だからビックリしてしまう。

   さすがに、ビールは高く、一杯25pts(120円)。
 ポップコーンを食べながら、アマディオに戻ってきたのが午前3時近くになっていた。
 戻ってみると、充子さんと薫さんはまだ起きていた。
 部屋に入ると、早速アデラさんがやってきた。

       アデラ「もう遅いから、寝なさい!」
       我々 「・・・・・。」
       アデラ「いつまで、起きてんですか!!!」

   とうとう、怒鳴りだした。
 分るような気がするなー!
 俺達の行動って、常軌を逸しているんだよな。

   自分達の部屋に戻り、ベッドにもぐると、咳きが止まらない。
 いつの間にか、眠ってしまうのだが、眠るまでの長い間、激しい咳きに悩まされる日々が続いている。
 それでも、夜更かしがやまらないのには、自業自得と言う他はない。
 喉の薬を買ってきて、昼間は落ち着いているものの、ベッドに入る時とベッドで目を覚ました時が一番苦しい時だ。

                        *

   昨日はもうひとつ大きな事件があった。
 アマディオでの盗難事件だ。
 被害にあったのが、園部充子さんで、バッグ・時計・現金(2500pts≒12000円)・借り物の服などを盗難に遭ってしまったのだ。
 犯人は同室のアメリカ人女性との事。
 久しぶりに毛唐が泊まったという事で、親切にしてやったのに、悔しい話である。

       俺   「パスポートは?」
       充子さん「番号控えてたから・・・。」
       俺   「警察へは・・・届けたの??」
       充子さん「ええッ・・・・・。」
       長谷川さん「女の犯罪はメンスが関係している場合が多いからな??」
       俺   「それにしても・・・許せんな!!」

   充子さんは笑っている。

       俺   「ホテル側は・・・何かしてくれるの?」
       充子さん「どうせ、ダメだから。」

   ホテルの対応の悪さに、日本人観光客達数人が、他のホテルに替わって行った。

       ・・・「ホテル側の言い分だけを聞いているばかりではダメだ。」
       ・・・「行動すべきだ。」

   などなど、いろんな人達が、口々に不満を撒き散らしている。

                     *

   今日、日曜日の朝。
 午前一時を過ぎたと言うことで、長谷川さん・石川さんそして俺の三人が朝食抜き。

       俺  「アデラさん!おはよう!!」
       アデラ「ノー!ティー!」

   ティ-も飲めないのでは・・・と、早速外へ飛び出す。
 ラストロへ向かう。
 ”のみの市”だ。
 マヨ-ル広場の近く”RIBERA DE CURTIDORES”がそうらしい。
 下り坂になっている。
 広場のような広い通りに、三列ぐらい店が出ていて、ここにも人が溢れている。

   出店をあっちこっち覗くが、値段もそれほど安くなく、良い物もこれと言ってないではないか。
 200pts(960円)のマフラーを買った。
 日本人の店もいくつかあった。
 水中花(50~100pts)を売っている”ケンさん”の顔も見えた。

       俺 「やあ!売れてます??」
       ケン「あれ?嫌な所を見られたな-!」

   と、笑う。
 地元のおばさんたちが数人、水中花を買って行った。

       俺 「なかなか売れているじゃありませんか!」
       ケン「いや、あまり売れませんよ。」
       俺 「・・・・。」
       ケン「ところで、皆はまだいますか?」
       俺 「ええ!あれから、充子さんの被害が大きくなりましてね。」
       ケン「被害って?」
       俺 「あれから、時計も無くなっている事が分ったんですよ。」
       ケン「あら-!」

   午後二時頃、出店がたたまれ始めた。

                     *

   ”のみの市”の帰りに、中華料理店へ入った。
 ライス20pts(96円)、ワンタンスープ30pts(144円)、野菜旨煮60pts(288円)。
 これが昼食のメニュ-。

       俺  「久しぶりに、美味いものたらふく食ったような気がするなー!」
       長谷川「なかなか、良い味だったね。」

   メニュ-は全て、日本語で書かれてある。
 この日は日曜日と言う事もあって、満席状態。
 少し、待ったかいがあったというもの。


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