バックパッカーの旅Ⅱ(欧州~北アフリカ~欧州~日本)

バックパッカーの旅Ⅱ(欧州~北アフリカ~欧州~日本)

ナルビク行きの列車に乗り込む



ストックホルムの街に出た。
車が行きかう路面には、雪は残っていない。
屋根も、地肌を露出させているのが見える。
しかし、白い雪が・・・ゆっくりと舞っている。
寒さと空腹を何とかしようと、駅近くのカフェに入った。

赤いテーブルに、木製の椅子。
どうやら、セルフサービスの店のようだ。
カフェの中は、暖房が良く効いてて暖かい。
もう11時過ぎだというのに、外は至る所で灯りが点っている。
行き交う人の吐く息が白い。

今日ここは、午後だけの街。
太陽は、いつまでたっても顔を見せようとしない。
カフェを出て、街を散策する事にした。
カフェで、温まったせいか、そんなに寒さは感じない。

街はこじんまりまとまっているが、近代的な建物が多く、
地下空間も自然な光が射し込んでくるように
工夫がなされている。
エスカレーターで移動している人も見かける。

陶器類が置かれた店の中には、
大きな文字で「歓迎」と、日本語で書かれた紙が
いくつもウインドウに張られているのが見える。
日本人観光客達は、金払いが良いらしい。

地図を片手に、街の中をぐるりと廻るが、
中心部を一回りするのに、そんなに時間はかからなかった。
それでも、三時間は歩いただろうか。
ある広場では、50歳をとっくに過ぎているような
おばさんが、エレキを演奏しながら
歌を歌いレコードを売っている。
大道芸人とでも言おうか。

                *

駅前に戻り、カフェを探してうろついていると
”SEX SHOP”と書かれた店を見つけた。
細い路地に、寄り添うように商売をしているのだ。
何人かの地元のオジサンたちが、冷やかしのように
店を覗いては立ち去っていく。
5Krコインを入れる、自動販売機も備え付けられていて
路地裏には似合わない華やかさがここにはある。

しかし、日本のように街中氾濫していると言うふうではなく
決められた場所で、細々と営業していると言う感じかな。
日本では、北欧のフリーセックスが良く話題になっているけど
日本で思うほど、ギンギラギンではなさそう。
開放的と氾濫との違いだろうか。

北欧の冬は厳しく、夏はほんのわずかでしかない。
一年間のうち、本当に短い夏を全身で受け止める
開放感が、日本人にはよく理解できないのだろう、
それを、日本の若者は間違った解釈をしている。
開放的といえば、誰とどこでも”SEX”することが
フリーSEXだと考えているのだ。
それでは単なる公衆便所でしかない。
楽しければ良いでは、あまりにも惨めではないか。

女性達の解放が叫ばれ、女性の立場が向上してきた
副産物かもしれないが、もっと自分を大切にする事が
真の女性解放ではないのだろうか。
そんな事を考えてしまった。

                *

”SEX SHOP”の店先には、なんと日本の国旗が
あちこちに掲げられているのが見える。
いかに、日本の観光客達の観光ルートになっているかが
わかろうかと言うもの・・・・だ。
日本人として、何か寂しいものが感じられてしまう。

今駅からちょっと離れたカフェに入っている。
コーヒー1ポット(二杯)・・・・360円なり。
カフェのシートは満席に近い。
老いも若きも、コーヒーを飲みケーキをほおばり
雑談をし、学生達だろうか、ノートのコピーをする場でもあるようだ。

ここは二階にあるカフェ。
一階は、ケーキ売り場になっている。
白衣を着た店員が、忙しく歩き回っているのが良く見える。
ほとんどが若い娘さんたちで、どの人も美人に見えてくるから
・・・・不思議だ。
一日中、空が晴れ渡る事はない。
降り続いていた雪は、どうやらやんだようだ。
昼なお暗い一日が過ぎていく。

インフォメーションで聞くと、ノルウエーのナルビクという街へ行く
列車は、すべて寝台車とのこと。
16:32発の列車に乗り込む事になった。
Uppsala→Gavle→Sundsvallと、長い海岸線を北上し
フィンランドとの国境近くで、内陸へとさらに北上する。

Gallivare駅からKiruna駅と言うノルウエー国境近くの駅で
乗り換えて、国境を越えてノルウエー最北端の駅、
Narvik駅へと到着するのだ。
このNarvik駅は、ノルウエーの駅なのだが、ノルウエー国内だけを
通ってはいけないと言うことが、初めてわかった。
スウェーデンを通過しないといけないのだ。
つまり、列車の線路はノルウエーとスウェーデンと言う
二つの国をまたいで敷かれていると言う訳だ。

ナルビクには、翌日の13:52着予定だ。
おかげで、なけなしのお金が吹っ飛んでしまった。
ストックホルム~ナルビク間、1700skr。
性懲りも無く、車掌に寝台車のほかに、
普通の車両はないのかと聞くが、
うまく英語が通じていないらしい。

車掌が手帳を見せるので覗きこむと、
”この列車は寝台車しか連結していません”と
英語で書かれているではないか。
仕方なく、1700skr支払って乗り込むが
この10日間で、早くも2万円が消えていった。

ホテルにも泊まらず、食事らしい食事もせず
交通費もかけず、どこでどう消えていくのか
不思議でしようがないということか。
一日、1500円と決めているのに困った事だ
北欧は・・・・・物価が高いのだ。


© Rakuten Group, Inc.
X

Create a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: