バックパッカーの旅Ⅱ(欧州~北アフリカ~欧州~日本)

バックパッカーの旅Ⅱ(欧州~北アフリカ~欧州~日本)

パリを遊覧、セーヌを渡る。



  ベッドは西洋の国なのに小さい。
 毛布をかけて眠れる、久しぶりだ。
 荷物の心配もないし、南京虫の心配もない。
 バスの中とは違って、手足も十分に伸ばせる喜びは何事にも替え難い。
 高価な代償を払って、この心地よさを手に入れたのだが、こんな事が長く続いて良いはずはない。
 つかの間の休息なのだから。

  朝は二段ベッドの上の彼に起こされる事もなく、自分で目を覚ました。
 アテネでの十時起床とは大違い。
 熟睡できたから?
 ユースの規則が頭から離れなかったから?
 気持ちの良い朝だ。

  簡単な朝食(オレンジ・ティ-・パン・ジャムにほんの少しのバター)。
     俺 「まるで、機内食だな・・・・!」
 外は雨。
 パリに雨は・・・・合う。
 パリの街に繰り出してみることにした。
 もちろん、肩に食い込むバックパックは背負わずに。
 これが何と言っても、嬉しいことなのだ。

                   *

  まず、チョイシ-駅から直接、サン・ミッシェル駅に出る。
 昨日、同じ部屋の日本人にある程度、パリの街を教えてもらっていたので、昨日パリに初めて降り立った心細さはまるでない。
 のんびりと散策できそうだ。

  さすがにパリは、ヨーロッパの中心。(褒めすぎかな?)
 地下鉄(メトロ)が発達していて、いたるところにメトロポリタンが大きな口を開けている。
 セーヌ川に架けられた何十本と言う橋と、大きな古いどっしりとした建物には、歴史の重みを感じさせてくれる。
 日本にはない重厚な街並みを見るにつけ、他を圧倒する迫力があるのは確かだ。

  セーヌ川に架けられた橋を渡ったところで、パリの地図を手に入れた。
    (別に慌てて買う必要もなかった、JALオフィスでくれたからだ。)
 地図を見ながら、凱旋門を目指して歩く。
 ”RueDeRivoli”通りを歩いていると、闇屋が近寄ってきた。

    闇屋「やあ!日本人かね。」
    俺 「ああ!」
    闇屋「フランス・フランはいらんかね。高く買取るよ。(ドルを買おうと言うのだ。)」
    俺 「いくらやねん!」
    闇屋「そうだなー!一ドル、6.2フランでどうかね。」
    俺 「6.2フラン・・・・ね。銀行よりは少し良いね。」
    闇屋「すぐ替えるよ。」
    俺 「いくらでも良いかね?」
    闇屋「いくらぐらい、両替する気、あるの?」
    俺 「30US$ぐらいなら、両替しても良いよ。」
    闇屋「30ドル?ダメね。200US$でどうだね。」
    俺 「フランスに長く居るつもりはないから、そんなに両替できないな!」
    闇屋「小さい、小さい!それじゃ・・ダメだ!」

  少しの間交渉を続けるが決裂。
 そのまま、”Rue St Honore”に入ると、いろんな日本の店だとか中国の店が、所せましと並んであるのが見える。
 フランスの店であっても、店頭には日本の文字が書かれていて、いかに日本人観光客が多いか分ろうと言うもの。

  ”Rue De RIVOLI”から入ったすぐの所には、”大阪寿司”とか”OSAKA”の二軒連なっていて、”大阪寿司”の方は高級料理店、”OSAKA”はラーメンを食べさせているらしい。
 ラーメンが一杯、6~8フラン(360~480円)。
 お茶が1フラン(60円)でおまけに麻雀まで出来るようだ。

  営業時間は、AM11:30~AM1:00。
 ドンドン歩く。
 立ち止まって、地図を見ているとフランス人が寄ってきて、色々教えてくれるのだが、全部フランス語で捲し立てるもんだからイライラしてくる。
    俺 「英語で言えよ!」
 この通りには、航空会社や映画館が多く見られる。
 日本で言えば、銀座?

  シャンゼリゼ通りのBANKで20US$(≒99フラン)を両替する。
    俺 「レートが悪いな・・・。」
 JALオフィスに入り、地図とかパンフレットを手に入れる。
 買った地図が6フラン(360円)だったから、勿体無い事をした。

  パリの若いカップルが、歩きながら人目も気にせず、何処でも誰とでもキスをしやがる。
    俺 「くそ!頭に来るなー!・・・・羨ましい。」
 凱旋門から”Avenue MARCEAU”へ入りエッフェル塔へ向かう。
 ほとんど観光客に成り下がってしまったようだ。
 セーヌ川を再び渡ると、すぐエッフェル塔が見えてきた。
 パリの街はゴタゴタしている割には歩きやすい街だ。

  というのも、パリの街の真ん中をセーヌ川が横切っているからだ。
 道に迷えば、このセーヌ川に来れば何とかなる事に気がつくはずだ。
 エッフェル塔の下へ行く。
 公園とは言っても何もない。
 ヨーロッパの公園は、実にシンプルで何もないのが癒し系とでも言おうか。
 東京タワーの原型?

  公園には人通りがなく(小雨のせいか?)、”Avenue De Tourville”から”Boule VARD DES Invalides”に入った。
 小雨の中、傘もささずパリッ子たちが、カバンを手に学校帰りを楽しんでいるようだ。
 ”De SEVRES”に入ると、一転賑やかになる。
 ここで、何軒かの宿を訪ねるが、食事なしの素泊まりで、25~28フラン(1500~1680円)と高い。

  歩道に突き出たカフェテラスに人が集まっているのが見える。
 アテネと違って、オープン・カフェではなく、全てガラスで覆われているカフェテラス。
 雨の多い少ないで、カフェテラスの様相も違ってくる。
 食べ物はどれも高い。

  そこから”DES SAINTS DERES”を通り、セーヌ川に出て再び日本料理店に姿を見せるが、店の中は客でいっぱい。
 今日は土曜日と言う事で、満席なのだ。
 日本料理店をあきらめて歩いていると、”ナカヤマ”と書かれた免税店で、日本人に声をかけられる。
    免税店「どうぞ!入ってみませんか?」
    俺  「格好を見て声を書けたら・・・・。」
 免税店のおっさん、苦笑い。

  ”日本人の方、10%値引き”とか、日本文字の書かれたウインドーを持つ店の何と多い事か。
 レストラン”美紀”の看板が見える。
 中国系料理店も日本料理店に劣らず大きな看板が目をひく。

                 *

  ”Rue St Honore”を通って、サン・ミッシェルに戻る。
 ごご3時。
 六時間も急ぎ足で歩き回った為少し疲れた。
 背中に荷物を背負っていないと、これだけ足取りも軽くなるものかと、ビックリするほど今日は良く歩いた。

  昼食をとっていないので、本来ならどこかのカフェに入ってコーヒーでもと思う所だが、我慢、がまん、ガマン!
 サン・ミッシェルからメトロポリタンに入るが、来た時とは違う所らしくちょっと迷ってしまった。
 近くにいたフランス娘にメトロのことを聞いてみるが、自分も良く知らないらしく、メトロの地図を広げ覗き込む。
 なかなか親切なパリジェンヌだ。

  言葉が通じれば、カフェにでも誘う所だが、いかんせん言葉が・・・・。
 残念だがお礼を言って握手をして別れる。

  ”O’DEON駅”で乗り換えて、オーステルリッツ駅でまた乗り換えて、チョイシ-駅まで戻る。
 どうやら、オーステルリッツ駅~チェルシー駅の地下鉄は、ルートが違っているようだ。
 地下鉄なのに・・・・地上を走るメトロ。

  何とかやっと、チョイシ-・ル・ロイ駅に戻り、フランスパンでも買っておこうと思ったが、土曜日の午後で何と店は閉まっている。
 ユースに戻ったのが、午後三時半。
 何と部屋は閉められたまま、入る事が出来ない。
 ええッ!入れない???
 何で!!

  ここで働いている日本人にたずねる。
    従業員「午後4:00~43:00まで掃除の為、中に入れない。」
    俺  「冗談でしょ?」
    従業員「ここはユースだから・・・・壁に貼ってあるメモは良く見ておいたほうがいいですよ。」
    俺  「それは、それは、ご親切に!」
 くそ!頭に来た。

  仕方なく、ロビーで時間をつぶす。
 もう一度、地図を見ながら書き物をしていると、同室の彼が帰って来た。
    彼 「パリ~リスボン間、259フラン(15540円)。」
    俺 「・・・・。」
 時刻表を見せんがら説明を始めたかと思うと、”愛のコリーダ”の無修正版は何処そこで見られるなどと、情報を教えてくれる。

  その彼明日の夜、パリを発ってマドリッドに向かい、そこで正月を過ごしてから、モロッコからアルジェリアに入り、船でイタリアに上陸、アテネを経由して中 近東に入る予定だと、良く喋る。

  午後七時から夕食を取り、今ロビーでこれを書いている。
 午後9時新しい日本人旅行者が一人チェックインをしたようだ。
 ユースに戻ってみて、部屋が三階の650号室に、俺に相談もなく変っていた。
 そこには彼も一緒らしく、今日チェックインしてきた日本人も同じ部屋、六人部屋の三つのベッドが日本人ばかりで埋まってしまった。
 パリに入って、二日目が過ぎようとしている。
 パリの街も、メトロも、もう俺のもの。
 明日は日曜日。
 曇っててもいいけど、雨さえ降らなければ、今日よりも楽しい一日を過ごすことが出来るだろう。

     俺 「おやすみなさい!」

                 *

           ≪収支≫

      *ユースホステル代: 32フラン(1920円)

      *メトロ:チョイシ-・ル・ロイ~サン・ミッシェル: 2.2フラン(132円)
           サン・ミッシェル~オーステルリッツ  : 2.2フラン(132円)
           オーステルリッツ~チョイシ-・ル・ロイ: 2.2フラン(132円)


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