バックパッカーの旅Ⅱ(欧州~北アフリカ~欧州~日本)

バックパッカーの旅Ⅱ(欧州~北アフリカ~欧州~日本)

ユーレイル・パス、ゲット!



  映画館を出るともう外は真っ暗闇。
    彼「東川さん、ありがとうございました。こんな映画観られるなんて思ってもいませんでした。良かったです!一つ土産話が出来ました。」
    俺「そうですか。」
    彼「お礼に、ユーレイル・パス譲りたいんで、ホテルまで来てくれますか!」
    俺「えっ~~。」
    彼「ヨーロッパ内でしたら何処までもフリーパスで乗れますから・・。」

    俺「そんな物、貰って良いの!」
    彼「僕、どうせあさってパリを発ちますから、不要なんです。勿体無いですから、使って下さい。」
    俺「そう。ありがとう!」
 彼が泊まっているというホテルへ向かった。

  彼の泊まっている辺りをカルチェラタンと言って、日本でもお馴染みの地域である。
    彼「この辺りなんですけどね・・・・・。」
    俺「あのねー!じぶんの泊まっているホテルの場所も分かんなくなっちゃったの。」
    彼「昨日も迷ったんですよ。」
    俺「しかし、無理もないか。こうも暗いとさっぱりわかんないよな。」

  あっちだ、こっちだ、といって探し回るがさっぱり見つからない。
 ・・・・・・・・。
 やっとの思いで見つけると、何のことはない、地図に印を入れてた場所が間違っているではないか。
 これでは・・・・見つからないはずだ。
    俺「しっかりしてくれよ!」
    彼「すみません!」
    俺「いくらなの?」
    彼「一泊25フラン(1500円)で素泊まりです。」

  部屋は広くきれいだ。
 ダブルベッドが二つと、トイレ・シャワー、おまけにバスタブまでついている豪華版なのだ。
 外見のみすぼらしさとはかけ離れて、素晴らしいホテルに住んでいる。
 日本の場合、外見ばかり良くても中へ案内されるとひどいと言うのが定番だが、ヨーロッパは石の文化のせいか、外見より中身に金をかけれると言う利便性があるようだ。

    彼「このユーレイル・パス、十二月十日まで使えますから。」
    俺「ありがとう!助かるわ。本当に貰って良いの???」
    彼「でも、捕まんないで下さいね。」
    俺「日本人はどれも同じ顔に見えるらしいから大丈夫やろ。ほな貰っとくわ!」
    彼「ヨーロッパの冬は寒いですから気をつけて旅してください。」
    俺「列車をホテル代わりにでもするわ!」

                    *

  暫く彼と話をして別れる。
 メトロに乗り、SNCFに乗り換え、ユースに戻ったのが午後8時10分頃。
 一時間ほどかかってしまった。
 ユースに着いて、早速食事をと思ったのだが、午後8時で食事タイムが終了。
    俺  「なんという事だ。」
    ユース「ダメ!八時を過ぎましたから。言ってあるでしょ!」
    俺  「10分だよ??」
    ユース「決りは決まり!」
    俺 「何とかしてよ!」

  なんという事か!
 途中で夜食用にとフランスパン(1.1フラン≒66円)を買ってきてたとは言え、これでは俺の腹の虫が納まらない。
 暫くやり取りしていると、五月蝿くなったのか、やっと食料を袋に詰めて持たせてくれた。
    ユース「今度だけですよ!」
    俺  「恩にきます。」
 必要以上に頭を下げる。
 粘り勝ち。
 ファンタ・パン・バター二個・デザート・りんご・ポテトチップ一袋が今夜の夕食だった。
 部屋に戻って食事をすまし、シャワーを浴びるともう午後9時30分。
 日本人が一人去ると、一人がまた入ってきた。
 今日の午後は、パリに到着して初めて日が射した。
 ずっと日が射していたかどうかは、映画館に入っていたので分からないが、夜になって月と星がこうも鮮やかに輝いているのを見ると、たぶんそうだったのだろうと推測してしまう。


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