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バックパッカーの旅Ⅱ(欧州~北アフリカ~欧州~日本)
笑顔の可愛い、アンドレアに出会った
青年「着いたよ!アルジェシラスだ!」
隣で眠っていた青年に起こされる。
十二月九日の朝だ。
俺 「グラシャス!」
外はもうすでに明るくなっている。
駅構内の時計は、10:10を指していた。
”Algeciras Rilla”駅。
小さな駅だ。
ここからモロッコへ行くには、”Puerto(港)”へ行けという。
駅の横にあるBarに入り、朝のコーヒーを一杯(15Pt≒70円)啜る。
りんごを(40Pt≒190円)買って外に出て、駅員に尋ねた。
俺 「Puertoへは、どう行けば良いんですか?」
駅前の左右に伸びている道を右に歩き出す。
駅前には、団地のような住宅がいくつもあり、その住宅街をぬって歩くと”Puerto”に出ることが出来た。
何のことはない、”Puerto”とは、港の事だったのだ。
途中、いくつかのホテルがあり、一番汚そうなホテルに入る。
入ると、スペイン女性らしく太ったおばさんが出てきて、スペイン語で喋り捲るもんだから、ポカーン!としていると、中からそこで働いているのか娘がやってきて、片言の英語で話し掛けてくれた。
娘 「お泊りですか?」
俺 「ええ!」
娘 「お一人ですか?」
俺 「そうです!空いてますか?」
娘 「空いてますよ。一泊、125Pt(600円)ですが良いですか?」
俺 「OK!」
商談が成立すると、娘さんに案内されて、三階にある部屋に通される。
この娘、このホテルの娘なのか、単なる従業員なのか分らないが、なかなか愛嬌のある子なのだ。
ひょっとして、ポルトガルの娘かもしれない。
そんな雰囲気をもっている娘なのだ。
部屋に入るとすぐ娘が、ベッドメイクをし始めた。
歌を口ずさみながら、ベッドメイクを終えると、部屋の掃除を始める。
”チップが欲しいのかな?”
なかなか出て行こうとしない。
良く見ると、なかなかチャーミング。
六ヶ国語の携帯用辞書を取り出し、スペイン語を見ながら話し掛けた。
俺 「あなたの名前は?」
娘 「アンドレア!」
俺の方を向きながら、はにかんで答えた。
言葉が通じるという事は、お互いの心を開かせると言う意味で素晴らしい。
俺 「セニョリータ・アンドレア!」
娘はもう一度うなずいて見せた。
建物は結構古いが、掃除が良く行き届いている、小奇麗な部屋になった。
ドアの鍵を閉めるのにも、開けるのにも、少々要領がいるほどガタがきている建物には違いない。
俺 「アンドレア!この街の地図はありますか?」
アンドレア「この街は小さいから、そんな物要らないよ!」
そうかもしれない。
このホテルは、駅と港のほぼ中間にある路地の中にあって、他にもいくつかのきれいなホテルとかペンションなどがあるのだが、少し良いホテルになると、一泊200~300Pt(960~1450円)する。
*
ホテルの名前は、”Hozta・RVA”。
住所:C11、Ouzto 6 Algeciras。
早速、部屋に荷物を置いて港に出てみる事にした。
一歩路地をでて、港に行くと大きなビルが建ち並び、青い空・青い海、そして夏のような暑い陽ざしが降り注いでいる。
港の近くにある広場に行くと、午前中だけ開かれていると言うバザーを見つけることが出来た。
牛肉・野菜・果物・土産物・宝くじetcと、ありとあらゆる物品がかなり安く売られているらしく、午前中は地元の人たちでごった返している。
人の流れに乗らないと、前に進めないほどの人込である。
革靴もかなり安い。
バザーから駅に向かって真っ直ぐ歩くとレストランを見つけた。
ちょっと面白いレストランで、コンテナのように箱型の形をしている。
昼食をここで取る事にした。
≪肉とポテト・パン二つ・コーラで81Pt(390円)≫
港のBarのカフェが25Pt(120円)で、駅前のカフェが15Pt(70円)と、すぐ近くで値段が違っているのも面白い。
港から見える景色も、コーヒー代金に入っているのかも知れないが。
マドリッドと違い、ミリンダ・ジュース、一リットルが33Pt(160円)と安いのだ。
その上飲んだ後、空瓶を返すと10Pt(48円)も返って来るのだから、実質23Pt(110円)と同じである。
*
バザーの中にある”CAMBIO”(銀行)に入って、両替を済ませる。
≪20US$≒1311Pt≫
一ドル≒68.3Ptなのだが、手数料を引かれて、手元には1311Pt(6290円)残る。
かなりの手数料を取りやがる。
闇やでもいればいいのだが、なかなか遭遇しない。
銀行で両替を済ませるとすぐ、バザーの人込に紛れ込み、目をつけておいた火縄式のライターを、10個ほど手に入れようと交渉に入った。
店頭には、一個30Ptと50Ptのが並んでいる。
俺 「10個まとめて買うから、200Ptに負けてくれないか?」
店の親父「10個なら、350Ptだ。」
俺 「200Ptなら買うよ!」
店の親父「300Ptだ。」
俺 「200Ptだ。」
店の親父「じゃあ、やめろ!これまでしか、まけられん!」
俺 「OK!じゃあ、250Ptで良いよ!」
店の親父「NO!300Ptだ。」
俺 「はい!250Pt。」
と言って、250Pt札を出すと、渋々親父は受け取った。
親父 「OK!」
俺 「ありがとう!」
一個120円で手に入れることが出来た。
六年前、ヒッチの会長が一個50円で買ったという事だから、安いのか高いのかわからない。
まけさせたようで今頃、親父は笑っているかも知れない。
”今だと、250円ぐらいするんじゃない!”
と、ギリシャで会長が言っていたのだから、掘り出し物かも知れない。
誰にも分らない。
午後一時になると、バザーは閉店するらしく、午後同じ広場に行くと品物を並べる台が、あっちこっちに置かれているだけの広場と化していた。
あれだけ賑わっていた人たちも、何処へ消えたのか、何人かのおばさんが通り過ぎるだけの、静かな広場があるだけだ。
午後に入って街中を歩き回り、街の様子がほとんどわかるほど、小さな町アルジェシラス。
港町である。
ホテルの近くには、中国だとか日本の品物を扱っている店もあって、(バザール・ヤポン)とか(Hong Kong)と書かれたバザールがいくつかあった。
(TOKIO)なんてのもある。
アンドレア「空手知ってる。」
アンドレアが笑う。
こんな田舎町にも日本の空手が鳴り響いているとは、先人の努力はいかばかりか、驚いてしまう。
夕食は、パン・サラミ・レチェ(牛乳)で済ませる。
英語はアンドレア以外、ほとんど通じず、ミルクをくれと言ってもほとんどダメ!
ブレッドと言うより、パンで通じる場合もある。
夕方久しぶりに、シャワーを浴びた。
少し暖かいかなというぐらいのシャワーではあるが、このくらいで気持ちいい。
午後十時にはベッドに潜り込む。
久しぶりの揺れないベッド。
ベッドは柔らかく、ずいぶんと深く身体が沈んで行く。
少し冷え込んできたようだ。
”お休み!”
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