捏造された聖書(バート・D・アーマン著)について
著者のアーマン氏はノース・キャロライナ大学の宗教学部長で聖書に関する学問では世界的な権威者です。その権威者が徹底的に調査した結果、聖書はかなりの部分で捏造されていると断定しております。アーマン氏は若い時に聖書は神のことばとして夢中になって暗記できるほど勉強したそうですが、今は覚めた目で聖書を見ているとのこと。主に新約聖書のことを論じています。
新約聖書の最初の福音書はイエスの死後40年たってからマルコによって書かれています。その後西暦300年ころまではキリスト教は内部的に混乱期で、イエスの生涯やイエス自身に関しては確定したものは何もなかったとされています。つまり「イエスは処女から生まれてはいない」「イエスは死んだのではなく仮死状態であった」「イエスは人間であり神の霊が宿ったのだ」「イエスは人間のように見えたが神であった」「イエスがハリツケになるときに神はイエスの体から抜け出したのでイエスは捨てられたと思った」とか現在確定しているイエス像とは全く違う意見が同じキリスト教内部にあったということです。当然ながら宗派が乱立していく訳ですが、最終的に生き残った優勢な宗派が聖書を自分達の都合の良いように書き換えてきたという訳です。つまり、聖書は神の「ことば」ではなく人間の「ことば」であるということです。
今のキリスト教の中には聖書の一字一句をそのまま信じている宗派が多いのですが、このことを知ったら精神的ショックは大きいでしょう。
ただこの本ではキリスト教を根底からひっくり返すような話は控えめに書かれています。たぶん著者はキリスト教に気を使ったと思われます。地動説を唱えたガリレオのように自宅軟禁にはなるのは嫌だったのかも。
別の本(「あなた死なない」)では「聖書の中に輪廻転生のことが書かれていたものが皇帝の権威を損なうということから意図的に聖書から削除された」と述べられています。皇帝の前世が奴隷では困るということです。このことはこの「捏造された聖書」の本では触れていません。キリスト教は輪廻転生を否定していますので、これを提起すれば由々しき問題に発展してしまいます。
また、以前のブログでも触れましたが「魂の命が永遠や否や」という問題ですが、キリスト教ではイエスを信じたものだけが永遠の命を持つとされていますが、どうも私はこれも捏造のような気がしているのです。イエスがそのようなバカなことは言わないと思うのですが「買いかぶり過ぎ」でしょうか。もしこれも捏造だとすればキリスト教は根底から崩れます。詳しくは5月31日のブログを参考にしていただければ幸いです。
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