アントレプレナー塾長 「大人の探検隊日誌」 夢のソーシャル・アントレプレナー            

アントレプレナー塾長 「大人の探検隊日誌」 夢のソーシャル・アントレプレナー            

プロジェクトX


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               第5号
              ★★★★★★★ 
      「見方が変わる!『超』マーケティング発想法」
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  ●発行責任者:アントレプレナー塾 塾長 三丘 大詩
 読者数:857名
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【はじめに】☆★☆★☆★☆★☆★―――――――――――――――――――
 こんにちは!みつおかです。記事の抜粋ではなくやはり私が感激したフィー
ルドネタで行きましょう。松下のHPを見ていて「コツコツ洗って43年」と
いう面白い開発物語が載っていました。偶然、プロジェクトXが違う角度から
それを取り上げてました。今回は永い永い商品開発を素材にします。 

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◆◆◆◇◇◇◇◇NHKプロジェクトX10月12日より◇◇◇◇◇◇◆◆◆
            「石の上にも43年」
          国産食器洗い乾燥機開発物語
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●売れなくても売れなくても、ただひたすら一つの物を開発し続けた男達がい
る。一人去り二人去り・・・、そして開発して40年目に始めて売れ出した。
絶対に売れるという男の信念があったからこそやり遂げられたのであろう。
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▼アメリカ60%、日本10%。この数字は何の数字か分かるであろうか?
日米の食器洗い乾燥機の普及率である。ちなみにアメリカでは食洗機は1860年
に発明された。国産初の食洗機は松下電器から1960年に発売された。まったく
売れなかった。米国の物真似で、デカ過ぎた。日本特有の汚れが落ちなかった。
主婦雑誌に「愚劣な商品、主婦をなめるな!」とまで書かれた。

▼ラインは片隅に追いやれ、細々とオーストラリアの輸出用に日産数十台が手
作りされた。八年後「オバQ」の相性の卓上型が発売された。これも売れなか
った。音が大きく、やはり汚れが落ちなかった。米国と違って、こびりついた
米粒、卵の黄身、カレーの油が三大おちにくい汚れだった。

▼昭和55年六百人の技術者が入社した。その内の一人、谷口は小学生のときか
ら発明を夢見ていた。配属先は社内で聞いたこともない食洗機であった。まと
もなラインもなく、製造の人達はもっと忙しいラインに借り出された。別名「
応援隊」と陰口を叩かれてた。ラインの才脇は他のラインでコキ使われた。い
つかは食洗機のラインを花形にして他のラインから人を借りてこようと思った。

▼谷口は途方に暮れ、馬鹿でかい食洗機を台車に乗せて家へ持ちかえった。新
妻の千恵子に試してもらうためである。妻はこれを見て腰を抜かした。「こん
なに大きいの、置くところがないやん!」仕方なく三勤交代の看護婦をしてい
る妻が使うと、「便利やん、使えるヤン」と言った。谷口はこの一言で夢が膨
らんだ。「これは売れる。ヒット商品を作ろう」と決意した。チャンスが巡っ
てきた。洗濯機の売り上げが落ち、59年秋、食洗機に大型開発命令が下った。

▼60度のお湯を使い、しかも独自の洗剤を開発することによって頑固な三大汚
れは落ちるようになった。しかし、四人分の皿を収容するには食器を二段にし
なければならなかった。噴射するお湯の角度を工夫しても一段目の皿に当って、
二段目のコップにお湯がいかなかった。開発期限はとうに過ぎた。みるみる谷
口の頬はこけていった。家でも口を聞かなくなった。

▼見かねた千恵子は勝手にテニススクールを二人分申し込んだ。嫌がる夫に「
今のあなたには仕事を忘れる時間も必要」と言った。夫が大学時代テニスをや
っていたのを知っていたのだ。休日テニスに没頭するようになった。ボレー・
ボレーを見ていて谷口はハット閃いた。ボールを噴射するお湯にラケットの面
を皿に見たてていたのだ。「皿に一度当ててから、反射してコップに当てれば
いいやないか!」さっそく、試してみた。意外なほど、うまくいった。

▼サイズは小型の45cm角、洗える食器は四人分。「食べるのはみんな。洗う
のはひとり?」広告のコピーも決まった。本格的卓上食洗機として次々にライ
ンから出荷された。流通も喜んだ。しかしすぐに、返品と在庫の山となった。
台所には蛇口が一つしかなかったのである。開発者は洗う時だけ台所のそばに
置いてホースでつなぐと思ったのだが、消費者はそんなことはしてくれない。
二股蛇口の開発が急務だったが、蛇口の種類は数百種あった。結局販促の楚田
が町の水道屋職人と共同で一つ一つ時間をかけて開発していくしかなかった。

▼谷口はまたしても敗北を味わった。やることはやったのに・・。独立採算性
となり、ラインの人間は赤字を埋めるべく営業に出された。しかし売れなかっ
た。この原因を探るべく生の消費者の声を聞くことにした。ダミーモデルを抱
えて行脚訪問調査をした。結果に谷口は愕然とした。十五軒中、置けたのはた
ったの二軒。置けるスペースはシンク脇の三十センチの隙間だった。しかも下
に開く扉が水道の蛇口にぶつかることも分かった。角張った形は圧迫感がある
との生の声も聞けた。開発陣に始めて具体的なイメージ目標が定まった。

▼開発は困難を極めた。何度も壁にぶちあった。責任者となった谷口は若い技
術者に言った。「仕事には休むことも必要。たまにはリラックスしろ」。そし
て担当者は、旅先の観光バスの開閉扉にヒントを得た。ある技術者は子供を公
園に連れていき、芝生に満遍なく水を播くスプリンクラーに噴水口のアイデア
を見出す。分水機構の発明により、節水も可能となった。ついに平成十一年に
卓上食洗機「これなら置ける」が完成。これはヒットした。発売から二十六年
の累計販売台数が十三万台だったのに、いきなり一年で十万台以上が売れた。
一号機から数えて四十年が経っていた。

▼現在、食洗機市場は百万台売れる有望市場となった。社内でも、今では三百
人以上が働く花形ラインである。かつての「応援隊」才脇の夢がかなったのだ。
才脇は休憩時間にはじめたことがある。鉄棒である。定年まで自分の手で食洗
機を作りつづけるためである。彼は食洗機を「ほんまに可愛い奴ですわ!」と
言う。谷口は今では花の洗濯機の開発責任者となった。千恵子は毎日洗濯機の
試作機でテスト洗濯をしている。「今では洗濯の出来不出来を伝えることが夫
婦のコミュニケーション」と千恵子は微笑む。誕生から実に四十三年の歳月が
流れていた。

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【 みつおか流料理のツボ 】☆★☆★☆★☆★☆★―――――――――――
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●どうです? 中嶋みゆきのテーマソング「地上の星」が聞えてきましたか?
石の上にも四十三年。食器洗い乾燥機、百万台への死闘。継続は力なりです。



▼課題を次々に克服していったが、売れなった。「すべての答えは顧客にあっ
た」のである。開発者たちが考えていた消費者ニーズやワォンツは微妙にずれ
ていた。実際の台所に持ち込んで、現場を観察し、生の声を聞くことで、ブレ
イクスルーができたのである。開発者には耳の痛い話だ。原点に戻って謙虚に
耳を傾けてみよう。そこにヒントが隠されている。

▼イヤー、頭が下がる。開発から四十年目にしてはじめて売れたのだ。男達の
信念と執念。谷口がこれは売れると確信したのは「使えるヤン」という妻の一
言であった。人間どんなに自信があっても時には不安になるものである。そん
な時、励ましてくれるパートナーの存在は偉大である。「成功の影に良き理解
者あり」である。どうです? そんなパートナーいます?

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【今週のみつおかひろしの薀蓄】☆★☆★☆★☆★☆★――――――――― 
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●【大きなヒラメキを得るにはとことん考え、リラックス】
 時として大きな閃きが湧くことがある。偶然ひらめきを得ることを専門用語
で「セレンディピティ」と言う。最近の研究では、とことん壁にぶつかるまで
考えぬき、そしてそれが熟成するまでじっくり待つ。その際にリラックスが必
要だと言われている。お風呂、散歩、旅行、本の乱読などが有効のようだ。噂
によると小泉首相の天才的人事は、一人寂しくクラッシック音楽に耽るときに
閃くと言われている??? あなたも部屋を暗くして試してみては・・・。

●【主婦の心の壁をそっととってやるには大義名分が必要】
 食洗機を「・・したい」というワォンツと「・・しなければ」というニーズ
で分析すると、洗い場から開放されたいという潜在的なワォンツは高いが、買
わなければというニーズが極めて低い。なにも手で洗えるのに大金を出して買
わなくてもという後ろめたさが主婦にはあったのだ。この呪縛を解く大義名分
が必要だったのだ。それが「節水」だった。手洗いの七分の一の節水、実はこ
れが大ヒットの大きな要因となったのだ。深刻な水不足を抱える松山市が食洗
機を購入すると二万円の補助金を出すという政策も追い風となった。

●【信念は願望実現の原動力】
 『成功哲学』で世界のトップ経営者に今なお影響を与えているナポレオン・
ヒル博士の言葉を引用しよう。
 「失敗の原因は、一時的な敗北にあまりにも簡単に“あきらめて”しまうこ
  とである」

●【今週の一言】サン・テグジュペリ『星の王子さま』より

 「心で見なければ、物事を正しく見ることができません。
  目で見えないことが一番大切なのです」


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★☆☆☆☆☆  <<みつおかひろし の編集後記>>  ☆☆☆☆☆★
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■■■■猛反省!□□□□
■■■  第四号のメルマガについて大先輩からお叱りのメールをいただいた。
■■  内容は「今までの三つに比べて切れがない」「文がこ慣れていない」
■ 「ひょっとしてお疲れでは・・」であった。当っていただけに相当答え
  た。前回は新聞記事の抜粋・引用だったので書いていてもワクワクしなか
 った。ハイ、多いに反省してます。次回もフィールド・ネタで行きます。街
で見つけた、意外性の居酒屋や料理屋でもいっちょ、やりますか??? 是非
お友達にも一声! エッ、まだ読んでないの? 「超・マーケィング発想法」

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