アントレプレナー塾長 「大人の探検隊日誌」 夢のソーシャル・アントレプレナー            

アントレプレナー塾長 「大人の探検隊日誌」 夢のソーシャル・アントレプレナー            

小笠原公爵邸


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                第13号
               ★★★★★★★★ 
       「見方が変わる!『超』マーケティング発想法」
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  ●発行責任者:アントレプレナー塾 塾長 三丘 大詩
 読者数:916名
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【はじめに】☆★☆★☆★☆★☆★―――――――――――――――――――
こんにちは。みつおかです。昨日、慌てて吉野家の牛丼を食べにいきました。
業界4位の中卵に続き3位のすき屋も牛丼の販売中止です。残るは松屋と吉野
家。食べられないとなると、何故か妙に食べたくなるのですよね。吉野家の味
付けは穏やかなので決して美味しくないのです。が、濃くない分飽きがこない
、また食べたくなる上品な味付けです。ところで代替品の焼き鳥丼、中国やタ
イからの輸入が多いと言われてますが、大丈夫ですかね。そこで学生の頃から
食べ親しんでいる吉野家に提案です。いっそのこと、とびきり上品な特製国産
牛丼を580円位で売り出したらどうですかね。そうすれば、客単価もブラン
ド力も上がるのでは?どうです。焼き豆腐と長葱、白滝なんかもいれて・・。
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◆◆◆◇◇◇◇◇◇◇◇◇ 歴史的建造物を見直す ◇◇◇◇◇◇◇◇◆◆◆

        貴方は今流行のピンチョスを知ってますか?        
         「朋、遠方より来る。亦楽しからず哉」 
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●アメリカに住んでいる親しい友人が一時帰国した。昨晩、学生時代親しかっ
た紳士淑女四名が集まってお祝いの会を開いた。今回は急遽そのレストランを
取り上げよう。では、不思議な「縁」で結ばれた世界にタイムスリップ・・。
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▼このレストランはお任せのみである。メニューは月代わりで十二回変わる。
洒落た縦長のメニューカードを覗く。最初のアミューズは「チョリソー饅頭」
と印刷されている。それって何? ここはお皿まで凝ってる。巨大な正方形の
大皿が敷き皿となり、その上に大きな丸いプレーン皿。特注で食器を焼かせて
いるのだ。ワクワク!期待が高まる。小さな丸い皿が運ばれてきた。その上に
ぴょこんと白い饅頭が載っている。確かに中にはチョリソーのみじん切りと野
菜類。ちょっと意外な1品だ。お次は細長い長方形の皿に、縦2cm、横6c
m位の青身の寿司が載っている。脇に1cm円のソースが添えてある。メニュ
ーを見る。「ひしこいわしのマリネ・シードルビネガー風味とフレッシュリン
ゴ」。なるほど、ベースがりんごその上にいわし。表面は透明なゼラチンの薄
い皮。ソースのりんごの発泡酒から造ったシードル酢に絡めて口に放り込む。
酢で締められたいわしをりんごの甘い風味が包み込む。魅惑のひとときの幕開
けである。ソムリエに頼んで料理に合うスペインワインにしてもらった・・。


▼このあと10皿が次々と運ばれてくるのだが、詳しくは私のHPの日記をご
覧あれ!では、話をもとに戻す。昔、若松河田町の裏通りに通称、幽霊屋敷が
あった。空き地に草は伸び放題、鉄筋2階建ての洋館は見るも哀れな姿になっ
ていた。ここは江戸時代は小倉城主の小笠原家の下屋敷。小笠原家はその祖は
清和源氏である。甲斐巨摩群の小笠原村からはじまり、信濃の守護代、足利家
には馬・弓・作法など武家礼法の祖として仕える由緒ある家柄である。時代は
下り、大正十二年小笠原長幹伯爵は下屋敷を壊して時代の贅を凝らしたスペイ
ン様式の洋館を着工。戦後、アメリカ軍に接収される。その後東京都が買い上
げ、児童相談所として使われるが老朽化が進み三十年間放置される。ついに昭
和50年取り壊しの方針を都が決定する。

▼これには日本建築学会などの保存要望が出され、都も検討するが本格改修に
は十億円近い費用がかかると、頓挫。都も考えたものである。結局、民間の協
力を得て保存・修復する方式に変える。十年間無償で建物を貸し出す代わりに
補修を独自にやるというものである。平成十二年に一般公募となる。ただ、そ
の巨額の修復費用を考えると誰も応募しないのではと言われた。しかし、いた
のである。採算を度外視して歴史的建造物の復活を夢見た男が・・。

▼竹内秀夫である。彼はそのときのことをこう語る。「この館をはじめて見た
とき、私の頭に浮んだもの。それは映画『タイタニック号』のワンシーン・・
・。 ぼろぼろの姿で海底に沈むタイタニック号の次に映し出されたものは、
あの悲劇の直前のパーティでした。・・・・75年の歴史の中で、すっかり傷
を負ってしまった目の前の洋館で、当時小笠原伯爵がどんな素敵な晩餐会をし
ていたかと想像しただけで胸が高鳴り、私はこの館を甦らせ、みなさまが楽し
く集える場にする決心をしました」。そして、昨年6月に「レストラン小笠原
伯爵邸」として見事にスペイン様式の貴族の館が甦ったのである。

▼では、改めて紹介しよう。玄関前には制服姿のポーターが出迎えてくれる。
玄関脇にはクラッシックなガラスの電気燈が足元を照らしてくれる。中からは
優しい明かりに包まれた洋館がくっきりと浮びあがる。入り口の飾りガラスは
鳥がごが描かれている。玄関ホール天井のステンドグラスにも色鮮やかな鳩が
舞っている。小笠原邸には当時、多くの鳥が見られた。どっしりとした廊下を
進むとまず左手に旧ダインイングルーム。天井には荘厳なシャンデリア。オリ
ジナルルのテーブルが黒光りしている。そのお隣が旧リビングルーム。白く明
るい雰囲気に応接セットが置かれている。まるで映画の世界にタイムスリップ
したようだ。ここの右手がレストランの入り口になっているが、奥にシガール
ームがある。ここは絵葉書にもなっている唯一イスラム風の異空間である。

▼レストランの他に予約なしでいつでも使えるBARもある。この建物を使っ
た結婚式やイベントにも貸しだされる。パティオ(中庭)も絵になっている。
春からは野外のテーブルでランチを楽しめる。地下は会員制のワインセラー。
また、カルチチャースクールに部屋も貸し出してくれる。ここを借り切っての
パーティ、いやー、鹿鳴館時代にタイムスリップですな。シェフ、ホセ・パラ
オナ・ビニェス氏はカタルニャ地方出身のスペイン人。この人こそ、最近日本
でブームが起きている、ピンチョスを11年前に日本に紹介したその人である
。ピンチョスは日本流に言うと長い楊枝に刺した色とりどりの一口オードブル
。某有名女優がここで食べたデザート・ピンチョスに感激して方々のテレビで
言いふらしているので見た方もいるのかも知れない。

▼では、私の日記より引用しよう。・・・それは、デザートも終り、飲み残し
た赤ワインのため、フロマージュを頼んで満腹のあとであった。カプチーノの
お供にだされた。半月形の陶器に所々穴が空いており、そこに長い串が刺して
ある。その先には小さな雪ダルマが刺してある。キラキラした結晶の玉である
。中はうっすらとぼかしで赤く見える。口に含む。さっと白い雪が解けていく
。なんと綿飴を荒くしたものだったのだ。中は甘酸っぱいフランボワーズであ
った。イヤーよく食べた。スペインワインもよく飲んだ。そしてこの重厚な雰
囲気。紳士・淑女が集う隠れ家レストランである。独身の方々よ。いや、熟年
カップルも。どうです?バレンタインデートやホワイトデーデートにはタキシ
ードやドレスを着込んで非日常の演出をここでしてみたら・・・? ご予約は
1ヶ月前からですゾ!
    http://www.ogasawaratei.com/html/ 
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【 みつおか流料理のツボ 】☆★☆★☆★☆★☆★―――――――――――
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●どうでしたか?書き進めていた「どでかい男、凄い女シリーズ」を急遽変更
して昨晩の感激をそのまま素材にしてしまいました。先頃、美智子さまのご生
家白金・正田邸が地元の反対を押し切って取り壊されたのは残念です。一度取
り壊された歴史はもう、とり返せません。京都の町屋、横浜の赤レンガ、信州
・小布施など歴史建造物との共存の動きは嬉しい限りです。



▼去年の秋に某食品メーカーの役員と麻布十番の話題のイタリアンで会食した
。その時、グルメ話に花が咲いた。どこが隠れ家か?先方はこう言った。「箱
根のイタリアン・アルベルゴでしょうな?三丘さん、あそこで女性を口説けな
ければ男を止めた方がいい!」「エエ、そんなに凄いのですか?」なんでもそ
こは八年の歳月をかけ、調度品はすべてイタリアからの直輸入。しかも道は複
雑で行きつけてないと絶対に分からない山の中。「あのー、東京で無いのです
か?」「ありますよ。同じオ-ナーがやっている店でね。青山のバンブーです
」「エッ、バンブーってあの表参道のサンドイッチやさん??それなら、私、
学生時代にたまに使ってましたが・・」「そうそのバンブーのオナー・私の知
り合なんですがね、今度は貴族の館を復活させて6月からレストランをはじめ
たんですよ」。ヘェー、それなら行けるかも・・・?

▼早速、学生時代の友人達にその話をした。すると最近執筆業に忙しい女流作
家から、「知ってる。私も行きたかったのよ。みんなで行きましょう」。もう
1人の友人からは、「あそこの館はちょっとは関係あるんだよ。三丘も知って
るだろ、うちの姪。あいつが今、小笠原礼法宗家を継いだんだ」「えっ、それ
ってあの小笠原家??」そうなのだ。あの一子相伝で秘密裏に伝えられてきた
日本礼法の祖・小笠原流礼法である。前宗家第三十二代当主・故小笠原忠統が
三十三代に指名し、小笠原敬承斎を襲名したのである。小笠原礼法初の女性宗
家として注目を集めたのは当然だ。しかも今までお止め流として皇室、旧貴族
や一部の人にしか伝えなかった礼法奥義を分かりやすく一般の人々や世界に伝
える革新を引き起こしたのである。彼女はこう説く。「礼法といっても決して
決められたものではなく、相手や周りの環境などにより、TPOに合わせて、
その場に応じた的確な判断をすることの必要性が六百年前から日本の文化の中
で育まれてきたのでございます」と。そして、その小笠原伯爵家のお屋敷が、
戦後の変遷を経て今、レストランになって一般に公開されたのである。

▼がらっと話題を変えて、たまにはマーケィングの話もしよう。マーケティン
グにはライフサイクルという概念がある。どうもマーケはやたらに横文字が多
くていやらしいのだが・・。それは置いといて、簡単に言えば人の一生と同じ
で、商品の寿命をいくつかの時期に分けた考え方である。普通、導入期、成長
期、成熟期に分ける。これに衰退期を加えて四つに分ける場合もある。要は商
品の戦略立案や市場参入の際に役立つ考え方である。利益の観点から言うと、
導入期は多大な市場投資がかかり利益は出にくい。成長期前期は市場参入が多
く市場も拡大する。市場参入するには差別化や市場を特化して成長期後期が利
益が出やすいと言われている。しかし、アントレプレナーとして起業するには
、誰もが将来性がないと考える成熟期後期や衰退期が実は多くのチャンスが眠
っていると私は思う。

▼成熟期や衰退期の延命策として次の視点が重要である。1)コストの大幅削
減やスピードの短縮化、2)専門化やこだわり、3)新チャネルの開拓、4)
転用や別の機能付加による新しい意味づけなどである。特に2)から4)まで
は、組み合わせることによってさらに効果的となる。具体例で話そう。

▼堺の鉄砲や刀鍛冶の伝統産業はその技を転用して包丁メーカーや鉄工所とし
て生き延びた。しかし戦後斜陽産業となった。完全な衰退期である。その中で
シマノはその鍛造技術を活かしてスポーツレジャー自転車のパーツメーカーに
特化する。島野庄三社長は自分の作る商品を「昔、鍛冶屋が鉄をたたいてつく
ったのと基本的に同じローテクの商品」と言う。部品メーカーながら、変速機
とギアやブレーキなどの分野で世界ナンバーワンの競争力を誇る。しかも高級
自転車の市場が小さい日本から販路を世界に向けた。今ではその構成比は国内
10%、北米15%,欧州45%となっている。

▼輸送業も然りである。大和運輸の元会長・小倉昌男氏の講演を丸の内ブラン
ド・フォーラムで聞いた。大和は戦前は業界トップであった。しかし戦後の長
距離大量輸送の波に乗り遅れた。小倉は考え抜いた。何とか個人の1個の荷物
を運ぶことは出来ないだろうか?そして業界初の宅急便事業を立ち上げた。二
兎を追うものは一兎も得ず。誰もが喉から手の出るほどほしい松下産業の大量
輸送を丁重にお断りした。世界初の「宅急便」に賭けたのだ。社内からは猛烈
な大反対。賛成してくれたのは、労組の三役だけ。結果として昭和54年の輸
送部門の経常利益は5億円の赤字。大ピンチに陥った。それがバネとなって今
日の個人荷物輸送全盛が実現したのである。成熟輸送業の革命であった。小倉
氏はヤマトを引退し、今また福祉事業に賭けている。この辺の話はいづれ取り
上げたい。あくなき夢へ、チャレンジしているのである。

▼戦後の日本は「効率」を追求して、常に新しいものを是として成長してきた
。しかし今の日本は、確実に成熟期や衰退期に向かっている。この辺で少しば
かり立ち止まって視点を変えてみる必要があるのではないであろうか? 日本
人の心、技、文化、形の見えにくいものにこそ今後の生き方や進み方の大きな
ヒントが隠されているように思えてならない。心意気と形の美しさ。一見、無
駄に見えるものの中にこそ「無用の用」が潜んでいる気がするのだが・・。や
はり私が、人生の成熟期に入ったからこう思うの? 皆さんはどう思いますか
? 歴史に裏打ちされた古きものも、いいと思うのだがナー・・・。

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【今週のみつおかひろしの薀蓄】☆★☆★☆★☆★☆★――――――――― 
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●【マーケティング原理32】「成熟期、衰退期にこそ、大きなビジネスチャ
                          ンスが眠っている」

●【今週の一言】
 「時代により形は変わっていくものだが、その根底にある相手を思う心はい
  つの時代も同じである」   第三十ニ代 宗家、小笠原 忠統

 「小笠原流礼法の基本は、相手を大切にする『心』であり、その心をどのよ
  うに表現するかという手段が『礼法』なのでです」
                第三十三代 宗家、小笠原 敬承斎

 「やってみればわかる、やらなければわからない」
 「サービスが先、利益は後」  元ヤマト運輸会長 小倉 昌男  
   片平秀貴・古川一郎・阿部誠共著 東洋経済 『超顧客主義』より 

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★☆☆☆☆☆  <<みつおかひろし の編集後記>>  ☆☆☆☆☆★
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■■■■編集後記□□□□
■■■ どうでした? こんな伯爵の洋館で大切な人を誘ってみませんか? 
■■ 世界1のソムリエ、田崎真也さんによると、「日本の男性は女性に気を
■ 遣わない人が多すぎ、エスコートが下手なの」だそうだ。「まず、店に入
 る時から『勝負』ははじまる」とのことだ。ところで、貴方にとっての大切
な人とは? 私の場合は、もちろん嫁さんです。ハイ!頑張ります。

  ■【次回予告】
 次回は、ドでかい男・凄い女シリーズの復活です。地場の伝統産業を復活
させた台風娘をご紹介しましょう。凄い女性がいるものだ!乞う、ご期待。

●アントレプレナー塾 塾長 三丘 大詩(みつおか ひろし)
  http://plaza.rakuten.co.jp/hiroshi777
  http://www.h6.dion.ne.jp/~hiroshi3/index.html






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