アントレプレナー塾長 「大人の探検隊日誌」 夢のソーシャル・アントレプレナー            

アントレプレナー塾長 「大人の探検隊日誌」 夢のソーシャル・アントレプレナー            

ネスレのブランド


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                第19号
               ★★★★★★★★ 
       「見方が変わる!『超』マーケティング発想法」
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  ●発行責任者:アントレプレナー塾 塾長 三丘 大詩
 読者数:922名
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 【はじめに】☆★☆★☆★☆★☆★―――――――――――――――――――
こんにちは、みつおかです。春になったり、冬に戻ったりの三寒四温です。
花冷えとはまさにぴったりの言葉です。近くの國學院の桜並木を散歩していた
ら、ご両親に挟まれたスーツ姿の青年がにっこりポーズを決めていました。晴
れ着姿のお嬢さんもいました。卒業式です。ちょうど日曜日は晴れ。いい思い
出になるでしょう。お父さんの嬉しそうな顔が印象的でした。入学式の時まで
桜が待っててくれるといいのですが・・。
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◆◆◆◇◇◇◇◇◇◇  パワー・ブランドに学ぶ  ◇◇◇◇◇◇◇◆◆◆
        日経アソシエ3・16号 「ネスレ」より        
        東大・片平教授 GBRC森・主任研究員         
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●勉強仲間の森さんと片平先生の「世界トップブランド徹底解剖」シリーズが
日経アソシエではじまりました。今回のテーマは「ブランドはヒトがつくる」
を取り上げます。では、ブランドについて考えてみましょう。
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▼ネスレは、100ヶ国以上で8000ものブランドを展開する世界最大の食
品メーカーである。2002年度の売り上げ高は7兆2千億弱、従業員総数は
25万人に達する。ネスカフェ、マギー、ミロ、ブイトーニ、キットカット、
ペリエなど一流ブランドがひしめいている。世界のネスレのビジネス・パーソ
ンはどんなDNAを受け継いでいるのであろうか?

▼ネスレは1867年、創業者アンリ・ネスレが開発したベビーフ―ドで瀕死
の乳幼児を救ったのがはじまりである。ネスレのトレードマークは一貫して巣
の中の雛を育む親鳥の構図である。ネスレとは、創業者の名前であるとともに
小さな鳥の巣の意味を持っている。伝えつづけてきたメッセージは「Good Foo
d,Good Life」であった。セスレのCEOピーター・ブラベックによると「寿
命のないブランドはない」と言う。

▼その際重要なことは、消費者に気づかれないように企業はブランドの一部を
変えなくてはいけないと言う。CEO曰く「消費者との距離は常に一定に保つ
べきだ。消費者の動きにあわせて、ブランドのコンセプトや商品のあり方を動
かす。これがブランドを常に生かし続ける秘策だ」。ブランド――それは常に
変えつづけるものなのである。「安全性と信頼性」そしてプラス「革新性」。

▼スイス・レマン湖畔。ひっそりと小さなヴェヴェーという駅がある。本社と
逆方向に進むと近代的な建物と厳かなシャトーホテルが佇んでいる。ネスレの
研修施設リブレインだ。CEO自らがその教壇に立つ。受講期間は約2週間。
社員の特性に応じて70のコースを用意している。リブレインの研修に参加す
る社員は年間2千人。次代を担うリーダー達が世界から集められているのだ。
トップ自らがネスレの哲学を語りかけ、DNAの伝承をしていくのだ。

▼ここで教えるネスレビジネスに「60対40の原則」というのがある。ネス
レ商品は、発売前のブラインドテストで他社商品と比べ、最低60対40の割
合で高い点数を得られなければ発売できない。このほかにも添加物や着色料を
できるだけ使わない、高齢者に開けやすいパッケージにするなど世界共通のネ
スレの販売哲学を世界の社員の頭に叩き込むのだ。

▼CEOのブラベックは昔、パスタ・ブイトニーのブランドマネジャーをやっ
たことがある。1827年にジウリという一主婦が作ったブランドだ。何故彼
女がブイトニーを始めたのか書物を読み漁った。彼女はピュアリという小麦粉
の産地から6週間も牛車に引かせてデュラム小麦粉を調達したことが分かった
。最高の材料を得るためだった。これを知った時、どんなブランドを作ればよ
いかを理解できた。ブイトニーのブランドコンセプトを「イタリア人の食に対
する愛情」と定めた。

▼ネスレのCEOピーター・ブラベックはこうも言う。「ブランドマネジャー
はブランドに自分の軌跡を残したがるものだ。だが、それは非常に危険な行為
だ。マネジャーはむしろ、ブランドに仕えるものにならなければならない。そ
れにはブランドの歴史を知ることが第一だ」

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【 みつおか流料理のツボ 】☆★☆★☆★☆★☆★―――――――――――
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●日本にも昔から「暖簾」という言葉があります。古い商家には必ず家訓があ
ります。例えば「一つ、浮利を追うべからず・・」。一種の掟です。この教え
を守って結局はバブルの時も生き残った老舗があります。そして生き残る所は
、必ず、節目節目で、伝統の中に革新があります。



▼片平先生の主催するブランドフォーラムでネスレジャパンの代表者が講演し
たことがある。ネスレには数多くのブランドを「ブランドヒラルキー」という
優先順位に位置付けている。三角形の頂点に立つ世界戦略ブランドは、商品開
発や販売方法は決まっている。各国の法人は勝手に変えられないのだ。ヒラル
キーの下位に位置する商品については各国の自由度は高い。

▼片平先生は『パワー・ブランドの本質』の中で「パワーブランド九つの法則
」を説いている。パワーブランドには、夢がある。一貫性がある。革新的であ
る。主役は経営者である。日本モデルである。クラブ組織である。スパーカス
タマーがいる。エージングが起こらない。そしてパワーブランドは論理的であ
る。だから「共感」と「リピート・オーダー」を永続的に獲得しているのだ。

▼ブランディングという考え方は、人間にも当てはまるかもしれない。人間で
もいくつになっても夢があるヒトは素敵である。いつもチャレンジャブルであ
る。エナージーに満ち歳をとらない。一貫した主張がある人は魅力的である。

▼話は変わるが一昨年の秋、片平先生たちとできたばかりの丸ビル・モナリザ
で夜景を見ながら会食をしたことがある。食事が終りにさしかかった時、突然
片平先生が立ちあがった。本日、重大な決心をした人がいます。御紹介します
。そして森さんが立ちあがった。「本日私は、日本経済新聞社に辞表を出して
きました。昨晩、妻と話しました。妻はこう言ってくれました。『私は日経記
者と結婚したのではないの。森という人と結婚したのよ』その言葉で決心しま
した。でも、まだ何をやるか何も決まっていません」

▼そして拍手が巻き起こった。また一人が立ちあがった。「私は○○商事に勤
めていますが、来年新しい会社を興します・・・」また一人が立ちあがった。
「僕も広告代理店を止めてイタリアにサッカーを見に行きました。そして、今
新しい仕事を見つけました。一番難しいのは辞めると決心することです。1度
決心すればあとは乗り越えられます」。片平先生も立ちあがって話した。
 その森さんが独立してバリバリ仕事をこなしている。片平ブランドや森ブラ
ンドはさらに輝きを増したようだ。
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【今週のみつおかひろしの薀蓄】☆★☆★☆★☆★☆★――――――――― 
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●【マーケティング原理27】「ブランド構築を意識せよ。ブランドは永遠の
                                財産」

●【今週の一言】
 「ブランドの育成とは、人間が全身全霊を込めて成し遂げる“業”なのだ」
   東京大学教授 片平 秀貴 『パワーブランドの本質』ダイヤモンド社

 「自分の思いを、自らの言葉で伝えることが経営者の大切な仕事だ」
                  ネスレ前会長 ヘルムート・マウハー

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 ★☆☆☆☆☆  <<みつおかひろし の編集後記>>  ☆☆☆☆☆★
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■■■■編集後記□□□□
■■■ どうでしたか? 知り合いの記事を素材にするのは結構、書きにくい
■■ ものですね。 

    ■【次回予告】では、来週は日本の暖簾、京都のお茶屋文化を素材にしましょ
う。商いの原点が見えます。日本のブランドの原点です。 

●アントレプレナー塾 塾長 三丘 大詩(みつおか ひろし)
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