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2008.02.21
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カテゴリ: 欧米露の本
 角川文庫。1983.9.20初版。1978.4.20第9版。

 サドの短編小説集。
 宗教を否定してはいるが、欲望のままに生きることを肯定しているわけではない。
 その結果不幸になることだってあるし、かえって幸福になることもある。
 世の中、理論の通りにはならないのだ。
 真実はそれぞれの人間の中にある。
 肉体を描いているようであって魂を描いているのであるが、その方法が過激なのである。

 収録作品
「ファンクスランジュ あるいは 野心の罪」
「ロドリグ あるいは 呪縛の塔」
「オーギュスチィヌ・ド・ヴィルブランシュ あるいは 恋のかけひき」
「寝取られ男 あるいは 思いがけぬ和解」
「司祭になった男」
「ロンジュヴィルの奥方 あるいは 仕返しをした女」
「二人分の席」
「プロヴァンス異聞」
「哲学者の先生」
「復讐」
「エミリー・ド・トゥールヴィル あるいは 兄の惨酷」
「司祭と臨終の男との対話」

 訳文が凝っている。
ゴエ氏は平静に見せようと努力する。自制する。従妹の手に接吻を与えると、失意の気持ちをいだいて、家を出る。(p16)

というところなど、原文がどうなのか知らないが、読ませる訳文である。
 もともとが古いものなので、訳文もそれにあわせたものか古い言い回しが目立つ。
 たとえば「恋のかけひき」には、「宗旨変え」「初物《はつもの》」「こすっからい」「手入らず」「つと立ちあがり」「こよなく」「男を見やりつつ」という表現が出てくる。
 訳者にとっては自然な表現だったのかもしれない。

・「刺[月各]《しらく》」(p173) 腕から血を抜くこと。治療法でこういうのもあったというのを何かで読んだような気がする。ただし、ここでは治療ではない。
・「譫言《せんげん》」(p223) 「うわごと」のこと。音読みではあまり見られない。
イエスがマホメットよりすぐれているのでもなければ、またマホメットがモーゼより優れているのでもなく、はたまたこれら三者が孔子より優れているというのでもないんです。なにしろ孔子は、前の三人が屁理屈をこねまわしていた間に、まがりなりにもある善訓則を口授していたのですから、それだけましと言うべきでしょう。(p228)

 18世紀にすでにフランスでは孔子の言葉が知られていたらしい。

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Last updated  2008.02.21 10:31:25
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