会計:固定資産(1)

1. 固定資産の意義と分類
1.1 固定資産の意義と分類

 固定資産は、一年以上の長期にわたって、企業の中で生産や販売など事業活動に使用される資産、と一般的に定義されます。
 これは、企業会計の『一年基準(ワン・イヤー・ルール)』および『営業循環基準』から見て、投下資本の資金の回収が1年以上の長期にわたる点に着目した特徴を表しています。

 固定資産は、その内容を下のように、有形固定資産と無形固定資産、投資等に分類されます。

有形固定資産
建物 暖房、照明、通風などの付属設備を含む。
構築物 橋、岸壁など土地に定着する土木設備又は工作物。
機械装置 コンベヤーなどの輸送設備やその他の付属設備を含む。
船舶 水上運搬具を含む。
車輛運搬具 牽引牛馬を含む。
工具器具備品 耐用年数1年以上で相当価額以上のものに限る。
土地 社宅敷地、農園などの経営付属用の土地を含む。
建設仮勘定 建物などの有形固定資産を建設する場合において、そのものの完成するまでに発生した請負代等の原価を集計保留する科目。
その他 その他の有形固定資産で流動資産又は投資に属さないものも有形固定資産に含む(例えば山林および植林、航空機など)
無形固定資産
所有権以外の物権 借地権(地上権および賃貸権)、鉱業権(試掘権および採掘権)、水利権、ダム使用権、漁業権(定置漁業権、区画漁業権および共同漁業権)、温泉利用権など。
無体財産権 工業所有権(特許権、実用新案権、意匠権、商標権)、著作権
債権
(契約に基づくもの)
電話加入権、電信電話専用施設利用権、専用側線利用権、電気ガス供給施設利用権、水道施設利用権、工業用水道施設利用権
商法に基づくもの 営業権
投資等
子会社株式などの有価証券、出資金、長期貸付金など

 財務諸表の貸借対照表を作成するにあたっては、比較可能性の観点からこういった定型的な区分表示が必要になってきますので、勘定科目もこれにしたがって使用すると便利です。

 また、税法上、減価償却すべき資産かどうかという観点から、償却資産と非償却資産と分類されることもあります。

非償却資産
土地 ただし、鉱業用土地は償却資産。
建設仮勘定 未完成のもの。
完成してもまだ使用されていないもの。
書画骨董 古美術品、古文書、出土品、遺物など。
書画、彫刻、工芸品などの美術品。
貴金属を使用した固定資産 白金製溶解炉、白金製るつぼ、 銀製なべのように価額の大部分を貴金属の価格が占め、素材として再使用するもの。
借地権
電話加入権
償却資産
上記以外の減価償却を行う資産

 こちらは、法人税や市町村民税の一つである固定資産税(償却資産税)の税務申告の時には、こういった区分の考え方が必要になってきます。


© Rakuten Group, Inc.
X
Create a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: