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ふゆゆん亭
私が読んだ本・3
「ドリームボディ・ワーク」 アーノルド・ミンデル著
高岡よし子+伊藤雄二郎訳
宮城県教育事務所の教育相談の
カウンセラーをしている
I先生が勧めて下さった
アーノルド・ミンデルの本は、
私の住む市立図書館には
この「ドリームボディ・ワーク」
しかなかったので
先ずは夫に読んでもらい、
今は私が読んでいるのですが、
基礎となっている概念が
解らない専門的な事が多くて
難儀しています。(- -ヾ
翻訳に関しても
ちょっと首を傾げたい箇所があったりしますが
新しい概念を教えてくれる
面白い本です。
I先生は
「随分難しい本を読んでいるんですね」
とおっしゃっていました。た。(^^;
読んでいると眠ってしまうんです。
これは私にとって珍しい事です。
普段の私は本を読むと脳がギラギラと
起き出してしまうんです。
所がこの本を読んでいると
内容を理解するのが困難なので
内容を検討して
自分に当てはめて
ではこの文章で言っている事は
こう言う事かな?
ああ言う事かな?
どう言う意味かな?
私がこう感じた事は
どういう意味になるのかな?
などと目を閉じて
一生懸命考えていると
眠ってしまっている事が多いんです。(^^;
私がこの本を読んでいて思ったのは
多分、日本人は
「こうあるべき」と言う
慣習や決まりに従って生きている民族なので
自分の心の奥にある本心では
どう感じているのか?
と言う自分の本音を探り当てるのは
とても難しい気がします。
色んな人と話していると
こうあるべきだから自分もそうしていて
本当は別な思いがあって
それが本当は一番大事な事だなんて
思いもよらないで生きている人が多いと
感じる今日この頃です。
つまり、
心の表層だけで生きている人が
多いと感じるようになって来たのです。
それだけ人の心は
奥が深い事が解って来たのです。
それで時には
I先生の心の奥に訴えかける講話が
一部の人には全く通じなくて
すれ違いの会話が続く事もあったりして
コミュニケーションと言うのは
つくづく難しいと思います。
決まりや規則に振り回されて
生きて来たものの、
実は
心の奥に本当の思いが渦巻いている
と言う事に気付いてからの私は
目からウロコを沢山経験したわけですが、
そんな今の私だから読んでいても
なんとかこの本の内容が
解るのだと思います。
以前の私には
理解出来なかったのではないかと
思います。
日本人は
「本音と建前」と言う言葉を使いますが
心のあり方もそのように
「こうあれば都合が良い事」
で日常生活を過ごしており、
「本音の思い」は
生活の中に埋もれてしまって
置き去りにされてしまっているために
時々「本音の思い」が溜まりに溜まって
病気になったりする
と言う事が書いてあるのだと思います。
そして私もそのように
生きて来たのだと思います。
人間は自分で自分を騙して生きているけど
体は騙せないから
心身症になったり、
他の具体的な病気になったりする。
この本の中では
その心の奥の本心を自分で知る必要、
探る必要を説いていて
体のちょっとした無意識の反応が
本心を表している事に注目しています。
日本人はそこまで探らなくても
「本音と建前」を使い分ける民族なので
心の焦点さえ当てれば
本心を探るのは上手なんじゃないかと
思いました。
私も本音と建前と言う
はっきりした使い分けを
意識しているわけではないのですが
心ではイヤだな~と思いながら
顔ではニコニコしている事があるので
その事をはっきりと意識して
行動するように心掛けるようになりました。
すると怒りを感じたり
不満を感じたり、
イライラしたりしても
「私はあの事について
怒りを感じているんだ。
私は無理をしていたらしい」
と口に出して
独り言を言うようになってからは
心に溜まらないで
するするとことが流れて行くような気がします。
意識する事が大事。
つまり、
「自己一致」しているかどうか
そこが総てなんだと思うこの頃です。
今までの私は
「自己不一致」で
無理矢理生きて来たので
心身症になり、
不安症になり、
恐怖症になり、
うつ病になり、
人に会うのも苦しいばかりでした。
この苦しさは総て
「自己不一致」によるものだったのだ
と解ったら、
自分の情況が見えて来ました。
苦しんでいる他の人達の情況も
見えて来ました。
そう言えば、
長寿の人達はみんな気持ちが良さそうで
無理している所がなくて
きっと「自己一致」しているから
健康で幸せな毎日を過ごしているから
長寿なんじゃないかな~と
思うこの頃です。
それで私の今の目標は
「自己一致」です。
心の本心を知る事。
本心を自覚して行動を選んで生きる事。
「自己一致」して行くんだぁ===!!!!
●読んだ本●
「ながい眠り」
ヒラリー・ウォー著 法村里絵訳
■あらすじ
アメリカ・コネティカット州ストックフォードの
レストリン不動産のオフィスの窓が割られていた。
押し込み強盗が盗んで行ったものは、全ての賃貸
契約書だった。
警察署長のフェローズは裏にはもっと大きな犯罪
があると感じて、レストリンに短期契約者を探す
ように言い渡した。
1ヶ月契約で家がまばらな地区の一軒家を借りた
キャンベルの元をフェローズ達が訪れると、家
の中には二つのトランクと何かを燃やした変な匂
いと、地下室のガラクタの中に隠した大型のトラ
ンクの中に女性の顔と腕と足を切り取られた肢体
が見つかった。
しかし女性の身元も、肢体以外の部分も、キャン
ベルの身元も解らないままで、フェローズは部下
を捜査に廻らせながら、自ら出向いて可能性を潰
して行く方法で詰めて行く。
フェローズ署長最初の事件。
■感想
人物描写や背景描写が余り無くて、事実とフェロー
ズ達の会話が中心に書いてある。
あまり感想を差し挟む余地が無いような、事実の積
み重ねに、あれこれ思う間が無かった。
そして失敗を重ねつつも、じりじりと真実に近付い
て行く。
フェローズの勘と地道な捜査が「ニヤリ」とさせる
推理好きには堪らないかもしれない。
結末は驚きました。予測が付きませんでした。
あっと言う間に読み終わりました。
●読んだ本●
「アレン警部登場」 ナイオ・マーシュ著 岩佐薫子訳
■あらすじ
新聞記者のナイジェル・バスゲイトは従兄弟のチャールズ
・ランキンと共にハンズリー卿の屋敷に招かれた。
そこにはハンズリー卿の友人達が集まって、パーティーの
余興として「殺人ゲーム」が行われた。
所が従兄弟のチャールズが殺されてしまい、ロンドン警視
庁のアレン主任警部がやって来た。
屋敷に集まった人々の逐一を調べるアレン警部の捜査が始
まり、ナイジェルは図らずも捜査の手伝いをする羽目にな
った。
■感想
これは英国ミステリーの黄金期を中心に活躍した作家で、ク
リスティ、セイヤーズ、アリンガムと共に<ミステリ小説の
四女王>と呼ばれていたマーシュの作品と言うわけで、どん
なものかと読んでみました。
私はアガサ・クリスティの作品は人物描写があまり面白いと
思えず、貴族の話しばかりで、余りにも遠い世界でピンと来
ないのでした。
マーシュの作品も貴族の屋敷での事件と言う事で、ちょっと
ばかり白けた気分で読んでみたのでした。
アレン警部も良い家柄の人間ですが、まあ時代が時代なので
知的な人間と言う事でそれが必要なんでしょうね。
主人公のナイジェルは好感が持てました。
推理も面白かったです。
ちょっと無理も感じましたが。
★★って所でしょうか。
●読んだ本●
「海狼伝」 白石一郎著 文藝春秋
■あらすじ
信長が幅を利かせていた戦国時代に、長崎と韓国の間
にある対馬列島で育った18歳の笛太郎は、風や潮の流
れを読むのが上手くて海女達を「アナ場」に連れて行
く「後押し」で生計を立てていた。
縫い物や手紙の代筆をしている母親と二人暮らしの笛
太郎は、海賊の身から朝鮮で仕えるようになった「宣
略将軍」が帰って来た時に乗って来たジャンク船に目
を奪われ、仕事をしくじってしまった。
ジャンク船に並々ならぬ関心を示す息子を案じた母は、
実は宣略将軍が自分の義理の叔父である事や、祖父の
素性について初めて話をし、笛太郎に紹介文を書いて
宣略将軍の下に行く事を許した。
宣略将軍は笛太郎が下働きを始めた後で海賊を再開し、
船乗りは皆殺しにした。仲間も逃げ出す者は殺すと言
う残酷な大将だった。
笛太郎は潮や風を読むのが上手い事から、舵取りを任
されるようになって闘った村上水軍は闘い上手で、投
げ焙烙にやられてしまい、仲間の三郎と一緒に海に投
げ出されてしまった。
海で笛太郎が敵を助けた所から、笛太郎達も命拾いを
し、笛太郎の持っていた父親の形見や父親と同じ赤褌
と身に付けていた事から笛太郎達は村上水軍で働く事
を赦される事となり、小金吾の預かりの身になった。
父親の事を初めて知るようになり、笛太郎と三郎は戦
乱の世にあって、怒涛の人生の荒波を漕ぎ出して行く。
■感想
面白い話でした。
文章がしっかりしており、ぐいぐいと引っ張って行く
面白さが素晴らしかったです。
戦国時代の水軍の話を読んだのは初めてで、歴史の勉
強にもなりました。
対馬列島付近の地理が全くダメだったので、地図を見
て少し勉強しました。
対馬列島は九州より韓国の方が近く、貿易が盛んだっ
た事や、当時日本にも海賊が拓山いた事や、水軍同士
の闘いについて勉強になりました。全く知らない事ば
かりでした。
そして何にも増して、主人公の笛太郎の性格が好感が
持てて、楽しく読む事が出来ました。
主人公が好きになれないと、私は先を読み続けるのが
イヤになるんです。
また笛太郎と行動を共にする三郎も偉丈夫で頼もしく、
安心して読んでいられました。
笛太郎の出生についても、当時の慣習や生活が見えて
面白かったです。
昔の人達はその日暮らしで先の見通しよりも、日々を
コツコツ生きているのだなぁと思いました。
現代の生活は前へ、前への大急ぎの生活で
一日を味わうのどかさは無い気がします。
勿論昔は
食べるために生きるだけの生活が中心で
寿命も短いわけですが、
大急ぎの生活で無い所がとても人間らしいさを感じました。
白石一郎さんの小説は
しっかり調べて歴史的にもキチンとしていて、
文章が上手なベテランの人の小説は「味わう」と言う
楽しみが出来るのだなと感心しました。
また、白石さんの小説を読みたいと思いました。
●「霧のとばり」 ローズ・コナーズ著 東野さやか=訳
■あらすじ■
米国マサチューセッツ州ケープコッドでバーンスタブル郡
地方検事補をしているマーティ・ニッカーソンは、マイケ
ル・スコット(20)を無残に殺したとしてマニュエル・ロ
ドリゲス(26)を有罪に持ち込んだ。
メモリアルデーのその日、またしても無残な殺人が行なわ
れスキッピー・エルドリッジ(19)にも胸から腹部にかけ
て傷が刻まれていた。
マーティにはその傷がローマ数字に見えて、そうなると1年
前に殺されたマイケルとも関連性があるかもしれない疑惑が
生まれて来た。
マニュエルの公選弁護士であるハリー・マディガンはマーテ
ィに、ある疑問を投げ掛けた。マーティの中で疑問が大きく
なってハリーと共に真相を探り始める。
■感想■
著者のローズ・コナーズは検察官・弁護士として18年間法
曹界で活躍して来たので、裁判所でのやり取りは迫真に迫
っており、様々な手続きも手抜きせずに書いてある。
それは物語の下地を固めて行き、生き生きとした登場人物
達のやり取りが物語に厚みを増して行く。
マーティの上司も元夫も曲者で、息子と愛犬は素直ではつ
らつとしており愛すべき存在だ。
脇役とされる人達も個性的でしっかりと物語の中で魅力的
に生きている。だから読んでいて楽しかった。
マーティがぶつかる問題は、きっと誰しもが経験する一瞬
一瞬の選択に掛かっているのだと思う。
マーティの迷いを脱ぎ捨てて、思い切り良く生きていく生
き様の素晴らしさを感じた。
読み応えは十分で、大いに満足した。次の作品も読みたい
と思ったのだがまだ翻訳されていないようだ。
では珍しくも、もう一度しっかり読み直してみようと思っ
た。読み落としている所がありそうだし、違う所も見えて
くるかもしれない。
デビュー作のこの作品でで2003年MWAメアリ・ヒギンズ
・クラーク賞を受賞したそうで、この先がとても楽しみな
作家をまた一人見つけた!!
これは珍しくGEOで買った本なんです。図書館の本では
ないんです。買って良かった~~ヽ(*^ー^)人(^ー^*)ノ
●読んだ本●
「黒い炎の戦士・1」《謎の虹彩剣》
白石一郎著 徳間文庫
古い文庫本のためどこも在庫なしで
映像もないので自分で写真を撮りました。
「復刊ドットコム」
でも投票中です。
■あらすじ■ 伝記ロマン時代小説
九州の中央の山岳地帯の山奥
久連子、椎原、樅木、葉木、仁田尾の
五つの荘(むら)には太古の記憶を
生まれながらに託された奇妙な男女が
二百人に一人ほど生まれた。
荘人は「黒子」と呼び、
畏敬を以って遇していた。
田沼意次が呼び寄せた
オランダ東印度会社の船大工6人は
鎖国で文明を拒絶していた日本に
科学の力を普及させるために使わされた
超能力集団の百鬼(白光の戦士)達だった。
文明と自然破壊を拒み、
平安な生活と
自然との融合を理想にしている黒子達
超能力集団(黒い炎の戦士)は
日本を守るために動物使いの牛麻呂と
隠身の使い手の真髪を
五荘家から長崎に向かわせた。
江戸では黒い炎の石が選んだ
3人が牛麻呂を向え、
白鬼達との闘いに挑む。
■感想■
私はこれを二十数年前に
月刊「SFアドベンチャー」で
毎月楽しみに読んでいました。
でも結婚して定期購読を止めたため
結末を知らないでいました。
先日、白石一郎の小説を読んで
「黒い炎の戦士」がどうなったか気になり
最初からしっかり読みたいと思いました。
文章に澱みは無く
安心して読めました。
怪奇ロマンに相応しく
怪しい出来事がどんどん生じ、
思いも掛けない超能力ににやりとし
無駄のないストーリーにわくわくし
次々に起こる事件を楽しみました。
有り得ない時代物なので
心配性の私でも安心して楽しめたのでした。
文章が上手で設定がしっかりしていて
人間性をも深く知って
表現するのが上手い人の書く小説は
とても気持良く楽しめます。
是非「2」も借りて来なくちゃ!!!
●読んだ本●
「愚か者の祈り」 ヒラリー・ウォー著 沢万里子訳
創元推理文庫
■あらすじ
1953年5月3日早朝、コネチカット州ピッツフィールドの公園で、
無残に顔を砕かれ、身体を切り裂かれた若い女性の死体が見
つかり、静かな郊外住宅地は大騒ぎになった。これまでこのような
残忍な殺人が起きた事が無かったのだ。
背が低くて猿のような容貌と人に噛み付くような話し方をする荒々
しいダナハー警部は市長の圧力とも闘いながら、名無しの女性の
身元捜しを始める。
暗礁にぶつかって頓挫しかけた事件に新展開をもたらしたのは、若
く熱意に溢れて新しい事にも挑戦して行くマロイ刑事だった。
身元が解っても街を出てからの空白の5年間を埋めるピースが見
つからない。
ダナハーとマロイは補い合いつつ、核心に迫って行く。
■感想(ネタバレだらけ)
始めはダナハー警部の粗暴な態度や人柄に気分を害しながら読ん
でいました(笑)。いつも吼えて罵る人間は苦手です。
マロイ刑事の提案は理に適っていると思うのですが、ダナハーは馬鹿
にして一蹴してしまうのです。
でも今や顔が解らない時にはそういった手段が使われるものの、50年
以上前には考え付かない事だったためと思われ、それを考えると、当
時この説は確かに面白かったろうと思いました。
ですが、時代の違いを別にしても、徐々に核心に迫って行く様子は面
白く、楽しく読む事が出来ました。
被害者のミルドレッドが街を出て、どのように生きていたのか、マロイが
彼女と関わりがあった人達から聞いて行く過程で浮き上がってくるミル
ドレッドの性格と生き様。
彼女の強い意志と目標を定めて一生懸命頑張って生きていた様子
を知るに付け、レイプされて最後に顔面を砕かれて胸を切られると言う
悲惨な死に向かっていたのかと思うと、その場に駆け付けて助けてあげ
たいと思いました。
自分を貫いて生きていたのに、純粋で美貌の余りに騙され利用され、
追い回されて、ミルドレッドの夢は藻屑と消えて行ったのです。
犯人の思いも何とも言いようが無く、兎に角ミルドレッドの美貌と清純
な心ゆえに全てが裏目に出たとしか言い様がないです。
生き難い世の中で、誰もが安心して生きて行ければ良いのにと思いま
した。
推理物が好きな私は、謎解きの部分でとても楽しみました。
●読んだ本●
「Beat Kids」ビート・キッズ 風野潮著 講談社
■あらすじ
大阪市内で引越して、新しい中学にまだ馴染めずにいた横山
英二(中2)は同級生の竹内望から吹奏楽部の大太鼓に無理
矢理誘われて、旧音楽室に出向いた先にいたのは、華奢で男
前で傲慢な部長の菅野七生だった。
いきなり大太鼓を叩くように言われた英二は、叩いているう
ちにおもしろくなり、パーカッションを引き受ける事になっ
た。
七生は何でも楽器が出来る成績も良い凄い少年だったが、い
つも命令口調で皆から恐れられていた。
英二の母は病弱な上に妊娠中で、父は賭け事でお金を摩って
ばかりいるだらしの無い男。
英二は家事を引き受け、新聞配達で家計を助けるようになった。
夕刊も配達するため、吹奏楽部は続けられないと七生に言うと、
七生は夕刊配りの代わりに吹奏楽部に出るよう、日曜日に七生
の父の楽器店の店番のバイトを持ち掛けた。
英二は七生の家に出入するようになって多くの楽器に触れるよ
うになり、七生との付き合いも深くなって、英二と七生は親し
くなった。
七生は指導教官がいない吹奏楽部を指導して、マーチングバ
ンドのフェスティバルに出場するために毎日厳しい練習をし
ていた。
そんな時に担任の教師と問題が起きた。
■感想
あらすじを書くと、生真面目な感じがするのだが、実は文章も
会話も大阪弁で書いてあり、ドラムや太鼓が出てくるそのリズ
ムに乗って、ぽんぽんぽ~んと流れて行く。
英二の生き方、七生の生き方がクロスして暖かい友情と強い絆
を生み出し、生きる力を分け合った二人。
友情あり、サクセスあり、教師との対立あり、家族としての葛
藤あり、音楽がありの盛り沢山。
面白かったですよ~~♪
読みやすかったですよ~~~♪
あっと言う間に読んじゃいましたよ~~♪
英二も七生も大好きになりましたよ~~~~♪
「生きていれば何やかんやあるけど、
どうにかなるもんや!」
と英二が言いそうですよ~~♪
日本のヤングアダルトを読んだのは久しぶりだが、面白いのが
出て来たんだとうれしくなった。
以前はヨーロッパのヤングアダルトの水準の高さにくらべて、
日本のものはレベルが低かった。
風野潮と言う人が初めて書いた小説だと言うからビックリした。
楽しいし、英二は困難な生活を頑張っているし、でも笑いで吹き
飛ばして生きている。
七生の突っ張った生き方もカッコイイし、一人で切り開いて行く
強さと豊かさは頼もしかった。
何だか不思議なエネルギーに溢れていて、力を沢山貰った!
元気が欲しい人が読んだら尚の事楽しめると思う。
●読んだ本
「サンネンイチゴ」笹生陽子著 理論社(ヤングアダルト)
■あらすじ
中学2年生の森下ナオは文学好きの目立たない生徒
だが、体育会系理科教師の担任南センセの生徒いじ
めには、内心ではいつも闘っているが何も言えない。
所が校則違反のド金髪、学校きってのトラブルメー
カーの柴咲アサミがいじめられている清水君をさり
げなく助けた。
そんな折に、たまたま立ち寄った古本屋で店主に怒
鳴られてあわてて逃げ出してみると自転車のかごに
入れた原稿入りのバッグが盗まれていた。
バッグを探して街を駆けずり回ってへたり込んでい
る時に、隣りのクラスでアサミと付き合っていると
言う噂のある手塚くんが助け舟を出してくれた。
そこからナオは自分の住む街の現状を知る事になり、
街を守るアサミとその兄のシュウスケさん、手塚君
達と仲良くなり、協力し始める。
街が衰退していく情況。あちこちで起きているマス
コット狩りの情報。
ナオの静かな中学生生活は一変して行く。
■感想
中学2年生の豊かな感性と、事なかれ主義が見えた。
流されないと学校の中ではやって行けない現状が、
とても分りやすい。
半面、実は自分の考えをはっきり持っていて行動出
来ない自分と葛藤しているナオの思いもよく分る。
中盤からアサミ・手塚君に振り回されるようにして
流れが急に変わって行くのだが、街を守る少年団の
ようでとても楽しい。
いいなあ。
こんな友達。
葛藤が捻って出ているアサミの思いもよく分る。
手塚君が大人になりたく無いのも分る。
街を守る少年団・自警団があったら、街は衰退して
は行かないかもしれない。
自分に出来る小さな事を行って行けば、守る事が出
来る事もあるのだな~と思った。
だが、題名の「サンネンイチゴ」の意味は何だろう?
手塚君の秘密の苺畑の苺と、中学生は3年まである事
とが関係があるのか?
ナオたちが3年掛けで熟する苺と言う事かな?
続けて読んだ日本のヤングアダルトはさくさく読め
て、楽しかった。
●読んだ本●
「凍りつく骨」メアリ・W・ウォーカー著
矢沢聖子=訳 講談社文庫
■あらすじ(ネタバレ一部あり)
キャサリン・ドリスコルは2年前に母を亡くし、一人で犬の訓練士
をしている。父とは5歳の時に別れたきり、31年間会っていなかっ
た。
母の癌治療費と折からの不景気に煽られ、キャサリンは多額の負債
を抱え、ローン返済もままならず、3週間後に銀行によって家と8
ヘクタールの土地と飼育場、そして優秀なチャンピオン犬でキャサ
リンが愛してやまないゴールデン・レトリバーのアマン・ラーを競
売に掛けられてしまう窮地に陥った。
全てを失う恐怖心に襲われた時に、数日前に届いた父からの手紙が
心に上った。31年も会っていない父の手紙は、キャサリンがある仕
事をしてくれればお金を工面すると言う内容で、キャサリンは嫌悪
感に満たされていたのだが、常連のへスター姉妹の助言で気持ちを
変えて父の元を訪ねる事にした。
所がキャサリンが意を決して出掛けて行ったその朝、父は職場の動
物園でトラに襲われて亡くなっていた。
落胆を隠せないキャサリンは父の残した写真と書類を調べて動物園
の内情を探るため、大嫌いな蛇の飼育係をしながら動物園をめぐる
殺人事件に巻き込まれ、ドリスコル家の財団の問題や一族との関係
に深く関わる事になった。
■感想
完成度の高さにこれが処女作だなんて!と驚いた。
文章も分りやすくて迫力のあるシーンも面白く、主人公のキャサリン
への感情移入もしやすく、徐々に探り出して行く情報の出し方も、犬
への深い愛情も、敬愛するシャープ警部補も頼もしく、キャサリンの
記憶の底から浮上してくる5歳の記憶とその後のドリスコル母子の生き
様への疑問などが自然な流れで出てくるので、アッと言う間に読み終わ
ってしまった。
うう~~ん。面白い!!!\(~o~)/
すごく上手いし、ヒントの織り交ぜ方も、話の進め方も満足満足。
私は謎解きが大好きなんだな~とつくづく自分でも思った。
それに、人間的に素適な主人公に弱いんだな~。
キャサリンの孤軍奮闘ぶりには応援しっぱなしだった。
時には警察に言ってしまった方が安全では?と言いたくなったけど。
5歳で父と離れて、当てにならない多情家の母親の尻拭いをし、一人で
頑張って生きて来たキャサリンが幸せになってくれるのはとってもうれ
しい。
そうそう、
残忍な犯人がいてもハッピーエンドじゃないとね!!( ̄ー ̄)☆
お勧め度 ★★★★ かな~♪
●読んだ本●
「処刑前夜」メアリー・W・ウォーカー著
矢沢聖子=訳 講談社文庫
■あらすじ
テキサス州オースチン・アメリカ。
犯罪ライターのモリー・ケイツが長年追い続けた連続強盗殺人犯
ルイ・ブロンクの死刑の日が11年経って決まった。
被害者の一人、富豪のアンドリアの夫チャーリーには、これまで
幾度申し込んでも蹴られていたインタビューだが、チャーリーの
方から家に来て欲しいと連絡が来た。
会いに行ったモリーに対してチャーリーは、子供達とのインタビ
ューを止めてくれれば、自分とのインタビューに応じると言った。
それどころか、金で買収しようとさえした。
その後、チャーリーの2度目の妻が殺され、11年前にアンドリアの
死体の第一発見者だった、当時住み込みで子守りをしていたセラー
ノが行方不明になった。
ブロンクの死刑が決まってから、モリーが知らない所で動き始めた
事件の中で、犯罪ライターとしての沽券を掛けて調べまわる。
すると思いもかけない事実が浮上して来た。
■感想
しばらく感想を書くのが遅れたので、
直後の感動が薄れてしまったのだが、
とてもスリルに満ちて
重圧感たっぷりだった。
登場人物全てが怪しく思え、
犯人については完全にだまされた。
黒髪の女性を殺してからレイプすると言う
残虐なブロンクとモリーの対決シーンは
恐ろしくもおぞましい。
ブロンクについての本を
出したばかりの犯罪ライターとして
アンドリア殺しだけは冤罪かもしれない
と言う葛藤に悩みながらも、
真実を追求するモリーの姿勢には
とても賛同した。
最初の夫が刑事として登場し、
図らずも協力関係を結んで
長年のこじれた関係を解して行く所などは
恋愛もののロマンチックさもある。
色んなものが満載でとても面白かった。
でも、ぬるぬるした気持ちの悪さは
殺人犯の性癖の異常性から来るのかもしれない。
アメリカは州によって法律が違うのだが、
テキサス州では
殺人を重犯しても死刑にはならないが、
強盗殺人だと死刑になるのだ。
矛盾を感じる。
しかし読み応え充分である。
ちなみにこの作品は1995年
MWA賞を受賞
した。
(アメリカ探偵作家クラブ賞・
もしくはエドガー・アラン・ポー賞)
前作「凍りつく骨」アガサ賞受賞に続いての
2作目でも受賞と言う濃さである。
●読んだ本●
「手のひらの蝶」 小笠原慧著 角川書店
●あらすじ
京都、近鉄大久保駅近くの建築現場で、
OLの変死死体が見つかった。
後頭部が深く陥没しており、
首筋には刃物で刺した痕があって、
死因は失血死だった。
しかも
周辺には血が流出した跡がなかった。
性的暴行は受けておらず、
猟奇殺人と見られた。
その事件に関係があるのではないか、
と言う匿名の電話があり、
久御山の団地に赴いた刑事の薮原と西澤は、
高梨と言う男に振り回されて走り回った挙句、
襲われて西澤が殺されそうになった。
止む無く薮原は発砲して高梨を撃ち、
出火の中で西澤を抱えて命からがら逃げ出した。
一時は意識不明の重態に陥っていた西澤は、
何とか持ち堪えて、
1年半のリハビリの末に現場にようやく復帰した。
折りしも、
また失血死の女性の殺人事件が起きており、
高梨を死亡させた薮原と高梨の立場は微妙なものになっていた。
西澤が復帰して取り掛かった事件は
2件目の失血死事件だった。
母子家庭の母親が殺されており、
子ども部屋で9歳の息子が
血まみれのアイスピックを手に持った状態で
立っているのを発見された。
母殺しとして
精神的なケアを児童相談所から依頼された
児童精神科医の小村伊緒は、
少年が収監されている治療中の病院に出向いた。
そこから伊緒は事件に巻き込まれ、
人生を大きく変える出来事に遭遇して行く。
●感想
読後の最初の一言が「まいった」だった。
いやぁ、
クオリティが高くて充実した内容だった。
刑事や精神科医や子どもに感情移入して、
入り込めた。
犯人をそんなに早く出して大丈夫なのか?
と思っていたらとんでもない。
最後の最後まで振り回され、
以外な展開に驚いた。
遺伝子や精神学の勉強にもなり、
専門的な文章も面白く読めた。
きっと一般人用に砕いて書いてあるのだと思う。
くどく無く、
説明的過ぎる事も無く、
難し過ぎてとっかかれない事も無く、
説明が上手だった。
文章も無駄が無く、
的確で出分り易く、
かと言って堅すぎず柔らか過ぎず、
とても解りやすかった。
著者が精神科医なので、
人間の行動や理由がしっかり把握してあるためか、
矛盾が無く納得が行った。
だから人間の悲しさや惨めさ、
深い思いや歪みが見事に描いてあって面白く、
具合が悪くて寝込んでいる間も、
目が開けられないくらいに参っている時以外は
読みたくて読みたくてワクワクした。
こんなに楽しめる本には
なかなか出会えないのではないだろうか?
推理好きには堪えられない1冊だった。
読後感は切なく悲しくも、
救いがあって爽やかだった。
お勧め度は★★★★★ですね~~~♪
くれぐれもラストを先に読んだりしないで下さい。
我慢我慢が面白さ倍増です!
デビュー作の「DZ(ディーズィー)」は
第20回横溝正史賞を受賞したそうなので、
これも是非読んでみたいです。
ああ~充実した読書でした。
●読んだ本●
「十四番目の月」海月ルイ著 文藝春秋
■あらすじ
桑島樹奈がいつも買い物に行くニューストアで
目を離した隙に3歳の娘、美有を誘拐され
2千万円の身代金を要求された。
誘拐犯からの連絡は、
警察による逆探知の裏を掻いて
美有と同じ幼児教室に通う
近所の北岡の家に入った。
犯人逮捕に繋がる警察の手立てを
全て読んだかのように裏を掻かれ
結局、犯人に身代金を奪われてしまった。
しかも、
身代金を見失ったシャングリラホテルでは
何の手がかりも見出せなかった。
無事に美有は発見され、
怪我人も死人も出さずに
見事に身代金だけを奪った犯人像は
なかなか浮かんで来なかった。
偶然シャングリラホテルでピアノを弾き
身代金を入れた袋と同じ紙袋を持っていた
浅野奈津子は事件に巻き込まれ、
知らず知らずのうちに事件のピースを集めて行き
真相に辿り着く。
■感想
(註・一部ネタバレがあります)
美しい濃いブルーの中に浮かぶ月と、
赤いイスの上のテディベアの装丁が
印象的だった事と、
海月ルイと言う美しくて個性的な作家の名前と、
「十四番目の月」と言う
やはり美しくて個性的な
題名に惹かれて借りた本でしたので、
頭の鈍い樹奈が犯人に奔走される所で
一旦読むのを止めてしまいました。
単なる誘拐事件なのかと思いました。
でも、暫らくしてちょっと先を読んでみると
母子家庭の奈津子が早苗と知り合う件や
早苗の母親の肝の据わった物言いや
散りばめられた事実が
どう繋がり合うのか知りたくなって
読み進めました。
女性の生活。
母親の思い。
片親で子どもを育てる
現実的な問題点の数々。
ピアニストとしての視点。
それらがとてもしっかり描いてあり
女性が生きて行く本と言う点で
なかなか面白い本でした。
推理小説としては
素人の奈津子が知らず知らずのうちに
事実を知って行く様子に
少し説得力が無い気がしました。
素人が疑問を持って調べ始めるには
動き出すための動機が
ちょっと足りない気がしました。
それにラストが難しいですよね。
どんな小説でもラストが問題ですよね。
切ない話しでもあったで
このラストじゃなければ納得が行かない
と思っていたのですが、
実際このラストになってみると
復讐する事によって関係の無い人まで被害者になり、
被害を受けた犯人よりも
多くの被害者が生まれてしまうと言う悲劇を
生み出してしまう事を許しても良いのか?
と言う矛盾点と言うか
疑問点が湧いて来て、
復讐は内容によって許されるのか?
しかし、悪意がないからと言って
人の生命が奪われる事を
犯罪として立証できないからと言って
罪が無いと言えるのか?
等等、
沢山の疑問を考えました。
個人的には主人公の奈津子よりも
早苗の母親のミヨ子がカッコイイ婆ちゃんだったので
憧れちゃいました。
ズバズバと本当の事を
言ってのけるんです。
でも人を傷つけたりしないんです。
本当の事を言うだけで、
感情をぶつける訳ではないからです。
カッコイイなあぁ~ミヨ子さん。(*^_^*)
女性としての同感を沢山感じた小説でした。
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