其の一の二


其の一の二

「秋那!!それより大丈夫なの!?」
「うん・・・ゴメン、お姉ちゃん。でも、私より月火が・・」
秋那はそう言って、自分の横でぐったりとしている一人の忍を見た。
名を月火といい、忍の腕は超一流で、若干十六歳にして次期頭領と噂される天才肌だった。
そして今回、反乱を起こした兄弟子、火影と直接対決をし、ダメージは大きかったものの、何とか勝利を収め、一命を取り留めていた。

だが、本当に二人とも生きているのが不思議なくらいの大怪我で、急いで手当てをしなければならなかった。
「なぁ・・・獣爪丸・・」
「はい?」
火影は獣爪丸に向き直り、一言言った。
それは、今まで復讐をたくらみ反乱を起こした男が発する言葉には相応しなかった。
それでも、言ったのは。
信じるものができたからだと、獣爪丸は後から耳にした。

「・・・どうか安らかに・・・」

火影の、この戦のみならず、今までの所業で死んだ者達への、せめてもの慈愛だった。


後日、傷の癒えた月火、火影両名は秋羅に呼ばれ、彼の屋敷にいた。
「実は・・・漸に調べてきてもらったのだが、ここ大和の国は急激に衰えている。」
秋羅が言い、月火が口を開く。
「それは・・・この国を含む島全体ということですか?」
かすかに秋羅が頷いたのを見て、今度は火影が言った。
「つまり、この島が衰えているということは、この島を守っている四神獣達の力が何らかの原因によって弱っているということですね?」

「そうだ。そして・・・」
「このままの状態だと、いずれこの島は崩壊する。」
襖を開け、漸が話に割って入る。
いつものような笑みは零さず、忍と呼ぶに相応しい顔だった。
「そしてその原因を潰すには、四神獣達から直接話を聞いてみるしかねぇ。そこでだ。」
漸は月火と火影を見やり、一息ついて続けた。
「よく聞けよ。四神獣を自らの体内または封印具に取り込む。原因から四神獣達を絶縁させ、影響が及ばないようにするんだ。」
漸の話を聞き、月火と火影は何かに気づいたようだった。
「成程・・・そうすることで力を回復させ・・・力が最大になったときに・・・」
「その力を爆発させて原因を取り払い島を復活させる!」
「御名答。その通りだ。で、この場合力を借りるわけだが・・・月火、火影。お前らにもその資格がある。お前らの力は俺が一番良く知ってるからな。・・行ってくれるか?」
不安げに聞く漸に、二人は自信満ちて言う。
「ふふ、師匠。そんなこと聞いたって無駄ですよ。」
「拙者らが否と言う理由なんて何処にもないんですから。」
お互いを見合わせる兄弟弟子は、本当の兄弟のようで・・何処か痛々しい感じが、漸と秋羅の中にある。
そして秋羅は、細くて青いベルトのような物を日本、月火に渡した。
「御頭・・・これは?」
「月火、お前は雷属性だ。そこで封印しなければならないのは”青龍”なのだが・・・これは青墾反という封印具でな。使うといい。」
「・・有難うございます。」
そこで、漸が皆に言った。
「よし・・・じゃあ早速明日四神獣”玄武”のいる北へ向かう。いいな。もう暫く帰ってこれねぇから、別れでも言ってきな。」


「ねぇ何、話って。」
今、愛くるしい表情をしているのは弥生。
そしてその隣にいるのは、わざわざ彼女を呼び出した火影。
実はこの二人、恋仲で、火影はあることを弥生に言ってしまおう、と心に決めていたのだ。
「あの・・・さ。」
「?」
まともにかな所の顔を見れず、火影はうつむいた。
それは、赤く火照った顔を見られたくないのかということは、判らないが。
「実は・・・俺、また明日からいなくなるんだ。」
その瞬間、今まで笑みを見せていた弥生が、急に表情を変えた。

(また・・・行っちゃうの?折角・・逢えたのに?)

「結構でかい任務でな。なかなか帰れそうにねぇんだ。それで・・・この任務から帰ってきたら・・・ずっと一緒にいてくれるか・・?」

遂に言っちまったぞ、と半ば後悔の火影をよそに、驚いたのは弥生だった。

(やっと・・)

(やっと言ってくれた・・・)

「・・・愚問ね。」
そう言われた瞬間、火影の周りにガーンという効果音が流れるのが判った。

(ふら・・れた・・・!?)

「あ・・・そう・・・」
「決まってんじゃない。」
そう言って、弥生が火影との距離を詰めた。
「私は・・・火影がそう言ってくれるのを、ずっと待ってたんだよ・・・?」
「へ・・?」

何か急に弥生が寄ってきたと思った火影は・・・取り合えず、告白は成功だった。


~其の三へ続く~









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