Angel

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全て | 日々の日記 | 小説
January 17, 2007
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カテゴリ: 小説
 また、この場所に来るとは思わなかった。

あの日、城に呼び出されて以来行っていなかった実家。

その実家に、私の居場所なんてもっとも無いけどね。私は今から11年前に失踪した姫だった。

名はスピネル。私は現在、母方の祖母と共に小さな村に住んでいる。

平和で毎日が楽しい日々を送っていた。


 しかし、先日16歳の誕生日に一通の手紙を渡された。

世界中、どこを捜しても見つけることの出来なかった私に、初恋の人から手紙を預かっていたらしい。彼は私が立ち寄ることがあったら渡すように頼んだらしい。

その手紙に成人の日に訪ねて欲しいと、しかしその気はなかったが、

「きちんと決着を付けなさい。」

と、祖母が言うので来たというわけ。





 「...貴女は、もしやスピネル様でございますか?」

城の兵士は逢うなり、待ち構えていたかのように言う。

「...そうよ。リック義兄様はいらっしゃるかしら?」

顔色一つ変えずに尋ねた。

「はい、おられます。ご案内させていただきます。」

老兵が案内してくれた。




 本来、この敷居を跨ぐべきではないが、呼ばれたから来た。

国王陛下に逢いたくなかったが、逢うことになった。そこで今まで明かされることのない事実を目の当たりにすることになった。

「よくぞ戻って来られたスピネル。ちょうど良かった。お前に逢わせたい者がおる。...入って来なさい。」

内心、何なのよと思っていた。それは金髪の絵に描いたような大人しい王子のような男の子がやって来た。

「...紹介しよう。お前の双子の兄のクローザ。」

「...そんなバカな?!私はお母様にも、お婆様にもそのようなことは聞いておりません。」

かなり驚いた。

「...それはそうだ。そなたの母は、わざとわしから遠ざけたのだ。」

「...私は信じません。失礼します。」

部屋を後にし、リックを捜した。

「...待って。」

慌てて駆けて来た。先程の少年。

「君がお母様が残してくれた風の国を護る妹姫君なんだね?ごめんね、驚かせて...。」

すまなさそうに謝る。

「...スピネル様、こちらにいらしたんですね。...これはクローザ様、こんにちわ。」

リックが現われたのだった。

「...義兄様、私に様を付けることはありません。私を呼び出した用件をお伺いしたいのですが?」

取り敢えず、私が昔使っていた部屋に連れて来られた。

「...実は生前、スピネル様の母君様から言付かっていることと、渡すように預かった物がございます。」

お母様の話が上がり、動揺を隠せなかった。「...お母様から私に...?」

手紙と箱を渡された。

「...成人を迎えたら渡して欲しいと仰られた物です。言付けは、


“貴女らしく自由で優しい人になって下さい。私の大事な娘よ。”です。」

「お母様...。」

渡された物を胸にぎゅっと抱き締めた。

「...スピネル様。申し訳ありません。私は姫様の母君様からクローザ様の身を隠すように言付かっておりました。黙っていて、申し訳ありません。」

私の乳母だった侍女がやって来た。

※侍女とはメイドさん、または使用人で、いわば家政婦さんなのだ。乳母とは、母に代って、お乳の飲ませて育ってくれる人。

私の頭の中はこんがらがっていた。取り敢えず、お母様からの手紙を読み始めた。

知らなかった真実が次々に明かされて行った。あまりのことの重大さに目眩を起こしそうだった。





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Last updated  July 28, 2008 09:02:53 AM
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